2017年01月15日
1976年に「JAPANESE GIRL」で鮮烈にデビューした矢野顕子が、1992年に発表したアルバム 「SUPER FOLK SONG」のレコーディング風景を、そのまま収録したドキュメンタリー映画です。 今回、四半世紀ぶりにデジタルリマスター版が製作され、サッポロファクトリーのユナイテッドシネマ札幌で、2週間限定で公開されています。 先日、別な映画を観に行った際に 上映されている事に気が付き、先週 観て来ました。 縦横の比率は昔のテレビ画面サイズかな、映像はモノクロ、収録されているのは7曲のレコーディング風景です。
レコーディング風景を撮影しただけなので、特にストーリーはありませんし、余計な説明もありません。 セリフも少ないですが、静かなステージに ぽつんと置かれたグランドピアノに向かう矢野顕子の 姿、表情、時に発せられる短い言葉は 雄弁です。 僕は矢野顕子を、あの独特な世界を 明るく 軽々と紡いでいく天才だと思っているのですが、その彼女でも 一つの音、一つの和音に とことんこだわり、試行錯誤しながら 自分と厳しく向き合っているのですね。 「あっ、だめ」 「なんで出来ないんだろう」 「出来るのはわかってるんだけど、技術が追い付かない」 「譜面が全部うどんに見えてしまう」、あの天才にして この苦悩。思わず息を止めてしまうような緊張感が伝わって来ます。 そして、何度も何度も歌い直した後で、満足の行く演奏が出来た時に、「そっちで聴きまぁす」 と 思わず走り出し、両手を耳に当てて聴き入った後で ホッとしたように発する 「これ、OK」 という言葉は感動的です。 「基本的に 私は私のことを信用しているの」 いや、やはり矢野顕子は天才で、唯一無二の存在です。