アメフトの例の件

2018年05月19日

大学アメリカンフットボール、日大と関西学院大の定期戦で起きた一件は、今や非常に大きな問題となってしまっている。

アメフト好きの中の人としても、ここまでの騒動となったのは完全に想定外だし、日本ではマイナーと言われて仕方ないこのスポーツが、今回このような形で世間の大きな注目を浴びている事が残念でならない。

今「マイナー」と書いたが、都市圏では案外盛んで、特に関西ではチェスナットリーグのような形で小中学生レベルにも普及を図っている。子供達が対象なので、上半身への両手タッチをもってタックルの代わりとする等、当然ながら通常のフットボールより更に安全を重視するルールとなっている。

チェスナットリーグの基本理念には、その最初に「勝つ為だけを目的にせず、フィールドの内外両方で、健全な身体と健全な精神の育成を目指します」とある。更には、敢えて親やコーチに向けても行動規範が定められ、

1) There are Kids (彼らは子供達です)
2) This is a Game (これはゲームです)
3)  The Coaches are Volunteers (コーチはボランティアです)
4)  The Referees are Human (審判は人間です)
5)  This is not the SUPER BOWL (これはスーパーボウルではありません)
※スーパーボウル:本場米国NFLの年間優勝決定戦で、国の一大イベントといって過言ではない。

と、過度に熱くなり子供達に醜態を晒す事を戒めている。

今回の騒動が、このような地道な取り組みに対して泥を塗っていることは言うまでもない。だからこそ関西学院大は簡単に引くわけにいかないのだ。

現場の責任者、つまり日大の監督が表向き一切対応しないのでは、余計な疑念を招いて当然である。おそらく全国ニュースやワイドショーで取り上げられるようなレベルになるとは思わなかったのであろう。いつの間にか自分の手に負えない程の火事になって茫然自失している、といった所ではないだろうか。トップが逃げているから、その下はマスコミの追及と組織との板挟みで苦しんでいる。当然である。

しかし、事ここに至ってはどうしようもない。フェアプレーの精神からすれば、一刻も早い謝罪と正直な事情説明が必要である。放置すれば、日大一つの問題では済まない。日本においてフットボール全体が疑念の目で見られる。

監督本人があくまで責任を取らないのなら、日本大学、或いは関東の連盟が組織としてけじめを取らせる事も必要かもしれない。結局原因が曖昧になる可能性があるのであまり良い方法ではないが、さりとてこのまま火事を放置する訳にはいかない。

繰り返すが今回の事は非常に残念であり、アメリカンフットボールはスポーツであって決して戦争ではないのだという事を、一刻も早く示さねばならない。


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