2010年02月01日
『ゴールデンタイム-続・嫌われ松子の一生』 山田宗樹 単純に「続・嫌われ松子の一生」というサブタイトルに惹かれて 購入しました。 まんまと出版社の罠に かかっています。 “続”とはなっているけれど、死んでしまった松子が生き返る訳もなく、『~松子~』に登場した松子の甥・川尻笙と元恋人・明日香の青春ストーリーが綴られます。 何も始まっていないのに、何もかも終わってしまったような気がする 川尻松子が死んでから 4年。 大学は卒業したものの 就職をすることもなく、将来への不安を抱きながら、東京でその日暮らしの生活を送っていた 笙。自らの夢だった医師への道を着実に歩んでいるはずの明日香も 自分の人生に疑問を抱いていた。 自分の生き方に悩み、目標を見つけて歩き出すまでを描く というありふれたストーリーなのだけど、嫌味なく爽やかに描かれているので 好感を持って読み進められた。 でもそれだけかな。 もっとドロドロした展開を期待したのだけれど、明るく輝く青春小説でした。
『証し』 矢口敦子 以前に読んだ『償い』が割と良かったので、その後で買ってきた作品。 ところが、読む前に家内が『償い』と一緒に友人に貸してしまい、先日、数年ぶりに手元に戻ってきた。 この時は『僕たちの戦争』(荻原 浩)も一緒に貸されてしまい、こっちはどうしても読みたくて同じ本を買ってきて読んだのだけど、『証し』の方はそのままにして読んでいなかったのだ。 結論から言えば、改めて買わなくて大正解。 なんだこれは、と思わず文句を言いたくなるような作品。 ストーリーも、設定も、動機も、犯行方法も、犯行現場に残された謎の言葉も、登場人物も、全てが納得できないし 理解できなかった。 よくこれで編集者がOKを出して出版したものだ。 『償い』の評判が 思いのほか良かったので、『VS』というタイトルの作品を『証し』と改題、同じような装丁で文庫化して、柳の下のどじょうを狙ったのだろうけど、結果は大失敗。 この作品で この作家を見限った読者は少なくないのではないかと、余計な心配をしてしまった。
『百器徒然袋―風』 京極夏彦 京極堂シリーズの番外編、サイドストーリーという位置付けのようだ。 主人公はいつもの下僕達なのだけど、探偵・榎木津礼二郎が乱暴狼藉大活躍する。 いつもの京極堂シリーズよりは短編だし、軽く読める作品集。 それにしても探偵・榎木津、ちょっとばかり 軽すぎやしないか。