2009年11月01日
3時間22分の大作ですが、まったく長くは感じませんでした。 原作自体が全5巻の大作です。もちろん原作に比べると足りないところは多々あるわけですが、よくここまで纏めたな というのが素直な印象です。 深刻な経営危機に陥っている日本航空。 このタイミングでこの映画が公開されるというのは、本当に皮肉なものだと思います。
御巣鷹山の事故を中心に据えて、ナショナルフラッグを運ぶ航空会社の責任と安全対策を巡るストーリーが展開します。 あの事故をリアルタイムで知っている世代には 胸に迫る映像が続き、それだけで涙がこぼれそうになります。 エンドロールで この映画はフィクションで 実在の団体、人物とは無関係だ というコメントが表示されますが、NAL(国民航空)が JAL(日本航空)である事は 明らかです。 ただ、主人公の恩地(渡辺謙)や、事故後に会長となった国見(石坂浩二)には 実在のモデルがいるようですが、この2人だけを見ても 事実と異なる内容が少なからずあるそうなので、その点は注意して、あくまでも創作、小説なのだと思って観る必要があります。 半面、行天(三浦友和)や 一連の政治家、官僚にモデルはいない という事になっていますが、実際はどうなのでしょう? 自分で創作だから注意して と書いたばかりなのに、いかにもありそうな話だよな と思ってしまいます。(1985年8月の御巣鷹山の事故の時の総理大臣は中曽根康弘、内閣官房長官は藤波孝生でした。) JALには 多くの労働組合があり、それぞれが対立しているようです。もし、あのタイミングで労働組合が一本化され、会社の腐敗体質、政治家との癒着などが解消されていたとしたら、今のこの事態は避けられたのでしょうか? この点に関しては、福知山線の事故を起したJR西日本~旧国鉄にも 同様の構図が見えるような気がします。 御巣鷹山の事故を知らない世代、労働組合を知らない世代が増えている中、そういう若者たちは この映画に共感できるのかな、理解できるのかな という気はします。 例えば、「アカ」という言葉の持つ意味、重さは判らないでしょうね。 渡辺謙演じる恩地に 焦点を当てすぎているような印象も受けました。 恩地の生き様は確かに素晴らしいですが、それだけの小説ではなかったと思うのですが。 飛行機の発着のシーンは CGのようですが、もう少しなんとかならなかったのでしょうか。あまりにも 違和感があります。 この作品に限らず 邦画のCGは不自然なのが多いですよね。それだけで作品の印象が安っぽくなってしまうのが とても残念です。
ひぐま@三角山
Re:【映画】 沈まぬ太陽
2009-11-01 13:35
こんにちは。 とうとう映画化されると聞いて公開を心待ちにしておりまして、試写会と公開後にそれぞれ1回見ています。 感想は青空さんとまるっきり同じです。山崎豊子さんが前・後編に分けたりせず1本の映画として作るよう強く希望されたため、かなりの無理はありましたね。 せめてCGについてはどうにかならなかったのかと…。それに123便のコクピットやキャビンに東京航空管制部の造形も安っぽかったですし(泣)。もうちょっとかけるべきところにお金をかけてほしかったですね。 ただ、主演も張れるクラスの役者たちがほんのワンシーン・ワンカットだけでも次々と出てきたのには驚きました。 この後、シナリオ誌にたぶん決定稿が掲載されるはずなので、それを読んでからもう一回見てひぐまも自分トコでレビューします。 ところで昨年の「クライマーズ・ハイ」はご覧になりましたか?主人公・悠木の一人息子・淳を演じていた吉川史樹クンという子役が、今回は123便で罹災する少年役で、「クライ…」と同様胸に「VIP」のワッペンを貼ってもらって出演しています(母親役が清水美砂)。 トリビアでした(^^;;;
青空
Re:【映画】 沈まぬ太陽
2009-11-02 23:35
>ひぐま@三角山さん 面白いという表現が適切かどうかは別にして、面白かったですね。 キャストの豪華さには 僕も驚きました。 が、「クライマーズ・ハイ」の主人公・悠木の一人息子・淳を演じていた吉川史樹クンに関しては気付きませんでした。 DVD借りてきて、もう一度チェックしてみたいと思います。