2013年01月14日
東京方面は大雪で 多くの交通機関が麻痺し、晴れ着姿の新成人も大変でしたね。 国立競技場で開催予定だった高校サッカーの決勝戦は 一週間の延期となり、秋春制論議に一石を投ずる事となるのでしょうか。 2013Consadole Preview Party の申込締切は17日(木)、 往復ハガキでHFCに郵送必着です。 もう申し込みましたか? 僕はさっき書き、明日の朝に投函します。 さて、「ランナー」。 先日読んだ「風が強く吹いている」(三浦しをん著)の 余韻が強く残っている中で読みました。 しかし、著者は「バッテリー」のあさのあつこ、「ランナー」というタイトルから期待したものからは 程遠い読後感でした。
以下、ネタバレあります。
「おれは走れないんじゃない、走らないだけだ、そう信じたくて、逃げちまったんだ」 主人公は陸上部に所属する長距離ランナーの高校生なのですが、たった一度の惨敗で自信を失くして 壁にぶつかり、走る事から逃げてしまいます。 登場人物の心の弱さや葛藤がテーマとなっており、決して爽やかな青春スポーツ小説ではありません。 才能があるからといって 常にレースで勝てる訳ではないという設定は なかなか現実的で、負ける事が恐怖となり、別な理由(ここでは両親の離婚や児童虐待など、家庭内の問題) を自分への言い訳にして レースから離れてしまうという経緯も、形は違いますが 身近なところでも よく見かける問題です。 ただ、高校1年生の時に出場した10000mレースで失敗したからといって そこまで思い詰めるものなのか。そこに至る練習などの経緯やレースの経過などが全く描かれていないので、主人公に才能があるというも顧問教師の言葉だけで、実際の実力はよく判らないし、主人公の葛藤が上手く伝わってきません。 その一方で、愛しているのに 愛したいのに 別れた夫の面影があるという理由だけで 娘を虐待してしまう母親の苦悩。顧問の教師に想いを寄せる女子マネージャーの言動や描写の方が 生々しくリアルです、 作者が女性であるが故なのかもしれませんが、その辺りのバランスの悪さが この小説に対する違和感を増幅しているような気がします。 それでも、それぞれが自分と戦い、一歩を踏み出してラストを迎えるのが せめてもの救いでしょうか。