2012年12月16日
『風が強く吹いている』 三浦しをん
初めて読んだ三浦しをんは 箱根駅伝を舞台にした青春小説でした。 部員が10人しかおらず、しかも大半は陸上経験のない素人ランナーという無名の弱小チームが、天才ランナー・走と 優れたリーダー・ハイジの導きにより 箱根駅伝を目指すという設定。 現実的に考えるまでもなく ありえないストーリーですが、夢を実現する物語は とても爽快で とても面白い。 10人のキャラクターも良いし、走ることの苦しさ、楽しさ、選手の心情などが とても上手く描かれていると思います。 本を閉じるのがもったいなく、一気に読み終えました。 もうすぐお正月、箱根駅伝が更に楽しみになりました。 映画化もされているそうなので、DVDを借りてこないと・・・
『その日のまえに』 重松清
ガンや難病で死が定められてしまった妻や親、友人と、それを見守る家族や友人たち。 そうした人々の夫婦愛や家族愛、友情を描いた連作短篇集なのですが、こういうのを書かせると 重松清は本当に上手いですね。 重いテーマなのですが、登場する人たちの多くが、哀しみや絶望を心に抱えつつも 前向きに健気に生きており、それで少しは救われます。 いつものように何気なく古本屋で購入して読んだのですが、数ヶ月前に同い年の同僚がガンで亡くなった事を思い出し、読み終えた数日後には別な同僚の奥さんがガンで亡くなり、なにか不思議な縁を感じてしまいました。 『エブリブレス』 瀬名秀明 コンピューターの中の仮装世界BRT。 BRTにアクセスし、自分と分身を共鳴させる事で 分身に自分の姿が反映されて行くのですが、アクセスしていない間にも分身は仮装世界の中で生活し、やがてBLTの中の分身が独自の感情を持つように・・・・自分自身の分身をその世界に存在させる事が可能という設定で、ある種のパラレルワールドストーリーです。 現実世界と仮装世界のクロスという設定は面白いですが、設定も文章も複雑で ちょっと判り辛かったかな。 好きな作家なのですが、今一歩楽しめなかった。 評価は分かれる作品だと思います。