2010年08月19日
午前中は僕の希望で Graceland へ行きましたが、午後からは息子の希望で The National Civil Rights Museum に行ってきました。
キング牧師の名で知られる Martin Luther King.Jr.は、アフリカ系アメリカ人への人種差別に対する非暴力主義公民権運動の指導者で、「アメリカ合衆国における人種偏見を終わらせるための非暴力抵抗運動」 を理由に 1964年にノーベル平和賞を受賞しましたが、1968年4月4日にテネシー州メンフィスにあるロレイン・モーテルのバルコニーで暗殺されました。 今、そのモーテルはキング牧師らの闘いの歴史を展示した記念館、The National Civil Rights Museum(公民権展示館)となっています。
1963年のワシントン大行進の際に行われた “I have a dream”で始まる演説は、1961年のJFKの大統領就任演説と並び、20世紀のアメリカを代表する名演説と評されています。 私には夢がある。いつか、ジョージアの赤土の丘に元奴隷の息子たちと元奴隷所有者の息子たちが一緒に座り、友愛のテーブルを囲む日が来るという夢が。 私には夢がある。いつか、あの差別の熱にうだるミシシッピー州さえもが自由と正義のオアシスに変わる日が来るという夢が。 私には夢がある。いつか、私の子どもたち4人が肌の色でなく中身で判断される、そんな国に住む日が必ずくる。 (一部抜粋) ジョン・レノンの Imagine(1971年)と通じるところがあると思いませんか? 2人は基本的な立場が違うので、比べると内容はかなり異なりますが、争いの無い 平等な世界を求める心は 同じだと思います。 法制上での人種差別を禁じる公民権法は 1964年7月、ジョンソン大統領の時に成立しましたが、この法案を議会に提出したのはケネディ大統領の時でした。 その事もあって JFKは南部の州を中心に多くの敵を作り、1963年11月22日にダラスで暗殺されましたが、そのダラスも南部のテキサス州にあります。 キング牧師が過ごした部屋の前には、暗殺の前日に市内の教会で行われた最後の演説の一節が記されています。 “Well,I don’t know what will happen now, We’ve got some difficult days ahead, But It really doesn’t matter with me now, because I’ve been to the mountaintop.” まるで 間近に迫った自分の死を予期したかのような内容です。 午前中に行った グレイスランドの客の大半は白人でしたが、キング牧師の記念館の客は黒人が半数以上でした。 以前よりは遥かに改善されたのでしょうけど、現在も 店員や清掃員など 賃金の安い職種には黒人が多く就いています。米軍でも パイロット等の職種の8割は白人で、黒人やヒスパニック系は1割程度。逆に 海兵隊員などには 黒人が多いようです。 これは学歴の差などが大きな要因とされていますが、経済面や家庭環境に恵まれない黒人は なかなか大学に進めないという現実もあり、人種格差となっているようです。 メンフィスは 全米でも1,2を争う犯罪が多い都市だそうですが、おそらくは そうした格差も その一因なのでしょう。 今回、テネシーやミシシッピという南部の州を歩いてみて、差別なのか 区別なのか 人種格差なのかは判りませんが、厳然として残っているのだという事を実感しました。我々日本人も差別される側にいます。 グレイスランドの音声案内には日本語版がありましたが、公民権展示館にはありませんでした。日本人観光客は殆ど行かないので、需要が無いという事なのでしょう。 ここには 奴隷時代から近年までの資料が豊富に展示されていて、映像や模型を見ているだけでも差別の激しさが想像できるような展示内容となっています。あの有名な KKKの三角頭巾の白装束や、彼と対立したマルコムXやブラックパンサー、彼に大きな影響を与えたマハトマ・ガンジーに関する展示もあります。 ただ、音声解説も説明文も全て英語のみなので、英語力の無い僕には 折角の展示内容の1割も理解できず、とても残念でした。 (8月19日23:45、一部訂正、加筆しました。)