『四十回のまばたき』  重松清

2011年10月24日

先週の健康診断で 間もなくメタボ と言われた。
しかし、本格的なダイエットをする気も無い訳で、
とりあえず 糖分オフ、カロリーオフのビールに変えてみようかと思い、
いくつか買って来て 飲み比べたのだけれど、僕には どれも無理。
美味しいビールを飲むために 運動した方がマシだ、と思ってしまった。



と言うわけで ではないけれど、『四十回のまばたき』。
口語英語で“うたたね”という意味だそうです。

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1993年発刊の 重松清の第3作で、後年の重松作品とは ずいぶんと趣が異なります。初期の村上春樹作品に似た雰囲気があるように感じました。主人公の性格や職業だけではなく、女性との距離感、心に抱える欠落感、常に冷静な視点と乾いた雰囲気、などでしょうか。
もっとも、それが良いのか 悪いのかは また別な問題ですが。

人は誰でも 心の中に穴ぼこを抱えている。
大きく深い穴ぼこや、一足でまたげるような小さな穴ぼこ、落ちないように注意深く柵を巡らせてある穴ぼこや、見えないようにきれいに塗り固められてある穴ぼこ。
穴ぼこを埋めるために不倫する妻と、誰でも良いから寝てしまう義妹。妻を失って初めて穴ぼこに気付いた男と、それでも気付かない僕。

僕の中にも穴ぼこはあって、自分では それに落ちないように上手く立ち回っているつもりでいるのだけれど、ずっと気にはなっていて、時々 飛び込んでみようか と思う事もある。
そんな僕の助けにはならないけれど、いくらかの慰めにはなる作品。

ずいぶん前に一度読んだ事があるのを すっかり忘れていて、古本屋で 面白そうだなと思って買って来ました。家内に指摘されて気が付きましたが、内容も殆ど忘れていたので、新鮮なまま 読み終えました。
なかなか面白く、いろいろ考えさせられながらも スラスラと読み進められますが、やや深みが足りないというか、何年か経つとすっかり忘れているという程度の作品とも言えます。
でも、悪くないですよ。僕は好きです。
2度、3度と買ってきてしまうという事は 設定などが僕の好みにあっているのでしょうね。

重松清にも いろいろ試行錯誤する若い頃があったんだ という事を再確認できる作品でもあります。


post by aozora

23:53

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