2015年03月04日
3/3にACL柏戦でベカメックス・ビンズォンの先発メンバーにレコンビンの名前が。 札幌に所属した選手がACLに出場する(チョソンジンも水原三星で出てた)のは感慨深いものです。 Jリーグアジア室室長の山下修作氏(北海道大学卒)が、2014年5月までのJリーグアジア戦略の事例を細かく説明してくれています。 地域活性の事例と企業に繋がったインパクトのある事例として紹介する中で 最初に出てくるのが、 「コンサドーレ札幌+レコンビン+ベトナム」の事例です。 Jリーグにとって最もインパクトがあり、発信しやすい事例であることがよくわかります。 事例の紹介資料を見ながら議事録を読むと、理解度がより高まるのですが、 公開してない資料なので、あきらめるとして、最初から最後まで読むと、 「なぜアジア戦略を推し進めるのか」 「アジアより先に地域密着を進めるべきではないか」 「レコンビン・インパクトは、ベトナムにおいてどれだけ大きかったのか」 「クラブ名に地域や都市名が入っていることのメリット(なぜ北海道コンサドーレ札幌にしたか」 といった内容を理解できると思います。 「コンサドーレの売り上げを伸ばすためのアジア戦略」みたいな風潮があります。 (私も以前はそうでした) それを前面に出した考え方では、アジアのサッカー界を搾取の対象として植民地化している イングランド・プレミアリーグのやり方と何ら変わりませんし、その考え方で真っ向勝負しても あっさり跳ね除けられるのが目に見えています。 その辺の考え方を変える意味でも、よい資料です。 口でしゃべった内容を文字起こししたので、少し長いのですが、一気に読める内容です。
平成26年度日本トップリーグ連携機構 GM研修会 講演録 および ワークショップ 講義録 (2) Jリーグメディアプロモーション アジア室室長 山下 修作 氏 http://japantopleague.jp/system/prog/article.php?kind=4&option=individual&serialno=990 ごく一部ですが、抜粋して掲載します。 (★のタイトルは、私が要約してつけました) ★少子高齢化と百年構想。現在のビジネスモデルでは頭打ちどころか衰退する一方。 Jリーグができて最初の20年は、日本全国に広げるだけでよかったねということだったと思います。 しかし今後は、高齢化、少子化してくるのは目に見えていて、 世界一の高齢化社会が見えている中で、次の20年を見据え、クラブをどんどん増やし、 日本全国に100クラブ作ろうとしている。 私は2009年の終りぐらいに、「このままのビジネスモデルだとマズいんじゃないかな」と 思い始め、そのようなことを考える役割ではなかったのですが、 当時はJリーグのネット事業やプロモーションをやっていたので、 何とか新しいビジネスモデルを考えなければならないのではないかと考え始め、 会社に提案しました。 Jリーグは放映権料とスポンサー料という2つの大きな柱で支えられていますが、 高齢化少子化で人が減っていくということは、 放映権料もスポンサー料もなかなか増えないですよね。 日本でものが売れなくなってくる中で、 企業が広告費としてサッカーへの予算を増やすかというと、そうはならない。 今までの延長線上ではない、当初は「第3の柱」って思っていたのですが、 とにかく新しい活動をして、収入の柱を作りつつ、 元からの放送権料とスポンサー料も大きくなる活動をした方がいいのではないかと。 ★アジアが強くならないと、日本は強くならない。 ノウハウをちょこちょこ売っている限り、Jリーグ自体も大きくならないですし、 アジアもなかなか大きくならないので、逆転の発想でノウハウをタダにして、 アジア自体を大きくしましょう、その中で自分たちも大きくなっていこうと。 これが「共に成長しよう」なのです。 私はこういうことをやっていきたい。 その時、「周りを強くして、自分たちはどうやって成長するんだ」とか、 「日本がワールドカップに出れなくなったらどうする」といった、 小さい突っ込みをいただいたのですが、そこは「何言っているのですか」と。 ワールドカップに日本が出られなくなるくらい、アジアのレベルが上がれば、 それは結果的に、日本がワールドカップの優勝に近づくということではないでしょうか、 という話をしました。 ★アジアに出ることで地域密着 アジア、アジアなんて言っていないで、Jリーグは地域密着を謳っているんだから、 アジア展開より地域密着をもっとやるべきだという人もいるのですが、 私は、アジアに出ることが地域活性につながると思っています。 それは何かというと、Jリーグは、各クラブに必ず地域名が入っているんですね。 コンサドーレ札幌、ヴァンフォーレ甲府と。 そうすると、例えばクールジャパンということで、ファッションとかアニメとかグルメとか 世界中に押し出していきましょう、ドラマを見てもらいましょう、音楽を聴いてもらいましょうって やってるのって、日本を押し出してはいますが、なかなか地域につながってないんです。 ただ、サッカーチームは必ず地域名が入っているので、海外からすると、 日本の枠を飛び越えて、いきなり海外と地域がつながることができるので、 地域に対するすごいメリットがあるのです。海外からお金が入ってくれば、 それでJクラブの地域密着活動の数やバリエーションが増やせるので、 地方経済が特に疲弊して行く中、企業がクラブをなかなかサポートすることができない中、 日本を飛び超えて地域にお金が入ってくる事例があります。 ★自治体も政治力も巻き込む あとは日本企業、自治体のグローバル成長戦略に使えるかなと思っています。 そんなに甘くないって怒られると思うのですが、先ほどの80年代のスカスカの国立競技場で、 ワールドカップ出場を夢見ていたぐらい、不可能だと思われるし突っ込まれるかもしれませんが、 私が絶対にやりたいと思っていることはですね、これは一つの例えですが、 サッカーで発電所を受注するみたいな、 ちょっと今の常識では考えられないかもしれないようなことなのです。 どういうことかというと、アセアンのサッカー界に携わっている方々には、 お金も政治力もある方が多くいます。 ★レコンビンは知名度を上げたのではなく好感度を上げた 地域活性の事例と企業に繋がったインパクトのある事例を紹介します。 ベトナムのスター選手でレ・コン・ビンという人がいます。 ベトナムの「カズ」「長嶋茂雄」的な人です。サッカーが圧倒的な人気の国なので。 それぐらいのスター選手が2013年、「コンサドーレ札幌」に加入しました。 地元ではトップニュース扱いだったのですが、コンサドーレ札幌のサポーターが、 そんなスター選手が来るなら、ちゃんと出迎えしなきゃということで、 彼が初めてスタジアムに来る日に、皆がベトナム国旗を買ったり、作ったりして、 数千枚をスタジアムに掲げました。 またYoutubeでベトナム国歌を勉強した女性が、試合前にトランペットでベトナム国歌を吹いたんですね。 これでレ・コン・ビンは感動して、 「こんなふうにして日本に出迎えてもらって感動して泣きそうになった。北海道の人たちは最高だ!」 みたいなコメントを出した。これがベトナム中に、その写真とともに広がった。 そうするとそれを見たベトナムの人たちが「北海道はいいところだ」という感じでコメントが広がり、 北海道の好感度がすごく上がったんですね。 知名度を上がっても、好感度はなかなか上がりにくい。 自治体が1円もお金を払わず、サポーターがこういう対応をしたことで、 北海道の好感度がうなぎのぼりになった。 レ・コン・ビンの活躍、一挙手一投足が現地で報道されたことで、住友商事がベトナム語で、 コンサドーレ札幌の看板を出しました。 ベトナムで好感度を持たれて、めちゃめちゃ見られているコンテンツだから、 J2だとか札幌だとかは関係なく、住友商事がマーケティングをするため、 コンサドーレ札幌にお金を払ったのです。アジアで活動したことによって入ってきたお金だと思います。 このお金が入ってくることによって、地域に還元されていくことにもなる。 そんなことも起きたため、去年、ベトナムでパブリックビューイングをやったのですが、 その時も北海道の観光PRみたいなビデオを流して、パンフレットも600部預かっていったのですが、 観客が1000人ぐらいきて、足りなくてクレームが出るほどの状態でした。 多くの皆さんが集まり、観てくださった。 それだけ支持されているというのがあって、去年、日本とアセアンの特別首脳会談というのが 12月に開かれたのですが、そこにレ・コン・ビン選手が国賓的な扱いで招待を受けて参加したんですね。 各国首脳、AKB、レ・コン・ビンといった風景で不思議な組み合わせの光景でしたが、 国としてもスター選手を使えるぞみたいになってきた。 おわり。
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