2016年04月21日
平成28年熊本地震の影響で、ロアッソ熊本は 4月17日のアウェイ京都戦、23日のホーム横浜FC戦に続き、29日のアウェイ山形戦、5月3日のホーム愛媛戦、7日のアウェイ札幌戦も 中止(延期)となりました。 確かに 大きな余震が続き、いつになったら落ち着くのか見通しも立たない現状では 試合どころではないという気持ちも理解できます。 せめて 早く余震だけでも 収まってくれると良いのですが・・・・・ 熊本で大地震が起きて間もなくに 地球の裏側のエクアドルでも大地震が起き、570人以上の方が犠牲に。 地中海ではアフリカからの難民船が沈没し、500人以上が亡くなった可能性があるのだとか。 フランスやベルギーで起きた 連続テロ事件や、終息が見えない ISとの戦い。 日本国内に目を戻しても、子供の虐待や DVなど。 地球上に悲劇が溢れています。 熊本で大地震が起こったからと言って、東日本大震災が終わった訳ではありません。 昨年9月の鬼怒川決壊からの復興だって まだまだでしょう。 その中で僕たちが出来ること。 まずは 普通に働いて、普通に生活し、時にはお酒を飲んだり レジャーを楽しんで、経済を回すこと。 少し余裕があれば 寄付やボランティアなどの支援活動をすること。 過去の悲劇を忘れずに、支援を継続すること。 みんなが力を合わせ、少しずつ辛抱し、助け合っていく事だと思います。 がんばれ 熊本、がんばれ 東北、がんばれ 日本!
今日は 某国連関係の団体から 寄付の依頼の電話が来ました。 メールや 封書は 良く来ますが、電話は初めて。寄付金が 伸び悩んでいるそうです。 時々、UNHCRや UNICEF、気が向いたら Wikipedia などにも 少額ながら寄付をしているのですが、貧乏サラリーマンに出来る事は 限られています。 今はまず 熊本への支援だと思うのですが、それからは・・・・・ コンサドーレにも カンパしたいしなぁ・・・・・ さてさて どうしたものでしょう。
2016年04月20日
『何者』 朝井リョウ 第148回直木賞受賞作で、今年秋に佐藤健や有村架純らの主演で映画化されます。 巷は 就職活動シーズンの真っ盛りです。 この本に出てくるのは 本当にどこにでもいるような就職活動中の若者で、SNSを小道具に 彼らの日常を等身大に描くことによって、誰もが持っている 心の闇と醜さ、本音と建前、二面性、アイデンティティの確立に悩む姿 を上手く表現できていると思います。 「何者」 というタイトルも、なかなか含むものがあって 良いですね。 ただ、そこら中に溢れているストーリーで、エンターテインメント性はありません。 最終的には そこそこ面白かったけれど、文章の読みにくさもあって なかなか面白さが伝わって来ず、読み終えるのに いつもの倍以上の時間がかかりました。 SNS の代表のように Twitterが登場しますが、既に古びてきた印象は否めません。この辺は難しいところです。 さて、そうやって苦労して苦労して、やっと就職した会社がブラック企業だったとしたら・・・。
『ちょっと今から仕事やめてくる』 北川恵海 第21回電撃小説大賞 “メディアワークス文庫賞” 受賞作。 簡単に読めるライトノベルです。 やっと就職した会社は 典型的なブラック企業。心身共に衰弱しきった僕は、無意識に線路に飛び込もうしたところを 同級生を名乗る男に助けられた。彼はいったい何者で、何故助けてくれたのか? 実は 僕も最初に就職した会社は、一部上場企業の北海道販社だったのですが、殆どブラック企業でした。それでも 結婚を考えていた時期だった事もあって 辞めるに辞められなかったのですが、一緒に生活するようになり 激務の実態を知った家内も退職を勧めてくれて、早々に退職する事にしました。転職して給与は下がりましたが、身体を壊したり 事故を起こしては 元も子も無い訳で、今思えば 本当に良かったと思います。 ブラック企業でこき使われて メンタルを病んだり 自殺したり というニュースを見る度に、何故 そうなる前にサッサと辞めないのだろう と思いますが、当の本人は 周囲に対する見栄だったり 期待に応えなきゃというプレッシャーもあって、ある種のマインドコントロールに罹っているのではないでしょうか。 この本は、ささやかながら そうした状況から抜け出すお手伝い、後押しをしてくれるかもしれません。
2016年04月16日
平成28年熊本地震、大きな被害が出ています。 亡くなられた方々にはお悔やみを、被災された方々には心よりお見舞いを申し上げると共に、少しでも早く地震が収まる事を祈るのみです。 今回の地震は 布田川断層帯と日奈久断層帯という活断層の横ズレにより発生したとの見方が有力で、実際に 畑が途中から 1メートル程もずれた映像や 南阿蘇村の観測点が97㎝もずれたという国土地理院の発表もありました。 札幌近郊にも 野幌丘陵断層帯、月寒背斜に関連する断層、西札幌背斜に関連する断層 という3つの断層帯があり、過去には それが原因とみられる地震も起きています。 札幌市では それによる地震の被害を想定した資料、地震防災マップを作成し、web上でも 公表されています。こちら。 どうも今一歩よく見方がわからないのですが、僕の家の辺りは 震度6弱が予想されているようです。 改めて気を付けないと、と言うか きちんと備えをしておかないといけないと思いますね。喉元過ぎれば熱さを忘れる。東日本大震災の後で いろいろと準備はしたのですが、昨年秋に ストーブ用の灯油は更新したけれど、水や非常食は消費期限までに使ってしまって買い置きしていないし、携帯コンロのガスも足りないです。 そもそも 我が家は震度6弱に耐えられるのでしょうか?
2016年04月14日
元北海道警察の警察官、稲葉圭昭、 様々な悪事を働いた挙句、覚醒剤の使用がバレて御用。 実刑判決を受けて 9年間服役し、2011年9月に出所。 出所直後の同年10月に出版されたのが この本です。 「日本で一番悪い奴ら」 というタイトル、綾野剛主演で 映画化 (2016年6月公開) される関係で、今は表紙カバーが 二重になっています。 警察官時代に 自らが どのようか経緯で犯罪に手を染めて行ったのか、北海道警察という組織の犯罪を 赤裸々に語っています。 ロシア人船員への違法なおとり捜査が明らかとなっている現在、書かれている内容は それなりに信用しても良いのでしょう。 ただ、稲葉という警察官の人物像を含め、個人的に 何人かの関係者から聞いた話とは ずいぶんと違っている部分も多く、自らの犯罪の全てを正直に語っているとは とても思えません。 少なからず自己弁護に終始しているという印象は否めず、物足りないというか、シラケるというか、中途半端な読後感でした。 それでも、警察という組織の一端を窺えるのは間違いない訳で、北海道民として一読の価値はあると思います。 一生懸命に真面目に勤務している大半の警察官の皆さんには やりきれない本でしょうね。
2016年04月08日
『炎路を行く者』 は 守り人シリーズの番外編、 タルシュ王国のラウル王子の密偵を務めるヒュウゴの若き日を描く中編 「炎路の旅人」 と、 若き日の未熟なバルサを描く短編 「十五の我には」 の 2編が収録されています。 「炎路の旅人」 あとがきによると、「炎路の旅人」 は 「蒼路の旅人」 の前に書かれたものの、この作品によって 「蒼路の旅人」 から 「天と地の守り人」 へと繋がる大河ファンタジーの構想が生まれた為に お蔵入りとなり、シリーズ完結後に 長編から中編に書き換えられて発表されたそうです。 確かに、「精霊の守り人」 から 「神の守り人」までと、「蒼路の旅人」 以降では 雰囲気が大きく変わりましたよね。 守り人シリーズ後半のキーパーソンで、どこか影のある謎の密偵ヒュウゴの誕生秘話が描かれ、番外編ではありますが、本編をより深く理解するためには必読。バルサと どこか重なるヒュウゴ、その真の姿が 明らかとなります。 ヒュウゴに限らず、守り人シリーズの登場人物には それぞれに物語があり、それは本編からも伝わってくるのですが、改めて こうした番外編を読むと、ここまで作り込んでいたんだと その緻密さに驚かされ、そうした物語の積み重ねが 作品に深さと重みを与えているのだと 再認識しました。 「十五の我には」 36歳となったバルサが、17歳のチャグムと 15歳の頃の自分の姿を重ね合わせて振り返る、ジグロに 厳しくも優しく鍛えられた日々。 十五の我には 見えざりし、弓のゆがみと 矢のゆがみ、 二十の我の この目には、なんなく見える ふしぎさよ・・・ 歯噛みし、迷い、うちふるえ、暗い夜道を歩きおる、あの日の我に会えるなら、 五年の月日のふしぎさを、十五の我に 語りたや・・・・ ジグロが口ずさむカンバルの詩人 ロルアの詩が、印象的です。
「春の光」 これは 『守り人のすべて』 という 守り人シリーズの完全ガイドブックの巻末に収録された掌編です。ゴメンナサイ、立ち読みで済ませてしまいました。 シリーズ完結後の バルサとタンダの ある一日が描かれ、穏やかに過ごす二人の幸せそうな姿に ホッとします。 そんな日々が末永く続いてくれると良いな、と 願わずにはいられません。 『流れ行く者』 も 番外編の短編集です。 11歳の 心優しいタンダが主人公の 「浮き籾」、 バルサに ススットという賭け事の神髄を教えた老女が主人公の 「ラフラ(賭事師)」、 バルサが初めて人を殺めた日、10代のバルサと ジグロを描いた 「流れ行く者」、 幼いタンダの 淡い恋心を描いた 「寒のふるまい」、 サイドストーリーも深いです。
2016年04月06日
「精霊の守り人」は 上橋菜穂子の長編ファンタジーで、守り人シリーズという異世界長編ファンタジーの 最初の一冊でもあります。 このシリーズは 1.精霊の守り人 2.闇の守り人 3.夢の守り人 4.虚空の旅人 5.神の守り人 来訪編 神の守り人 帰還編 6.蒼路の旅人 7.天と地の守り人 ロタ王国編 天と地の守り人 カンバル王国編 天と地の守り人 新ヨゴ皇国編 8.流れ行く者 (短編集) 9.炎路を行く者 (短編集) 10.春の光 (「守り人のすべて」というガイドブックに収録された短編) から成り、現時点で文庫化されているのは 1~8までの長編10冊と 短編集2冊です。
全編 (と言っても文庫化されているものだけなのですが) を通して読んだのは今回が初めてなのですが、いやぁ 面白かったです。 児童文学だけあって 難しい表現がなく スラスラ読めるせいもありましたが、久々に時間を忘れて読み耽ったという感じで、2週間もかからずに読み終えました。 NHKでテレビドラマ化され、綾瀬はるか演じる女用心棒バルサが 川に落ちた皇子チャグムを助けるシーンが番宣CMとして何度も流されていたので、バルサとチャグムという名前を覚えた方も多いと思いますが、そのシーンから始まる物語が 「精霊の守り人」です。 その後は、基本的に バルサを主人公とするものを 「~の守り人」、チャグムを主人公とするものを 「~の旅人」として展開し、完結編となる 「天と地の守り人」で 再び 2人が合流します。 各巻毎に 物語は一応完結しますが、「精霊の守り人」に始まって 「天と地の守り人」で終わるまで 物語の中で流れる時間は 6~7年、その間に 新ヨゴ皇国の第二皇子チャグムが 父である帝との軋轢に悩みながらも 故国と民を守るために バルサや 薬草士タンダ、呪術師トロガイらの力を借りながら 様々な苦難を乗り越え 大きく成長して行く姿は 時に感動的ですらあり、全編を通して読んでこそ 初めて判るものがあります。 児童文学というカテゴリーに入っていますが、その世界観や ストーリー、しっかりと細部まで練り込まれた構成は 大人の読者にも十分に耐えられる作品で、特に 「蒼路の旅人」から 「天と地の守り人」に続く流れは とても児童文学という範疇には収まりきれません。 主人公のバルサが 10代のキャピキャピした女の子ではなく 様々な苦労を味わってきた大人の渋い女性という設定や、広げ過ぎていない精霊や呪術の世界、人間の心の動きを丁寧に追ってリアリティーを出している点などが 高評価につながっているのでしょうね。 小野不由美の 「十二国記」も良かったですが、それ以上のように感じました。 文庫化されていない2冊も早く探して買ってこないと・・・・・
2016年04月06日
大好評のうちに幕を閉じた「CATS」に続く 劇団四季のミュージカルは 「WICKED (ウィキッド)」。 ”もう一つのオズの魔法使い” というサブタイトルが示す通り、後に "西の悪い魔女 エルファバ"、 "善い魔女 グリンダ" と呼ばれることになる二人の少女の出会いと別れを描く作品だそうです。 予告編は こちら から。 「ウィキッド」は まだ観た事はないのですが、なかなか評判は良いようですし、「オズの魔法使い」は 本も映画も大好きな作品なので、本当に楽しみです。 (映画の中でドロシーが唄う 「虹の彼方に (Over The Rainbow)」は名曲ですよね。) 開幕まで1カ月を切り、地下街の広告も 劇場も ウィキッド仕様になってきました。 チケットも届いたし、準備は万端です!
2016年04月05日
第153回直木賞受賞作で、2016年本屋大賞にも ノミネートされています。 本屋大賞の発表は4月12日ですが、受賞はちょっと難しいかな。 舞台は 1970年代後半の台湾。国民党総統の蒋介石が死去した日に、かつて国民党に属し 大陸で中国共産党と戦った祖父は殺された。それを発見したのは 孫の秋生、17歳の高校生。 若かりし頃に様々な武勇伝を持つ祖父を殺したのは 誰か? その事件の秘密を追って、その秘密に追われるように、秋生は 自らのルーツでもある中国大陸へ流れていく、というミステリー仕立ての青春小説。 5歳まで台湾で育った 外省人三世の作者だからこそ書けた作品で、中国大陸にルーツを持つ台湾人(=外省人) の不確かなバックグラウンドが とても興味深く面白い。抗日戦争の後の国共内戦、台湾の成立と大陸との対立、外省人と本省人、中国人ならではの感性や考え方など、物語の背景にある 中国と台湾、家族の歴史が この作品に深みを与えています。いくら丁寧に取材をしたとしても、日本人には決して書けない作品でしょう。 一方で、太平洋戦争=抗日戦争後の中国で 毛沢東らが率いる共産党軍と 蒋介石率いる国民党軍が戦った 内戦があったという事、戦いに敗れた国民党は 台湾に流れて国民党政府を作ったという事、大陸から流れて来た外省人と 台湾土着の本省人との軋轢など、基本的な知識が無いと この面白さは判らないかもしれません。 いろんなエピソードを雑多に盛り込み過ぎなのと、ところどころ日本語がおかしいのは ご愛嬌。 直木賞受賞作なのに、、、、というご意見はあるでしょうが、直木賞は そもそも無名・新人及び中堅作家による 大衆小説に与えられる文学賞ですので、あまり目くじらを立てないように。 中国繋がりで もう一冊。
『時が滲む朝』 楊逸 中国ハルピン市出身の中国人作家、楊逸の作品で、 第139回(2008年上半期)の芥川賞受賞作です。 1988年に 中国の貧しい農村から地方の名門大学へ進んだ 梁浩遠と謝志強という 理想に燃える二人の大学生が 主人公。 二人は まだ若い大学教授や 多くの学生と議論を重ねる中で 愛国や民主化を考えるようになり、中国民主化運動に参加するものの、1989年の天安門事件で 挫折。運動に対して冷やかな一般市民と悶着を起こして大学は退学処分となり、学生を指導した大学教授は外国へ亡命、二人が憧れた女子学生リーダーは行方不明となる。 その後の二人の人生の苦悩や哀歓、成長していく姿を描いていますが、北京五輪を前にした現代中国の実像、心情がリアルに伝わって来るようです。何かを諦め、大人になるということの現実が寂しく、どこか切ない一冊でした。 ♫ 就職が決まって髪を切ってきたとき、もう若くないさ と君に言い訳したね ♬ いつかどこかで聞いたような、読んだようなストーリーで、「学生運動に熱狂した若者が挫折し、その後の平凡な生活に幸せを見出だしていくという小説の 中国版」 という印象は拭いきれませんが、だからこそ読んでみる価値があるように思います。