『精霊の守り人』  上橋菜穂子

2016年04月06日

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 「精霊の守り人」は 上橋菜穂子の長編ファンタジーで、守り人シリーズという異世界長編ファンタジーの 最初の一冊でもあります。

このシリーズは
 1.精霊の守り人
 2.闇の守り人
 3.夢の守り人
 4.虚空の旅人
 5.神の守り人 来訪編
   神の守り人 帰還編
 6.蒼路の旅人 
 7.天と地の守り人 ロタ王国編 
   天と地の守り人 カンバル王国編 
   天と地の守り人 新ヨゴ皇国編 
 8.流れ行く者 (短編集)
 9.炎路を行く者 (短編集)
 10.春の光 (「守り人のすべて」というガイドブックに収録された短編)  
から成り、現時点で文庫化されているのは 1~8までの長編10冊と 短編集2冊です。



 全編 (と言っても文庫化されているものだけなのですが) を通して読んだのは今回が初めてなのですが、いやぁ 面白かったです。
 児童文学だけあって 難しい表現がなく スラスラ読めるせいもありましたが、久々に時間を忘れて読み耽ったという感じで、2週間もかからずに読み終えました。

 NHKでテレビドラマ化され、綾瀬はるか演じる女用心棒バルサが 川に落ちた皇子チャグムを助けるシーンが番宣CMとして何度も流されていたので、バルサとチャグムという名前を覚えた方も多いと思いますが、そのシーンから始まる物語が 「精霊の守り人」です。
 その後は、基本的に バルサを主人公とするものを 「~の守り人」、チャグムを主人公とするものを 「~の旅人」として展開し、完結編となる 「天と地の守り人」で 再び 2人が合流します。

 各巻毎に 物語は一応完結しますが、「精霊の守り人」に始まって 「天と地の守り人」で終わるまで 物語の中で流れる時間は 6~7年、その間に 新ヨゴ皇国の第二皇子チャグムが 父である帝との軋轢に悩みながらも 故国と民を守るために バルサや 薬草士タンダ、呪術師トロガイらの力を借りながら 様々な苦難を乗り越え 大きく成長して行く姿は 時に感動的ですらあり、全編を通して読んでこそ 初めて判るものがあります。
 児童文学というカテゴリーに入っていますが、その世界観や ストーリー、しっかりと細部まで練り込まれた構成は 大人の読者にも十分に耐えられる作品で、特に 「蒼路の旅人」から 「天と地の守り人」に続く流れは とても児童文学という範疇には収まりきれません。
 
 主人公のバルサが 10代のキャピキャピした女の子ではなく 様々な苦労を味わってきた大人の渋い女性という設定や、広げ過ぎていない精霊や呪術の世界、人間の心の動きを丁寧に追ってリアリティーを出している点などが 高評価につながっているのでしょうね。
 小野不由美の 「十二国記」も良かったですが、それ以上のように感じました。

 文庫化されていない2冊も早く探して買ってこないと・・・・・


post by aozora

20:40

本の話 コメント(2)

この記事に対するコメント一覧

ブラコン2号

Re:『精霊の守り人』  上橋菜穂子

2016-04-07 09:02

今、唯一見ているドラマが「精霊の守り人」です。 だぁーくんが、家のどこかに本があるようなことを言っていたので、先日、ちょろっと探しましたが、見つかりませんでした…。上橋菜穂子の「獣の奏者」はあったけど…。 というわけで、とりあえず、ドラマで、その世界を楽しもうと思います。 やはり、ちゃんと練られて、お金を掛けてるドラマは見ごたえがあります。

青空

Re:『精霊の守り人』  上橋菜穂子

2016-04-07 17:31

ブラコンさん、お久しぶり!  テレビの方も きちんと作っていますね。 綾瀬はるかも 良いと思います。 ただ、全22話を3年がかりで放送ですからね、待ちきれるかな?

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