愛媛FC粉飾決算発覚!過去2年は実は赤字だった!ライセンスはどうなる?

2015年01月17日

愛媛FCが2012~2013年度の会計報告で黒字と発表していたが、実は赤字だったと発表。
平成24年度および平成25年度の決算処理に関するご報告とお詫び(愛媛FC公式)

先に私の見解を述べておきます。
粉飾決算そのものはよくないことですが、今回の1件で分かったことは、
愛媛FCの経営は厳しいものの、思ったほど悪くない、
むしろ地方クラブとして悪条件が多い中で大健闘してるほうじゃないの?
といったものです。

1億円超の営業赤字を黒字に見せるため数千万円もの寄付を受けるクラブもあれば、
実態は数億円の営業赤字でも黒字に見せるため数億円の補填を広告料収入にするクラブもある。
それらと比べたら、経営状況はよっぽどマシなほうです。
単に愛媛にはビッグな親会社からの補填がない(もしくは少ない)というだけです。

赤字は赤字ですし、大変な思いをされていると思いますが、債務超過でもないですし、
悪いところを改善するよいきっかけを得たと思って、
今後さらによりよい経営をしてほしいと思います。

Jリーグの会見での発言から1つ拾っておきます。
「それから裁定委員会のほうですが、これから第三者委員会を組成します。
県と伊予銀行も全面的に協力しようということなので、
これからメンバーが選ばれていろいろな調査が行われることになると思います。」
冷静に考えれば分かりますが、今回の1件は多少なりともイメージダウンはあると思いますが、
地域やJリーグが突き放したり見放すようなベクトルの問題ではないということは理解しておきたいです。


ここから本題。
様々なメディアで扱われてますが、今回の一件について何が起きたのか
サッカーキングが分かりやすくに書いているので、一部引用します。


本件は昨年10月に退社した元経理担当者が、クラブ決算を黒字化させることを目的に
2年間にわたって不適切な会計処理を行っていたことに端を発する。
平成24年度は約50万円の黒字が実際は約3400万円の赤字に、
平成25年度は約150万円の黒字が実際は約6100万円のマイナスとなり、
2年間で合わせて約9500万円の赤字に修正された。
この複数年度における架空計上を、結果的に公認会計士も見落としたことで
粉飾決算が成立してしまった。
なお、平成26年度は約430万円の黒字が見込まれており、
現時点までの調査では問題ないとされているが、
Jリーグ側はこれまでと異なる監査法人での決算処理を求めている。
愛媛FCが多年度にわたる粉飾決算……第三者委員会で追加調査へfromサッカーキング


もう少し踏み込んで、Jリーグの会見内容を読みたい方は、
スポーツナビ(Jリーグの会見内容全文)をご覧ください。
Jリーグの会見内容を読まないことには、今回の件に触れてはいけないと思います。
何が問題なのか分からず「粉飾!粉飾!」と騒ぎ立てるだけになるので。

愛媛FCの粉飾決算にJリーグ側が見解 第三者委員会を設置、さらなる原因追及へ


代表戦(18時)の開始直前(17時)に、
Jリーグが愛媛FCの経営状況について記者会見すると情報が流れたので、
メディアの報道を埋没させる絶妙なタイミングでした。
現に、アジアカップの話題で埋もれてしまいましたから。

さて、今回の件を掘り下げる前に、過去3年(2011-13)の経営情報を振り返ります。
ehimePL

今回の粉飾決算の原因は、どこにあるのか?
正確に言うと、なぜ粉飾決算せねばならないほどの赤字を生んでいるのか?
について分析します。

ポイントは3つ
1)2年で入場者数が16,000人も増えているのに、入場料収入が300万円しか増えてない。
2)営業費用増の主因がチーム人件費で人件費比率は年々上がっている(41%→44%→45%)
3)広告料収入(175→199→217百万円)、アカデミー収入とも増えている(51→63→67百万円)

【解説】
1)2年で入場者数が16,000人も増えているのに、入場料収入が300万円しか増えてない。
2013年のJ2の平均客単価は1222円なので、愛媛の675円はかなり低い部類に入ります。
というか、J2で一番安いです。
16,000人も増えたのですから、入場料収入が増えてもよさそうですが、
経営状況を好転させるほどの増加にはなっていません。
とはいえ、16,000人も増えたのですから、スタジアムの広告効果が増し、
それが広告料収入の増加(175→199→217百万円)に寄与しているという捉え方もアリです。

直感的に「タダ券」を想像されると思いますが、
小学生の無料招待事業ストライカーファンドの招待券など、
0円客が増える要素はあるので、あまり問題視してません。

この客単価低下(=なかなか上がらない)の根本原因はそこではないと思います。

長くなるので端的にまとめると、以下に問題があると考えます。
1)陸スタ
2)スタジアムのアクセス
3)J2クラブなのにバックスタンドの価格設定はJ1仕様

J2中位~下位のクラブのサッカーをアクセスがいまいちで屋根なし陸スタの
バックスタンドの中央で見るのに2800円も払う人は、
いわゆるサポーターでないとなかなか支払わないと思うのです。
自分なら何かもの凄いシチュエーションがあれば行きます。
(J2優勝とか降格の一歩手前とか)
そうでないと難しいなあ。
(ドームや三ッ沢なら行くが、厚別には行かないのと同義)。

じゃあどうすれば?という話になるのですが、
愛媛FCは発信する情報が多いし、
活躍して巣立っていく期限付き移籍選手が多いし(横浜FM斎藤学、甲府堀米勇輝など)、
四国最強のユース(2014は四国プリンス2位!)があるし、
2013年から始めた小学生は全試合無料招待フリーパスがあるし、
そういった魅力が少しずつ広まって、
入場者増、広告料収入増、アカデミー収入増につながっています。

粉飾決算したり、赤字だったり、陸スタだったり問題ありますが、
よいクラブなんです、愛媛FC。

長くなってきたのでつづく。


おまけ
一般紙でも扱われているので、リンクを貼っておきます。スポーツ紙は割愛。
読売新聞
J2愛媛、9千万円の赤字隠し…制裁を検討

毎日新聞
<J2>愛媛FCが粉飾決算…12・13年度、実際は赤字

朝日新聞
J2愛媛FCが粉飾決算 12・13年度、赤字を黒字に

愛媛新聞(愛媛FC会見動画あり)
愛媛FCが不適切会計 12・13年度赤字に

スポーツナビ(Jリーグの会見内容全文)



この記事に対するコメント一覧

エリ○ール

Re:愛媛FC粉飾決算発覚!過去2年は実は赤字だった!ライセンスはどうなる?

2015-01-17 14:46

愛媛の大きな製紙会社のぼっちゃんが賭博で失った100億円がもしも愛媛FCに突っ込まれていれば、超ビッグクラブになれたのにねぇ。

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