2017年08月17日
お盆休みに シアターキノで観て来ました。 小さなスクリーンなので、ほぼ満員。 年配の方が殆どでした。
カナダで暮らすトマスが、永年会っていない友人 フリアンが末期ガンで余命僅かな事を知り、久しぶりに会うために マドリードを訪ねた4日間の物語です。 トマスはどんな顔をして会えば良いのか分からないままフリアンを訪ね、フリアンはフリアンでそんなトマスにどう接して良いのか戸惑うのですが、そこはそれ 昔からの親友ですから、やがてお互いに遠慮なく言いたい事を言うようになります。 その4日間でフリアンはいろいろな身辺整理をします。これ以上の治療を拒否し、終末期になったら尊厳死を選択する事を宣言し、葬儀の準備をし、気まずいままの知人に謝罪し、アムステルダムにいる息子に会いに行き、愛犬トルーマンの新しい飼い主を探します。 4日間に出来ることなど限られているのですが、フリアンはトマスに甘えてわがままを言い、トマスはそれを全て受け入れようとします。4日間に様々なドラマや人間関係が詰め込まれ、その中からフリアンの人生が浮かび上がってきますし、フリアンとトマスに限らず、別れた妻や息子、愛犬とも、さりげない仕草や眼差しから お互いに相手を想う気持ちがよく伝わってきます。変わらない友情と愛情の物語でもあります。 そんなフリアンを受け止めようとしながらも 喪失感に打ちのめされるトマスが取った行動はどうなのよ? という意見はあるでしょうけれど、そうでもしないとやり切れない場面というのはありますよね。 最後のシーンには ちょっと驚きました。あのシーンがあっての邦題 「しあわせな人生の選択」 なのかもしれませんが、この邦題は判りにくいし、ちょっといただけないです。 いわゆる終活もので、いろいろ考えさせられますが、お涙頂戴のストーリーではありません。覚悟を決めて理性的に振る舞おうとするフリアンが時々見せる弱気にはグッときますが、時にクスっと笑わせるような演出もあり、太陽の国スペインの作品らしいと感じました。 4日間という限定された時間なのも良かった一因でしょう。。 年配者には面白いと思いますが、若者にはなかなか理解できない作品だと思います。 この映画を観て すぐに思い浮かべた友人がいます。 高校時代からの腐れ縁です。 僕がフリアンの立場となったなら、彼はトマスのようにしてくれると思いますが、僕の方はしてあげられるでしょうか。 そんな日が来ない事を願いますが、こればかりは判りません。 原題 「Truman」 スペイン=アルゼンチン合作、108分