祝・北海道新幹線開業 競争力検証その3

2016年04月15日

1992年に開業した山形新幹線は、東京まで約3時間なので、航空機に圧勝し、山形・羽田の航空機は、現在、76席の小型機が2往復しているに過ぎません。
それまでは片道合計1000席以上の航空機座席提供数でした。

しかし、1997年に開業した秋田新幹線は、当初、4時間15分程度かかっていたので航空機を駆逐するとまではいきませんでした。
それまでは秋田・羽田の航空機座席提供数は2250席でしたが、新幹線開業2年後には約2000席で、1割ほど減ったに過ぎません。
やはり4時間の壁が大きかったようです。

現在ではスピードアップが図られ、4時間を切っています。
また、航空機は約1500席まで減ってきました。

じゃあ、やはり4時間が「壁」で、4時間を切ると大きく有利になるのかと思いますよね?

実は価格面で秋田新幹線は強いので、4時間かかっても、どうにか勝負になるのです。

秋田・東京間の新幹線は、17,800円で、回数券だと1枚あたり、14,260円なのです。

函館(正規で23,010円)よりも安いのは当然としても、広島(正規で19,080円)よりも安いのは、不思議に思うかも知れませんが、秋田新幹線は「新幹線」とは言うものの、盛岡・秋田間はレール幅を新幹線規格に広げただけで、基本的に在来線規格なので、最高時速130㎞しか出せません。単線ということもあります。
そのため、所要時間は4時間近くかかるものの、距離は670.2㎞で、広島や函館の3/4の距離しかないので、運賃も安いのです。

だから、約4時間かかっていても航空機に太刀打ちできるのです。

現在、函館市内から東京駅までは約5時間かかります。
それが1時間短縮して4時間になったとしても、今の運賃では競争力はないでしょう。
3時間くらいにならなければなりませんが、そこまで時間短縮は実現不可能ですから、あとは運賃を下げるしか対抗策はありません。

実は、安いと書いた秋田ですら、そこそこの値段がするので、お金を節約したい秋田の人は山形から山形新幹線に乗るのです。(新庄から山形新幹線に乗れますが、山形の方が割引が良い回数券があるので)
距離も、盛岡経由よりも山形経由の方が結構短いから、かなり安くなるはずだというのは容易に想像できると思います。

それほど価格というのは競争力に大きく関係するわけです。


次回は、競争力を上げるために超大幅割引をした九州新幹線のことを書きたいと思います。


なお、北海道新幹線の座席提供数(区間運転は除く)は、約6300席で、航空機は2200席なので、秋田と同じ比率だし、鉄道が優位なのかと感じるかも知れません。

しかし、航空機の利用率は7割くらいあるので、乗る人は1500人くらいになります。

新幹線は開業2週間で27%の乗車率だったそうですから、約1700人ということになります。

また、この1700人の全員が東京まで乗ったわけではないので、やはり東京へは飛行機を利用する人が多いわけです。


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