来季、そして

2007年09月28日

先日の夜間の山形戦、確かに半袖で熱く応援したつもりだし、
結果にも大いに楽しませてもらったのは間違いないのだ。

ただ、これで負けループから抜け出し、勝ちペースを取り戻せて
よかったよかった、と喜んでいられるかというと、天邪鬼な自分が
冷静に突っ込む。

正直、両者の戦術を考えれば、先制点を取った方が試合を決める
と言ってもいい展開だったわけで、中盤のポゼッションの割合を
鄭容臺が大幅に高めてくれた面はあったにせよ、実は試合の性格は
湘南戦とさほど変わっていたわけではない。
先制点を先に取られていたならば、0-3で負けていたのはウチだった、
という展開もじゅうぶんにあり得た、危ういバランスの上にあったと思う。

(脱線するが、鄭容臺はあの、ぶっちぎりで最下位な横浜FCで、
さらにレギュラーに定着できていなかった選手である。その選手が
一人加わっただけでめざましいほどにポゼッションが上がったこと
を思うに付け、札幌の今の戦力がJ1のレベルにおいてあまりに
絶望的な状況にあることはわかるというものだ。閑話休題)

今の札幌は、こうした危ういバランスを自分でコントロールする
事をやる力がない、というのが、このチームの不安材料なのだと思う。
札幌の「ハードワーク」の正体は、このバランスを出来るだけ相手の
方に傾けさせない、という働きだ。残念ながらこの勝負のヤジロベエを
操る個の力も、精密なチームの技術も無い。得点は僥倖に頼り、
後は必死に不安定なバランスをとることに汲汲とせざるを得ない。

相川が無念にも使われず、放逐されたのは、個の力としての得点能力
が、逆にこの勝負のバランスを崩すからだ。今の戦術では積極的に
勝負のヤジロベエをこっちに倒すよりも、ふらふらと立ったままにして
おくことが肝要であるためだ。

無論、こういう戦術はカテゴリーが上がれば全く通用しまい。
J1のチームは勝負を自分たちに傾けることのできる能力を
個のレベルでもチームのレベルでも備えており、その差が厳然たる
ヒエラルキーとして上位中位下位の定位置を作っている。
そんな中にバランスを維持することで精一杯の札幌がノコノコ
入り込んでも、勝負はあっちに倒れ放題、勝ち点の草刈り場になる
ことは、今の横浜FCを見れば明らかなことだ。

期限付移籍の相川が戻ってくるかどうかは、わからない。
オイラの印象ではレンタルの選手が他所で活躍して戻ってくる
というのはあまり聞かない話だ。活躍する、ということはその
チームの戦術にフィットするということであり、そうなれば
レンタル先は金を積んでも手放したくないだろうし、逆に
大して活躍できなければ古巣に戻るというのも選手の沽券に関わる。
(もちろん我々には去年の加賀の例も脳裏にあるわけだが)
相川の価値は、チーム戦術にもよるが、J1でこそ生きるとも
思っていたので、その彼を温存できなかったのはもしかすると
痛恨事になるのかも知れない。

事は相川一人のことだけでなく、J1に上がっても運営資金の上積みが
厳しいどころか、減額しかねない環境で、選手の強化はおろか
現状維持すら危うく、今のままでは昇格がかえってチームの息の根を
止めかねない状態にあると思う。
今の選手の底上げするにしても、今のリーグ戦の戦い方ではおぼつかない
ことはハッキリしている。

目の前の昇格が今は最優先だが、あの後を考えることを怠れば
チームの存亡にも関わるであろうことを、ひしひしと感じている。


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