2009年05月01日
ドイツでは 200万部を越える大ヒットで、 既に映画化が決まっているそうです。 上中下3巻で 1600ページを越える大作です。
' 注意! 初っ端から ネタバレ満載です。
これから読もうと思っている方は ご遠慮下さい。 '
人間の身体は 60~70兆個の細胞で出来ているらしい。 海の中に住む単細胞生物は 人間が誕生するよりも遥か昔から、それこそ 地球が誕生して間もなくから 存在しているわけだが、その単細胞生物が 有機的に且つ自由に合体、分離できるように進化し、数百兆個なのか 数千兆個なのか分からないが合体できるまでになり、長い年月の間に 更なる進化を遂げたとしたら、人間よりも遥かに優秀な知的生命体になっているかもしれない。 その海を汚し 環境破壊を続ける人間に対して、海に住む知的生命体は 遂に攻撃を開始した。 というお話しです。 専門的で難しい言葉や説明、理論が随所に出てきますが、分かったような気になって どんどん読み進めないと、3冊合計1600ページを越える大作は とてもじゃないけど 読みきれません。 そもそも この本の中に登場してくる理論はフィクションなわけですから、それを理解しても仕方ない。なんとなく 「そうなのかな」 と感じられれば充分だと思います。 まぁ、その理論が 読者に胡散臭く感じられるようなものであれば この手の作品は失敗な訳で、専門家が読めば とんでもない理論であっても、素人には 「なるほどな」 と思わせなければいけないわけです。その為には きちんと取材をして、最新情報を収集しないといけないわけですが、この本はその辺がしっかり出来ていて (4年かけて取材したらしい)、上巻・中巻辺りは なかなかリアルな迫力で 騙してくれます。 例によってアメリカの独善的で大国的なエゴが登場して周囲を振り回し、危機的状況に輪をかけるのですが、この辺はハリウッドでの映画化を意識した構成なのかなと感じさせ、少々マイナスポイント。 危機の大きさに比べて、その解決策が小さすぎ、その点も少々物足りないところです。あの一発で全地球の危機が去ったというのは納得できない。解決策の方向性はそれで良いとして、何ヶ月か 何年かかけて 次第に危機は収束した、という事なら 受け入れられたと思うのですけどね。 しかし、海を支配する謎の知的生命体と人間の対決、ダイナミックで迫力のあるエンターテイメント作品であることは間違いありません。 確かに冗長な部分がある事は否めませんし、読みにくい訳文である事も否定はしませんが、愛情、友情、家族、アイデンティティ、陰謀など、様々な人間ドラマも織り込まれ、充分に楽しめると思います。