2017年01月22日
公開初日の昨日、札幌駅の上で 夕方からの回を観て来ました。 広めの 12番スクリーンは 8割ほどの入りでした。
原作は 遠藤周作が1966年に発表した同名の小説、監督は 『タクシー・ドライバー』 や マイケル・ジャクソンの 『BAD』 のPVを製作した マーティン・スコセッシです。 この映画では 17世紀の長崎周辺を舞台に、幕府によるキリスト教の禁教令や切支丹への非情な弾圧を通じて、神とは、宗教とは何かを問い 描いています。 とてもおぞましく惨い行為が多々描かれ、同じ日本人として心が苦しくなります。 ただ、これは決して日本だけの話しではありません。古くは十字軍による侵略、数多ある宗教戦争、キリスト教とイスラム教の対立、同じ宗教内でも宗派対立などでは蛮行が行われてきました。現在もイスラム国など過激派の問題があり、トランプ米大統領によるイスラム差別発言、それを受けての差別行為などもその延長上にあると思います。 宗教は難しいですね。 エンドロールには 「MUSIC」 とありましたが、音楽は 切支丹が歌う讃美歌以外は 気付きませんでした。 虫の音や風の音など、自然の音で始まり、終わります。 静かな中に 深い余韻が残る、とても重く、いろいろと考えさせられる作品でした。 上映前にちょっと時間があったので、フードフロアのバーカウンターでビールを飲んだのですが、たまたま隣に座った外人さんは ちょうどこの映画を観終えたところでした。 ちょっと話をしたのですが、「面白かったですか?」 という問いに困った顔をしていました。 「面白くなかったのか?」 と思いながら観たのですが、観終えて納得。「面白い」 という言葉はふさわしくない、「面白い」 とは言えないし、言いたくない。僕も同じように聞かれたら困ったと思います。 原作は新潮社から書き下ろしで出版されましたが、この映画は角川映画の40周年記念作品として製作されました。新潮vs角川、時代のアヤですね。 どくとるマンボウこと 北杜夫と 狐狸庵先生こと 遠藤周作の2人は、僕の高校時代は人気作家で、ネスカフェ・ゴールドブレンドのCMにも登場していました。 すでにお二人とも亡くなられていますが、昨年、北杜夫は「ぼくのおじさん」、遠藤周作は「沈黙」が映画化されています。作品の傾向は全く異なりますが、同じ年にというのは奇遇、これも時代のアヤです。 僕が原作を読んだのは 40年ほども前のことで、正直 ストーリーは殆ど忘れていました。 本と映画では ラストが異なるとも聞きますので、もう一度読み直そうと思います。