2017年09月08日
『教団X』 を読んだ後、もう少し 中村文則を読んでみたくなったので、代表作と言われる 『掏摸(スリ)』 を読んでみて、で、『掏摸』 が面白かったので、その兄妹作と言われる 『王国』 も読みました。
『掏摸』の主人公は、天才的なスリ師。 『王国』の主人公は、組織により選ばれた社会的要人に 意図的にセックススキャンダルを作ることを仕事とする女性。 この2つの小説の舞台は日本の裏社会で、その闇に君臨する正体不明の化物、最悪の悪党として登場するのが「木崎」という男。 自分で選択したはずの人生が、実は誰かの思惑通りに選ばされていたとしたら・・・。 しかも、それは「神」などではなく、ただの「悪党」だったとしたら・・・。 別な道を選択したくても、その余地はない。それも運命なのか? 木崎は他人の人生や命を、自分が描いたシナリオ通りに動かす事を喜びとする変態で、この2人の主人公を利用し、翻弄し、命までも弄ぼうとするのですが、そこで何とか一矢報いようと必死に足掻く2人の姿を描いたのがこの2つの小説です。 罠、策略、陰謀、裏切り、理不尽、悪意、恐怖が渦巻く裏世界は 重く、暗く、深いです。 そのような中で、圧倒的な悪に立ち向かう2人に 果たして生き延びるチャンスはあるのか。 ストーリーや結末は書きませんが、物語の構成はよく練られており、スリルとスピード、緊迫感のある展開で、エンターテインメント性もあり、グイグイと読み手を引き込みます。 バカのひとつ覚え、語彙不足で申し訳ありませんが、どちらも面白いです。 この2作は兄妹編と言われ、舞台や独特の世界観はリンクしていますが、続編というほどではなく、お互いに独立した作品なので、どちらかだけを読んでも問題ありません。 ただ、両方を読むのなら『掏摸』からをお薦めします。
ところで、
「面白い」という言葉の語源は、「面(目の前)」が「明るくはっきりとすること」。そこから転じて 目の前の景色の美しさを表すようになり、更に 「楽しい」や「心地よい」など、明るい感情を表す言葉として広く使われるようになったそうです。(諸説あり)
読んでいて「楽しい」「興味深い」「心惹かれる」などの意味もあり、古くは「強く興味がそそられ、なんとも言えない素晴らしい感じがする」という意味でも使われたそうですので、「面白い」という表現で許してください。