『キメラの繭』   高野裕美子

2009年05月06日

20090506-00.jpg


トリぺストの異名を持つA型インフルエンザが流行の兆しを見せ始めている2009年冬。都下の生息数3万羽にも及ぶカラスが一斉に凶暴化し、人間を襲いはじめた!インフルエンザにそんな特性は、ないはずだが・・・・・。


本の帯に書かれているこんなコピーを見たら、読んでみたくなりませんか?
豚と鳥は違っているけど、なんとタイムリーなテーマなのだろう、って。
しかし、この本が出版されたのは2000年11月。
確かにそれ以前からトリインフルエンザはあったのだけど、高病原性型に突然変異したのは1999年12月、人への感染が騒がれ世界的に大流行したのはその後ですから、やはり先見の明があったのでしょう。


ウイルス研究所の助手・立科涼子は、弟の不審なアレルギー死の原因を探るうち、世界最大のバイオ企業の遺伝子組み換え作物とインフルエンザウイルスの変異との関わりを疑うが……。
〃遺伝子組み換え〃がもたらす恐怖を描く推理サスペンス!


遺伝子組み換え作物や、バイオテクノロジーは世界を、人間を救うというように言われていますが、生物に与える影響はどの程度のものなのか、実のところ 誰も 何も わかっていないのではないかと思う。
今回の新型インフルエンザにしても、最初に発生した場所も 変異した原因も 分からないという。
ならば、全く別の原因があるのかもしれない。それは・・・・・

想像したくない世界ですが、ありそうな気がしてしまうのが怖い。


現代ならではのテーマを扱い、なかなかスピード感もあって 面白く読み進められますが、いろいろ詰め込みすぎたのか、全体に突っ込みが浅く 消化不良気味。安易なストーリー展開で 妥協している部分も少なからず感じられ、その点は 残念でした。




post by aozora

23:02

本の話 コメント(0)

この記事に対するコメント一覧

コメントする