2017年04月27日
先日、北京の公園で 尾羽の長い白黒の鳥を見かけました。 群れではなく、一羽から数羽単位で飛んでいました。
カラスよりも一回り小さいくらいの中型鳥で、子供なら パンダみたい! と喜びそうです。 ただ、鳴き声は カシャカシャというか ギィギィというか、はっきり言って悪声です。 この鳴き声を聞いて 真っ先に頭に浮かんだのは 村上春樹の 「ねじまき鳥クロニクル」 に登場する ”ねじまき鳥” 。 作中では 「まるでねじでも巻くようなギイイイッという規則的な鳥の声」 と表現されていますが、まさにそれではないか? というのが第一印象。 その場では鳥の名前は判らなかったのですが、帰って来て調べると どうも 「カササギ」 らしい。 「ねじまき鳥クロニクル」 の第1部は 「泥棒かささぎ編」 ですから、ねじまき鳥 = かささぎ というのは 案外アリなのではないかと思いました。 You Tube には かささぎの鳴き声がいくつかアップされていますので、興味のある方はチェックしてみて下さい。 ところで、カササギは 中国では 七夕の時に織姫と彦星の架け橋を担う鳥として 古くから親しまれているそうです。 明代の史跡の壁や天井にも カササギの絵が描かれていました。
元々日本にはいなかった鳥で、僕も名前は知っていても 見た事はなかったのですが、九州北部では 中国や韓国から渡って来て 繁殖しているそうです。 また、近年は 苫小牧・室蘭方面でも 繁殖が確認されている他、札幌市手稲区方面でも観察されているそうですから、そのうち我が家の庭先で見かけるかもしれませんね。 「泥棒かささぎ」 はプッチーニの オペラのタイトルです。 「ねじまき鳥クロニクル」 では 主人公がラジオをつけた時に その序曲が流れてきます。 カササギは光る物を集める と言われている事から付いたのでしょうが、実際は そのような習性はないそうです。
2017年04月25日
北京へ行って 一番驚いたのは 交通ルールやマナーの違い。 基本的に 歩行者よりも車優先で、青信号で横断歩道を渡っている歩行者がいても 平気で突っ込んでいくのには驚きました。現地の人は慣れているようですが、交差点を渡るだけでも ヒヤヒヤです。 車は右側通行で、交差点で右折する際は 信号は関係ないようです。右折や車線変更の際には かなり強引に割り込む為、クラクションがアチコチで鳴らされています。それでも お互いに譲らないため、車体が並ぶようにぶつかるのは日常茶飯事らしく、車体の横に擦り傷のある車を頻繁に見かけました。 自転車もたくさん走っています。 その中で目立っていたのが この3種。 オレンジ色の MOBIKE
青い BLUEGOGO
黄色の OFO
この3種は ここ数年で一気に普及したレンタル自転車で、登録さえすれば 誰でも利用可能だそうです。 道端に停まっている自転車を利用したい場合は スマホで鍵を解錠し、どこで乗り捨ててもOK。 利用料は スマホに課金されるそうで、30分五角(0.5元)、1時間一元など様々です。
地下鉄駅周辺やポイントになる場所には多数停まっているので、すぐに利用できて便利ですし、安いです。 札幌にはポロクルがありますが、ポート(自転車置き場)が決まっているので、いまいち不便で、なかなか利用できません。 レンタル自転車に関しては 中国の勝ちでしょうか。 ただ、自動車と同じで 自転車もマナーは悪いです。 信号無視や斜め横断、逆走は頻繁... あ、これは日本でも同じですね。
2017年04月25日
今朝のNHKだったかな、イタリアで三輪車での商品移動販売が人気の兆し! とのニュースがありましたが、北京では 三輪車がバンバン走っていました。 三輪車のタクシー。 タイのトゥクトゥク、フィリピンのトライシクル、インドのリクシャーなど、東南アジアには多数あります。 北京では 事故が多いのに、無保険の違法な車が多いそうで、危ないから乗らないように とのこと。
宅急便の車。 北京では小さな買い物でも ネットで購入して宅配サービスを利用する人が多いそうで、この車は 市内いたるところを走っています。 クロネコヤマトではありませんが、一日の配達量が半端ではなく、常に時間に追われるために、強引な割り込みや逆走なども 多々見受けました。
この下は 自家用車なのかもしれません。 お洒落なデザインの三輪車もたくさんありました。
日本の軽自動車よりもずっと小さいのですが、近間の買い物に利用する程度なら これで充分な印象。 ただ、日本に持って来るとなると 安全基準などの問題が出てくるのでしょうね。 もちろん 普通のタクシーも走っています。
北京市内を走るタクシーの9割は 北京現代 (ヒュンダイとの合弁企業) の車で、北京に工場がある関係だそうです。 それ以外では 北京汽車や シトロエンを見かけた程度で、いずれも ほぼ同じサイズ、似たようなシルエットのセダンでした。タクシー会社はいくつもありますが、カラーリングは異なるものの、基本的なデザインは同じなので、統一感があります。 ついでに、市内を走る路線バスをいくつか。
連結部が蛇腹のトレーラーバス。
二階建てバス。
排気ガスを減らすための トロリーバス。 架線が無いところは パンタグラフを下げて エンジンで走っています。
中国では 65歳以上のお年寄りは バス代や地下鉄代、公園の入場料などが無料だそう。 ただ、通勤で混雑する時間帯は 現役世代を優先させ、お年寄りはバスの利用を遠慮するようにと言われているそうです。 この考え方は 日本でもアリだと思うのですが、いかがでしょう?
2017年04月05日
昨日、仕事が終わった後で 家内と観て来ました。 ディノスシネマの2番スクリーン (108席) は 20人程の観客で、寂しいくらいでした。 今年度のアカデミー賞作品賞 受賞作です。 発表の時のドタバタで すっかり有名になりましたね。
マイアミの貧困地区を舞台に、少年期、ティーンエイジャー期、成人期の3部構成で、自らのアイデンティティや セクシュアリティに悩みながら成長する主人公の姿を描いています。 それぞれに Little、Chiron、Black とタイトルが付いていますが、それは主人公の名前やあだ名で、それぞれの時代を象徴しています。 また、この作品のポスターの顔は3色に塗り分けられていますが、それぞれが 各時代の主人公を演じた3人の俳優の顔です。耳の形は違いますが、眼の印象が似ているので、こうして並べても あまり違和感は無いですね。 基本的なテーマは、“変わって行くものの中にあって、いつまでも変わらない気持ち” といったところでしょうか。 初めの方で 「自分の道は自分で決めろ、決して周りに決めさせるな」 というフアン (主人公を保護するドラッグの売人) のセリフがあるのですが、これも大切なテーマのひとつなのでしょう。 思い切って簡単に言ってしまえば 初心な青年の純愛ラブストーリーなのですが、そこに いじめや差別、偏見、貧困、暴力、ドラッグ、ネグレスト、LGBT など、現代社会が抱える様々な問題が詰め込まれており、ストーリーに幅と深みを与えています。 全編を通して 明と暗の対比があり、静かで詩的な印象が残ります。 エンタメ的な要素はありません。 ラスト近くの海辺の回想シーン、月の光の下で青く輝く肌は美しく、幻想的です。 麻薬中毒の母親を演じた ナオミ・ハリスが 凄かったです。
ただ、どうにも理解し難い部分や共感できない部分、回収されない伏線も多くあり、映画を観た直後は 消化不良のモヤモヤ感が身体中に満ちていました。 こうして思い出しながら、あれこれ考えながら文章を書いていて、初めて気付いたことも多々あります。 いろいろな意味で 難しい映画でした。
2017年04月03日
2015年の本屋大賞 第1位です。 「精霊の守り人」 シリーズ、「獣の奏者」 シリーズの 上橋菜穂子作品という事で、やっと今頃なのですが 期待して読み始め、一気に読み終えました。 面白かったです。 陰謀が渦巻く国盗り物語と 民族の対立、葛藤、その一方での 人と人の繋がり。 黒狼熱という感染症との戦いと、幕末の漢方医と西洋医学の対立を彷彿とさせるような医療アドベンチャー。 この二つを 二層構造で絡め シンクロさせるストーリーは壮大で、夢があります。 <ヨミダの森> に宿る谺主 (こだまぬし) は言います。 「人の身体ってのは森みたいなもんだ。おれたちの中には無数の小さな命が暮らしているんだ。」 天才的な医術師、ホッサルは言います。 「俺たちの身体は、ひとつの国みたいなものなんだ。この身体の中に、実に様々な、目に見えぬ、ごくごく小さなモノたちが住んでいて、いまも、私の中で休むことなく働いている。」 人間の身体も 国も、実は小さな命の集まりである。 それがこの作品の主題です。 国、人、病、自然、 非常に内容の濃いストーリーで、息をつかせぬ展開に惹き込まれました ただ、 細部にまでこだわっている事がよく分かるのですが、いろいろ詰め込みすぎです。読み進めるのに体力が必要で、ちょっと疲れました。 また、 基本的にファンタジーは どこかにある架空の世界の物語なのですが、ここまで難しい当て字を使用する地名や人名、造語を使う必要はあるのでしょうか? 黒狼熱は ミツツアル、飛鹿は ピュイカ、東乎瑠は ツオル という具合です。 時々 ルビは振ってあるのですが、とても覚えきれないし、途中からは記号だと思うようにして読み進めましたが、時々 読み方が気になって集中が途切れるという事が何度もありました。 という事で、面白かったのですが、ちょっと消化不良気味です。
2017年04月01日
昨日のプレミアム金曜日、 さすがに15時は無理ですが、17時になったら すぐに事務所を出て、シアターキノで観て来ました。 17時25分からという難しい上映開始時間もあってか、3分の1くらいの入りでした。 原題は ”I , Daniel Blake” 昨年のカンヌ国際映画祭の パルム・ドールです。
舞台は イギリス北東部のニューカッスル、 主人公は 59歳の大工、ダニエル・ブレイク、 テーマは 社会福祉で、格差社会で切り捨てられる社会的弱者の心の叫びを代弁したヒューマン・ドラマです。 永年 実直に生きてきた主人公は、心臓病を患って医者から仕事を止められ、仕方なく国の援助を受けようと手続きをするのですが、規則規則で融通の利かないお役所仕事に阻まれます。経済的にも精神的にも追い詰められ、尊厳さえも奪われようとしていた時、同じように苦境に陥っていたシングルマザーとその子どもたちと出会い、互いに助け合う中で次第に絆が芽生え、かすかな希望を取り戻していく姿を描いています。 舞台はイギリスなのですが、日本の姿と重なります。 違和感がないというよりも、社会的弱者を取り巻く環境は 日本と何も変わらないのだという事に驚き、”明日は我が身、決して他人事ではない” と思うと ちょっと背筋が寒くなります。 こうした状況は 日本や英国に限らず 米仏独を含め 多くの国で同じようなものなのでしょう。 イスラム国が勢力を拡大し、テロが続く背景にも こうした貧困問題があるのでしょうし、イギリスや多くの国で 移民や難民の受け入れを拒否するのも判らないではない と 思ってしまいました。 ただ、この映画は 怒りを持って現状を告発しますが、同時に こうした現状を変えて行くのは お互いの助け合う心、思いやりだ とも主張します。 「今度はわたしたちに助けさせて・・・」 というセリフに救われますし、 「人生は変えられる。隣の誰かを助けるだけで。」 というコピーにも表れています。 静かで、深い作品でした。