2016年08月20日
リオ五輪、日本選手が期待以上の大活躍している事もあって 目が離せませんね。 実力以上の結果を残せた選手、思うような活躍が出来なかった選手、オリンピックには 本当にいろいろなドラマがあります。 女子サッカーは ドイツが スウェーデンを破って優勝。男子サッカーは 明日の朝、5時半から ドイツ対ブラジルの決勝があります。これも見逃せません。 そして、韓国は 準々決勝でホンジュラスに負けた為、リオ五輪で活躍したソンユンが 札幌に帰って来ました。明日のJ2リーグ、京都戦、これも楽しみ。 今日は 午後から高校野球の準決勝、北海高校の試合があるし、プロ野球の日本ハム対ソフトバンクの首位決戦もあるし、幸か不幸か今日も明日も雨模様という事もあり、テレビでスポーツ観戦三昧の週末ですね。 さて、久しぶりに 本の話題。 春に読んだ 『精霊の守り人』 に続く 上橋菜穂子の長編ファンタジー、『獣の奏者』です。
Ⅰ 闘蛇編と Ⅱ 王獣編、 2006年11月に刊行された2冊。本来はこの2冊で完結する予定だったそう。
Ⅲ 探求編と Ⅳ 完結編 続編を期待する声に押されて 2009年8月に刊行された続編。王獣編の11年後が描かれる。
外伝 刹那、 2010年9月に刊行された スピンオフ。文庫化に当たって「綿毛」という掌編が追加されている。 とても面白いファンタジー小説です。 Ⅰ、Ⅱは古本屋で購入して 一気に読み終え、Ⅲ、Ⅳ、外伝は古本屋で探す時間が惜しくて 新刊で購入し、これまた一気に読みました。 舞台は 金色の瞳を持つ真王(ヨジェ)が治める リョザ神王国。タイトルにある”獣”は無敵の ”王獣” を指し、真王の権威の象徴です。 リョザ神王国の戦闘部門を引き受けるのは 大公(アルハン)率いる 大公領で、”闘蛇” は戦う大公の象徴。 主人公は ”魔が差した子” と言われ、悲劇的な生い立ちを背負う少女、エリン。エリンは王獣を ”奏でる” 事を願い、様々な困難や試練に立ち向かいます。基本的には エリンの成長の物語とも言えます。 エリンの周囲には 行き倒れたエリンを介抱し育てる謎の蜂飼い、ジョウン。エリンが入学した学校の教導師長、エサル。命を賭して真王を守る堅き楯(セ‣ザン)、イアルなど、魅力的なキャラクターが大勢登場。 真王と大公、王獣と闘蛇、国と国、民と民の対立、その陰に蠢く謀略、陰謀。語り継がれる伝説と 途切れてしまった秘密。何故それはタブーなのか。人と人、人と獣、自然との暖かい交流、愛情。差別、不条理、裏切りや離別などなど、様々なものが複雑に絡み合いながらも 精緻に紡がれる物語は 骨太です。世界観や設定が緻密でしっかりしている為、読み応えがあり、大人向けのファンタジーに仕上がっています。 闘蛇編・王獣編と、探求編・完結編では かなり趣が変わりますが、外伝も含めて 一読の価値がある作品だと思います。 『精霊の守り人』 や 小野不由美の 『十二国記』 などの冒険小説的なファンタジーを期待して読むと ちょっと裏切られるかも。 しかし、自分に嘘をつかず 真っ直ぐに生きようとするエリンの姿は、守り人シリーズの主人公、バルサに通じるところがあるようにも思います。 NHKで子供向けにアニメ化されたそうですが、子供向けには残酷だったり、扱いが難しい部分が多々あり、この世界観を そのままアニメ化するのは非常に困難でしょうね。どんな風にアニメ化したのかな? ガッカリしそうだから見ようとは思いませんが。