沈黙のゴル裏

2007年07月28日

今日の試合で一番戦慄したのが、選手がゴル裏に挨拶しに来たときだった。

拍手はまばら。しかしブーイングもほとんど聞こえない。
(オイラは中央やや後ろだった)
前列ではやっていた人もいたようだが、ゴル裏全体として
何も聞こえてこない。沈黙(に近い状態)で選手を迎えた。
選手が礼をしても、ノーリアクション。

オイラも、実はそうだった。
不満だった試合ではさっさと脱いだレプユニを上下ひっくり返し、
背番号12を天地逆にして掲げるのがオイラの表明なのだが、
(もっとヒドイ場合は持参の白いビニール袋で白旗だが、幸い
最近はやってないけど)
さて、脱いだレプユニを掲げようとして、はたと迷って胸に抱いた。
そしてやっぱり、何も声を出せなかった。

中二日の試合と移動(相手は一週休みの万全コンディション)
二タテ喰らった相手への逆襲を図る鳥栖のモチベーションの高さ。
設定された試合時刻の無神経さ(何でうちだけナイターでないの?)
雨上がりのつるつるピッチと、猫の目のような天気。
何もかもが札幌にとってフルパフォーマンスを発揮できない状況。

それを知っているからこそ何も言えないサポ。

試合だけを取り出してみれば、何の見どころもない、
目を見張る技術も、行き詰まるつばぜり合いも、爽快な得点も、
緊張感漂う駆け引きも、ほぼ何も感じられない凡戦。
ヘッタクソな試合、で言い捨てられてもおかしくない。
実際、ビックリするほど多くの観客が(主にSAやアウェイ側から)
終了の笛と同時にそそくさと会場を去っていった。
これ以上この場にいるのがまるで穢らわしいみたいに。
試合会場にいた時間をムダにした憤懣をイヤミっぽくぶつけたいみたいに。

でも、サポは札幌の苛酷な移動と不運な巡り合わせを知っている。
その中で勝ち、負けずに引き分けに何とか持ち込んできたのを
知っている。
でも、知っているから「よく頑張ったよね」では済ませられない
こともまた痛いほどに承知している。
首位を維持し、昇格を目指し、J1に定着する実力を持ってほしい
チームのはずなのに、こんな低品質の試合をしていてはダメだ、という
厳しい思いもある。

ねぎらってもいいかもしれない気持ちと、
ブーイングで非難したい気持ちと。
二律背反な思い。

少なくともオイラは、ひっくり返したレプユニを持ったまま、
メインスタンド側に去る選手を茫然と見送るしかなかった。

あんな沈黙の中に埋没するのは、あまり良い気分じゃない。
できればごめんこうむりたいものだ。


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