Jリーグが地上波で放送されない理由とは?(その1)

2013年11月19日

Jリーグが全国ネット民放地上波で放送されない理由とは?


11月24日(日) ギラヴァンツ北九州戦 試合中継追加のお知らせ
◆勝てばプレーオフ進出がほぼ決まるホーム最終戦(11月24日)ギラヴァンツ北九州戦におきまして、NHK札幌放送局での中継が決まりましたのでご案内いたします。
■対象試合:
11月24日(日)J2リーグ戦 第42節
コンサドーレ札幌 vs ギラヴァンツ北九州
会場:札幌ドーム キックオフ 12:30
【NHK札幌(北海道内)】
・NHK総合2(サブch) 12:15~13:05
・NHK総合1(メインch) 13:05~15:00
公式より


最終戦、NHK全道中継を記念して、「地上波放送」について触れます。

Jリーグが全国ネット民放地上波で放送されない理由とは?
「視聴率が取れないから」
では、なぜ視聴率が取れないのか?

1)地域密着の理念を推進するほど全国ネット地上波ビジネスモデルと相反するため
 (→札幌のファンが札幌以外(浦和-横浜FMなど)の試合を見ます?)
2)金を払ってでもテレビで試合を見たい市場はCS(スカパー)へ流れたため
 (→視聴率を底上げするハードユーザがCSへ流れた)
3)Jリーグの放送使用料が地上波放送局にとって割高なため

私の結論は以上の通り。
(視聴率という数値自体に作為的な要素があるという話は、とりあえず置いておく)

1と2は今さら説明する必要がないので省略。
3だけ個別に説明していこう。


3)Jリーグの放送使用料が地上波放送局にとって割高だから

■テレビ放送する場合の放送使用料。
※一次利用(試合放映)の料金表が無いので、
 二次利用(ニュース/サッカー番組)の料金表より参考値として抜粋(11/20追記)※基本料:基本料金/1試合
※1秒当たり:1秒当たり使用料
※100分の場合:1試合の放映で100分使用した場合の料金
※120分の場合:1試合の放映で120分使用した場合の料金

地上波 基本料 1秒当たり 100分の場合 120分の場合
 全国 30,000円 1,500円 9,030,000円 10,830,000円
 関東 25,000円 1,000円 6,025,000円  7,225,000円
 近畿 20,000円  750円 4,520,000円  5,420,000円
 名古屋15,000円  500円 3,015,000円  3,615,000円
 北海道15,000円  500円 3,015,000円  3,615,000円
 福岡 15,000円  500円 3,015,000円  3,615,000円
 その他10,000円  250円 1,510,000円  1,810,000円
(その他には独立U局を含む)

BS  20,000円  750円 4,520,000円 5,420,000円
CS/ケーブル10,000円  250円 1,510,000円 1,810,000円
~Jリーグメディアプロモーション料金表より~

そりゃ、全国や関東ローカルで放送されるわけないですね。
値段設定と広告価値と視聴率と地域密着を考えたら、
地上波民放全国ネットで放送されるわけがない。
1000万の使用料をまかなうには、いくらの広告をつけなばならないのか。
これを無料にしても、地上波民放全国ネットで放送される可能性はほとんどない。
12~15時、15~17時、18時~21時、深夜録画で使用料を分けるなど、
可能性を高める施策はあるが、やらないだろうなあ。

北海道に目を向けると、その他より割高。
テレビ受信機を設置している世帯が、211万世帯もあるから割高。
参考までに、福岡:186万世帯、名古屋(愛知):273万世帯。
NHK受信料の推計世帯支払い率より(pdf)

注目すべきは「その他(独立U局含む)」の価格。
全国ネットの影響下にない独立U局なら、土曜夜7時から放映しても、
元を取るには厳しいかもしれないが、2時間枠の自社番組制作の費用をかけるなら、
Jリーグに置き換えても、ギリギリ商売になると推測される。

この考えが正しいか、調査してみた。
あまりの衝撃的な結果に、長くなりすぎたので次回改めて。
つづく


この記事に対するコメント一覧

moto

Re:Jリーグが地上波で放送されない理由とは?(その1)

2013-11-19 06:46

その料金表は、スポーツニュースや応援番組で試合映像を利用する場合の料金です。 応援番組(札幌ならアシストや朝からコンサドーレ、ファイコンなど)やニュース番組のスポーツコーナーでの映像利用は「尺3分」のルールがありますが、リンク先の料金表にあるのはその「尺3分」の枠内での料金で、試合の放映権料そのものではありません。 いろいろ計算されてますが、そもそも、そんな金額では予算として民放より余裕のあるNHKの地域局(もっとも昨今はNHKも予算的に厳しくはありますが)でも放送できる金額ではありません。もともとローカル枠内の放送については低額の設定がなされています。ラジオにいたってはJ2なら5000円です。 ローカル放送が少ないと言うのは、(主に民放の場合ですが)それよりも「全日視聴率」「スポットCM単価」「制作費」「スカパー、NHKの放映権による放映可能数」それぞれの兼ね合いでリスクが取れないという面のほうが大きいです。 そもそも個別の放映権料について個人が問い合わせたところでJMPは回答しません。

sca

Re:Jリーグが地上波で放送されない理由とは?(その1)

2013-11-19 20:11

motoさん刺激的なコメントありがとうございます。 脇の甘い文を書いた甲斐があります。 今回のエントリの目的は、 1)「もっと地上波放送すればいい」という安易な発想に対して抑止力となるような、分かりやすい目安を持った課題を一つだけ提示する 2)万が一より深く考える人がいれば、その課題を乗り越えるような思考を引き出す です。 私の文のダメなところは 「一次利用料金はソースがないから、二次利用料金を目安とした」 と流用の背景がないことと、 「この課題を乗り越える施策は何か?」 という一文がないことですね。 突っ込みどころを用意したのは意図していました。 >「全日視聴率」「スポットCM単価」「制作費」「スカパー、NHKの放映権による放映可能数」それぞれの兼ね合いでリスクが取れないという面のほうが大きい という要素も含め理解しているのですが、 今回のエントリで「地域差はあるが、一度の地上波放送に数百万かかる」というのが伝われば私としては十分で、 「放送にかかる経費全額+使用料」と「使用料」だけが数百万違っても(数千万違えば問題ありですが)、 あれこれ要因を詰め込む意味はないという考えのもと、こんな書き方にしています。 そんなわけで、地上波放送を増やしてJリーグの放映権収入を増やす私案って何かありますか? これだけ細かい突っ込みをする方はめったにいないので、非常に期待してます。

moto

Re:Jリーグが地上波で放送されない理由とは?(その1)

2013-11-21 06:42

お返事ありがとうございます。 昨日コメント用に文章書いていたのですが、結構長くなり、おまけに一杯飲んで書きかけで途中になってしまい、日が1日開いてしまいました。 脇の甘い物を書いたとのことですが、数字を用いていながら、正しい数字ではないものを使って論を進めると言うのは、世論とまでは言わないまでも、論をミスリードすることにもなりかねないので、きつい言い方になりますが正直感心しません。 まあそれはそれで置いて、正直多種多様な要素があるので、全部に触れられませんが、前のコメントで触れた各要素を中心に書いて見ました。 まったく個人的には、放送そのものがもう有料でもいいのかなあ「ほしいものには対価を払うのが筋かなあ」とも思っていて、広告モデルなのは50年前は課金が出来なかったからで、今はB-CASを使えば地上波だって課金できる時代です。もし地上波テレビが課金制になったとき、どれだけの契約数が取れるのかの興味はあります。 しかし、そうは言っても現状の無料で見られる地上波テレビのマスに対する影響力は有料放送やネットなどおよぶべくも無く、存在を無視できません。 やはりクラブやリーグが生きていくためにも使わなくてはいけないものの一つでしょう。 一応現状思うところをいくつか述べて見たいと思います。 ・放映数規制 まずローカル域内でのホーム戦放送に限っては、放映可能数の制限をなくすのが大前提でしょう。当然放映権料体も高いハードルにならないような体系が必要でしょう。放映数制限は要するにスカパー、NHK、TBSの権利擁護、特に有料で全試合放送のスカパーへの配慮ですが、正直取っ払ってもスカパーの契約が大きく減ることはないと思います。 110度の方は分かりませんが、124/128度では全300数十万契約のうちJリーグ系パックセット契約数は1割ほどと言われているので約30万~40万未満、40クラブで割れば1クラブあたり1万、J2下位と浦和のようなクラブでは数は違うものの、ノノ社長も札幌で「核になる1万のサポーター、パートナー」と言う言い方してますが、ファンクラブに入る、シーズン券を買う、積極的にグッズを集めると言うようなロイヤルティの高い層の数は、クラブあたり平均して均せばその位だろうというイメージに合うのではないでしょうか。 「ホームはスタジアムアウェイはスカパー」のコピーの通り、そんな層は基本ホームはスタジアム、アウェイはスカパー、私も現地に行っているのでホームの「生中継」は地上波含めここ十数年見たことがありません(リピートや録画では見ますが)。ざっくり言えば「アウェイが見たいからスカパー」が現視聴層のほとんどと推し量ることができ、そもそもの視聴層が地上波とは相容れないと思います。ゆえに、微々たる動きはあるにしても、ホームのローカル中継を全戦解禁したところでJリーグ系セットの契約数が大きく変動するという事態は憂慮の範疇ではない野ではないでしょうか。規制を残すなら、アウェイ戦の地上波放送に規制をかけて、「アウェイ見たいならスカパーへどうぞ」にしてしまうのも手。なんとなく一時のソーシャルゲームの課金問題みたいですが。 ・制作費 制作費が掛かって敬遠されるなら、それこそ、その地域のホーム戦を域内で放送する場合に限る条件で、Jを通じてスカパー製作の映像を各ローカル局に低額で番販してしまうのも手ではないかと。ただ請け負ってる各地のローカル局に、Jを通しても「ライバル局に映像を売るというのは」という抵抗感はあるかもしれません。 放映権を売って自社で製作させるのではなく、近いのはオリンピックなんかの国際映像方式ですが、実況、解説と最小限のスタッフ・機材があれば中継できて放送枠が埋まる、それこそ実況解説は現地でなく局舎スタジオでつけるのもいいでしょう。局側はコストかけずに放送できる、Jは放送してもらえるというそれぞれのメリットを享受する一つの手ではないでしょうか。 もっといえば、番組スポンサーもJが開拓してきて用意、たとえば、トップパートナー以下のJスポンサーや各クラブスポンサーで意思のあるところのCMを流しまくって、広告料金はJと局で折半するみたいな形態でもいいのかと。スポンサーにも全国中継での露出せずとも、ある程度の数字が取れて各地で放送されれば、準全国放送的な扱いで認知してもらえる可能性も出てくるのではと。 やってくれないなら、やってくれるような仕組みをJが用意することも必要でないでしょうか。 ・スポットCM単価とのからみ 「全日平均視聴率」が広告の中でも益率の高いスポットCM単価の算出基準になっている現状では、クラブやJがどうこうするというより「放送すれば数字が出る」という位にクラブやリーグの価値を上げるしかないでしょうか。いくら安く放送できたとしても、土日の昼間でよく目にする2時間ドラマやバラエティの再放送と数字的にどっちがいいか的な話になってしまうので、これはか なり現実的な問題でなんともいえません。 ・時間帯 これはシーズン制にも絡んでくる問題ですが、(現状札幌には余り関係ありません)Jは本州では6月末から9月まで、暑さを避けるためのサマータイムとしてほぼ19時キックオフが基本です。 ローカル局といっても札幌の各局は東名阪のキー、準キーに次ぐ規模ですが、多くの地方ローカル局はより規模が小さいところがほとんどで、一番の収入源がキー局からのネット料と言うところが少なくありません。そんな局にとって土日のゴールデン枠をつぶしてネット料がもらえなくなる中での放送はありえず、この時間に試合をしたところで放送する局は皆無です(TX系はローカル枠なのでそうでもありませんが数が無い)。 じゃあテレビに合わせて「暑くてやるほうも見るほうも厳しいけど昼2時、3時キックオフ」にするか、暑い時期を避けたカレンダーにして、基本「土日の昼間の試合が可能な時期にシーズンをずらす」か。危機だというならそこまでやるくらいの覚悟はいるかもしれません。現実にオリンピックもNBCの意向次第なくらいなので。 ここからは個人的考えですが、一ついえるのは「放映権料を増やす」、「放映権料で稼いで分配金を」というよりも、そこで儲けなくてもいいから「地上波はあくまでプロモーション用に使わせてもらう」くらいな発想でもいいんじゃないでしょうか。 たとえば、毎試合のように放送してれば「近くでやってるんだから行ってみようかな」と毎試合とはいかなくてもスタジアムに来てくれるようになる、だんさんホームだけでなく、アウェイも気になる、テキスト速報もいいがやっぱり画が見たいとなればお金払っても見ようかなど、地上波の露出で人を呼ぶ、見たいという欲求を刺激することで有料放送の契約につなげたり、周辺の消費も刺激するようなサイクルで考えてもいいし、そうなれば有料放送にとっても結局はおいしい話になるのではないでしょうか。 海外リーグもJもスタジアムで本物を見ていないのに「Jリーグはレベルがねえ・・・」という層もいますが、毎試合のほうにホームの放送があれば、何度も見るなかで一定数はそれぞれの切り口で興味を持つ層もまた確実にいるわけで。 スポンサー筋にしても毎週ウチの看板が写るなら広告を出してみたいという希望も出てくるのではないでしょうか。クラブの地元だけでなく全国展開するような大手だって、40クラブで毎週末20試合全国各地で試合があって、全てローカル放送ありとは行かなくても、10数試合規模で全国各地で放送されてるとなれば広告露出機会としては結構なボリュームです。現状Jトップパートナーは1億らしいですが、「それだけ写るなら2億出してもいい」「4億出すからウチだけLED看板の表示時間を10分余計にくれ」と言う野心的なところも出てくるかもしれません。 放映権料が増えるに越したことは無いのですが、じゃあ現状の倍額になるとか、プレミアやブンデスのような金額がどっと入ってくるなどは非現実的なわけです。 ならば「地上波ローカルはあくまでショーケース」と考えて、放映権料金額を増やすと言うよりあくまで「放映数重視」。ある意味薄利多売にはなりますが、露出増でチケット、広告、有料放送収入、物販などなどリーグ、クラブの収入を底上げさせるツールとして考えるくらいでもいいのではないのでしょうか。母数が増えてJリーグセットの契約率が15や20%になればそのときスカパーからがっぽり貰えばいいわけで。 現状やってくれないなら、痒いところに手がとどく的に、やりたいと思うように仕向けるJ側のアプローチは必須でしょう。 かなり長くなりましたが、あくまで個人的な考えを書かせていただきました。 中身があるのか無いのか分かりませんが、長文で失礼しました。

sca

Re:Jリーグが地上波で放送されない理由とは?(その1)

2013-11-22 01:27

motoさんコメントありがとうございます。 ポイントを分けて分析されており、とても素晴らしい! 私の考えも長いので後日UPします。 1つだけ今のうちに。 >そこで儲けなくてもいいから「地上波はあくまでプロモーション用に使わせてもらう」くらいな発想でもいいんじゃないでしょうか。 地上波に関しては、どこまで割り切れるかなど、ここの落としどころが答えだと考えています。 ただし、シチュエーションが揃わないことには、 試合を放送しても、プロモーションにすらならないでしょうから、 どのような形態がベストかは、難しいところですね。

MO

Re:Jリーグが地上波で放送されない理由とは?(その1)

2019-03-15 19:31

NHKはサブもあり視聴料も取っているのに馬鹿にしている。 一番悪いのはサッカー協会、  DAZON辞めてしまえ

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