なぜレコンビン(元コンサドーレ札幌)との交渉が破談したのか?(反省点など)

2014年01月10日

レコンビン交渉失敗の過程を未練がましく書き連ねます。

失敗の原因
プロとして結果を残せなかったフロントのいくつかの判断ミスとスピード不足と力不足と金不足
開幕まで1ヵ月を切ってなお所属元の地元スターでエースFWをブン取る姿勢を貫いた札幌の力不足


前回記事に書いた移籍交渉の背景を前提に書き連ねます。
レコンビン契約満了の背景と経緯と本人コメントまとめ


圧倒的に不利な状況でコンサドーレ札幌は、
ソンラム・ゲアンが満足できるような条件を提示できなかったのですから、
相手を納得させる財力も、交渉力も、それができる人材もまだなかったと解釈しています。
本人の意向がどうあれ、交渉はあくまでクラブ間の話であり、
交渉先を納得させられなかったコンサドーレ札幌のフロントに力が足りなかった。

ベトナムのクラブ(企業)の日本人的な感覚で言う稚拙さは今に始まったわけではなく、
ベトナムという国の社会や商慣習や気質を経験していれば、
押し切るべきタイミングはある程度までは分かったはずで、
それを迅速に対応できる人材がいないんですね。
そんな感想から、コンサドーレ札幌はフットボール・ビジネスの世界でまだまだ未熟と感じました。
同時に、この交渉の過程で得た経験は、今のところ他のクラブにはない大きな財産になりました。

札幌のミステイクを挙げると、3つあると考えています。
1)相手クラブの契約下にある選手に交渉の一部を託した
2)時間をかけすぎた。合意に達してから調印までに間を空けすぎた
3)交渉すべき相手を見誤った(社長の上に会長がいた)

交渉先の契約下にある選手の獲得に対し、
選手の意志をアテにし、交渉の一部を選手に託し、最終決断を選手に迫るという動き方。
これでは、札幌側に主導権を持ってこれない。
それどころか、主導権が選手にある状態。
ここで、現地に張り付けるクラブの責任者や代理人がいなかったのは痛かった。
報道を鵜呑みにすれば、レコンビンは札幌にもゲアンにも「残留したい」と意思表示していました。
この言葉にはウソはないでしょう。
ただ「相手側に断ってでも」という発言はありませんでした。
多くのものを背負うスターの重荷ととらえるべきか・・・。

もう1つの判断ミスがありました。
12/27の朝、最後にチャンスが生まれ、ソンラムゲアン公式でも移籍を容認する内容のコメントを発表した。
これはnikkanの報道で「札幌の仕事納めだった12月27日時点では、調印を残すだけだった」
とあるとおり、双方同じ動きをしているので間違いは無い。
しかし、「年明けに発表することで合意していた。」って、
下手売ったなあというのが正直なところ。
調印を年明けにするというのは、間を空けすぎ。遅すぎ。
夏の交渉でも「前日と言ってることが違う」という経験が活きていない印象。
相手の気が変わる前に、すぐにでも飛ぶべきだった。
合意してから飛ぶようじゃ遅いんですけどね。
やはり、現地張り付きの責任者がいないのは痛かったです。

一連の動きの中、道内メディアとベトナムメディアでは、後者の方がより情報(特にコメント)が多かった。
現地取材するわけでもない道内メディアを信頼しうる材料は、チーム関係者のコメントくらい。
まあそれは、向こうも同じか。
改めてよく分かったのは、一方のメディアだけを鵜呑みにするのは、実に危険だということ。
双方のメディアから出てくる当事者のコメントを中心に事実と真実を読み解く力が試されます。

nikkanの報道にある三上GMのコメント
「信頼関係を再び築くのは難しいし、再び獲得に動くことはない」は
裏があるように感じており、うまいこと釘を打つなあと感心してしまいました。
あの報道を真に受ければ、他のJクラブはベトナムの選手獲得に二の足を踏むでしょう。
交渉失敗の矛先を他に向ける効果もありましたから、
ああ言うしかなかったんじゃなかろうかと思いますが、腹の中は分かりません。
もし、年明けにレコンビンと契約できていたとしても、
ベトナムリーグ1週間前に、国民的スター選手をブン取った印象が残りますから、
12月中頃に決着できなかった時点で、負け戦だった印象は否めません。
行動力がある人物なら時期とタイミングを見計らって、獲得交渉に動くでしょう。

ちなみに、今回交渉相手のソンラム・ゲアンについては、
交渉過程の文書をメディアに公開するという信頼を失墜する行為があったのは事実ですので、
三上GMの(というよりメディアの)発言(「信頼関係を・・・」)は、レコンビンに対する信頼ではなく、
交渉相手のソンラム・ゲアンに対するものと解釈してます。
ここまでしてブチ壊す覚悟があったのは大したものです。


昨年の古田移籍交渉における交渉先のレターに対する受け止め方といい、
今回のレコンビン移籍交渉における相手との合意の受け止め方といい、
コンサドーレ札幌の文化なのか、社風なのか、
押しの弱さというか、畳みかける折衝力の不足を感じています。
今の財力では、そういう力を持つ人を自前で育てるしかないのでしょうか。
ヒト、カネ、チカラ。
全てが今一歩足りなかった。
そんな印象です。

ウダウダ書き連ねましたが、圧倒的に不利な交渉で、時間切れになった後で、
一度は相手から合意を引き出したことは、
素直に「難しい交渉を経て、よくやった」と高く評価したいと思います。
これを、次の東南アジア戦略へ繋げてほしいです。

つづく


この記事に対するコメント一覧

Re:なぜレコンビン(元コンサドーレ札幌)との交渉が破談したのか?(反省点など)

2014-01-10 09:59

随分とまた結果論に次ぐ結果論で・・・ 書かれた事をすべて考慮してたら どのチームとも交渉なんてできないんじゃないですかね?

sca

Re:なぜレコンビン(元コンサドーレ札幌)との交渉が破談したのか?(反省点など)

2014-01-11 09:23

腹の中をさらけ出す必要もないですし、表に出ている情報なんて実際に繰り広げられた過程のごく一部。 海外の人々相手に交渉事を行うのに、幾重にも対策を施しますし、私が挙げた程度のことなんて考慮して当たり前ですから。

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