『ルー=ガルー 忌避すべき狼』  京極夏彦

2011年11月05日

10月に 10年ぶりに続編・ルーガルー2 相容れぬ夢魔 が出たからなのか、9月に文庫版が発売。
僕が読んだのは古本屋で買った単行本で、数ヶ月前に買ってきたのだけれど、表紙に描かれている少女の絵を見ると読む気が失せ、そのまま放置してあったもの。
読み始めれば さすが京極作品、753ページの長編ですが 2~3日で読み終えました。

20111105-00.jpg




21世紀半ばの近未来社会を舞台にしたSF小説。
ただ、数十年後がここまでバーチャルな世界になっているというのは想像出来ず、違和感あり。
読者から設定のアイデアを公募したせいなのか、いつもの緻密な京極ワールドとは少々異なる。
京極らしさはあるのだけれど、ストーリーやクライマックスも京極作品にしては薄っぺらい印象。
文章も展開もライトノベルのようで、物足りなかった。

しかし、未来の妖怪の正体も、やはり人間。
もっとオドロオドロしい妖怪が現れるのかと思いましたが、人間以上に怪しく怖いものはいないという事でしょう。
この辺はいつもと変わらない京極ワールドでした。

目の前に表れて戦った敵よりも、このような無機的な世界に導いていった人間達が、実は本当の妖怪なのかもしれない。


ところで、続編は単行本、ノベルス、文庫、電子書籍が同時に発売。
この4種のうち、どれがメインの媒体なのでしょう。
この世界に現実は着々と近付いているのかもしれません。


post by aozora

22:53

本の話 コメント(0)

この記事に対するコメント一覧

コメントする