2010年09月07日
あの家本審判の独白が本になりました。 家本氏のインタビューを、サポティスタの岡田氏が文章にまとめる形になっています。 「私は私の立場をわかっています。私が私の言葉でどれだけ正しいことを言っても、どえだけ誠実に話したとしても、それは読者の方には届かないでしょう。ですから岡田さんの視点で、見たまま聞いたまま感じたままのことを書いて下さい」 (「あとがき」より)
(目次) ウェンブリーレポート 序章 主審家本について 第一章 挫折と成長/支えてくれた人 第二章 自らのスタイルを確立する 第三章 日本における審判の立場 第四章 ウェンブリーでの経験 あとがき
正直、読みやすい文章ではないです。 特に第一章は 家本氏に共感できる部分、できない部分、自己満足なんじゃないの と反発を感じてしまう部分など入り乱れ、読むのを辞めようか とさえ思ってしまいました。同じ事を言っても 言葉の選び方や 言い方ひとつで受ける印象が変わってしまいますが、そういう損な性格なのかもしれません、家本氏。 ただ、第二章以降は そんな文章の読みにくさにも慣れてきて、内容の面白さに目が向くようになります。 審判が試合中に何を考え、どのように対処しているのか、どのような気持で試合に臨んでいるのか、プロの審判としての視点や哲学、トレーニング方法や身体の使い方、選手・クラブ・サポーターを含めたサッカー界のあり方に対する考察など、それぞれが具体的に詳細に語られ、なかなか興味深く 且つ深い内容でした。 この本を読み終えた後でも 家本氏を好きになれるかどうかはわかりませんが、少なくとも 信頼感は増すと思いますし、審判のジャッジに対しても これまでとは違った見方ができると思います。 審判だけでなく選手やサポーターも共に成長して行かないといけないのだ という事を感じましたし、いつか 講演会でもいいから 家本氏とお話できる機会があるといいのにな とも思いました。 コンサの選手達にも 是非 読んでもらいたい一冊です。
owls
Re:『主審告白』 家本政明・著、岡田康宏・構成
2010-09-07 09:39
審判の試合を見る目は素人には想像できぬくらい深遠とか、家本審判のジャッジ能力は関係者から非常に高い評価を得ていると聞いたことはあります。 審判のタイプは、観客サイドの判定(スタンドから見たわかりやすさを重視)のエンターテイメント派とプレーの質を重視して、選手と観客の成長を促す啓蒙派(?)などに分かれるのかなあと勝手に想像してるんですが、どちらでも90分間ブレない規準でさえいてくれたら、我々は楽しめるし、選手もやりやすいと思うんです。 僕の考えが間違っていないとしたら、そうち試合前のスタンドで「今日の審判、優秀だとは思うけど、どっちかといえばアート派だからエンターテイメント好きの俺には合わないかもな」なんて会話が飛び交うかも知れません。 日本から、黒澤監督みたいな審判が出ないかな。
ボーナス
Re:『主審告白』 家本政明・著、岡田康宏・構成
2010-09-07 17:35
08-09のオフのとき、スカパー!であった「レフェリー座談会」に彼が出ていて、 例の08ゼロックス・スーパーカップの話をしていました。 審判の普段の姿や人間性に触れる機会はあまりありませんよね。 彼は、かつての傲慢な、力で押さえつけるレフェリングのイメージがついてまわって気の毒です。 最近のジャッジの内容は問題ないのにイメージが一人歩きしてしまう。 この辺は、サポもレフェリングに関心を持たなきゃならんでしょう。
青空
Re:『主審告白』 家本政明・著、岡田康宏・構成
2010-09-08 00:32
>owls さん この本では 2008年ゼロックススーパーカップ(鹿島vs広島)から 今年5月のウェンブリー(イングランドvsメキシコ)まで、挫折から栄光へ至る軌跡も語られていますが、家本氏は 公式戦と親善試合では 笛の吹き方を変えるそうで、それがウェンブリーでの高評価に繋がったそうです。公式戦で 試合毎に判定の基準が変わっては選手も途惑うでしょうが、親善試合は 選手にも観客にも楽しんでもらいたいから 多少緩くという事のようです。エンターテイメント派、啓蒙派という事ではありませんが、これもアリですよね。 怪我をしないための身体の使い方なども書かれていて、それが全て正しいのかどうかは判りませんが、選手達にはかなり参考になると思います。 全編を通して 家本氏がかなり勉強し努力したのであろう事は判ります。 コンサの試合で笛を吹く機会が いつ来るのかは判りませんが、楽しみになりました。 >ボーナスさん かつての傲慢なイメージ...。 レフェリングは相当変わったようですが、残念ながら この本の中ではそれを感じました。 相当苦労し努力したであろうに、話し方ひとつで 本当に勿体ないなぁと思います。