2011年03月06日
昨日は ぜん屋で 愛媛戦をTV観戦した後で、口直しというか 気分転換も兼ねて 観て来ました。 アカデミー賞受賞作品なのに、札幌ではディノスシネマズ札幌劇場でしか上映していません。 昨日は17時30分からの回でしたが、3分の1位の入りでしたから、今後もこれ以上 上映館が拡大する事は ないかもしれませんね。
注意! 以下、長文、ネタバレあります。
映画ですから かなり脚色されている部分もあるようですが、基本的に 英国王ジョージ6世(幼名ヨーク公アルバート王子、現エリザベス女王の父)の 実話に基いた作品です。 吃音症のため 満足に演説が出来なかったアルバート王子が、兄・エドワード8世の退位(所謂、王冠を賭けた恋)によって 嫌々ながら王位に就き、苦悩の末に戴冠式を乗り越え、吃音症をギリギリのところで克服し 全国民に向かっての演説を成功させるまでのドラマが描かれています。 わかりやすいシンプル&ストレートなストーリーで、予想外の展開や 大きなドラマはありませんが、あちこちにウィットに富んだ笑いを挟みながら進行します。 オーストラリア人 (言語療法士ローグ)や アメリカ人 (ウォリス・シンプソン夫人)の描き方が ステレオタイプというか 品が無く、素直には笑えない部分もありますが。。。。。 幼少の頃から厳しく帝王学をしつけられ、時には虐待され、萎縮してしまったヨーク公アルバート王子。 彼を支え、共に闘う エリザベス妃の愛。 親子、夫婦、家族の物語でもあります。 エリザベス妃役のヘレナ・ボナム・カーターは 大竹しのぶに似ています。 イギリス王室と 日本の天皇家が 重なって見えるような気もしました。 雅子皇太子妃の心労はいかばかりか。。。。。 1920年代後半から30年代のイギリスが舞台なのですが、所々に第二次世界大戦前夜のエピソードが登場するのも楽しめます。 イギリス王室が 親ナチスだったという事実には驚きました。 ラストの9分間の演説は なかなかの感動ものですが、それは吃音症をなんとか克服したということに加えて、その演説の内容にもあると思います。 無事にラジオの生放送での演説を終えた後、皆から拍手され、それまで対等の立場を求めて愛称で呼んでいた言語療法士ローグが 初めて“陛下”と呼びますが、ジョージ6世に 心からの笑顔はありません。それは 演説が暗黒の時代の始まりを宣言するものだったからでしょう。 原題は The King’s speech といいます。 Speech を辞書で引くと 話すこと、話す能力、話し方などに続いて演説という訳が出てきます。 開戦の演説がクライマックスになるので 「英国王の演説」のような気がしますが、演説だけではなく 話し方や話す能力という意味の方が強いのかもしれません。 「国民は 『王の言葉』を 待っているのです」 というようなセリフがあったと思いますが、現代の日本に 強い言葉を持ったリーダーは いつか現れるのでしょうか? 実は僕も 吃音症(どもり)でした。 映画のアルバート王子ほど酷くはありませんでしたが、緊張すると 言葉が出てこなくなるのは同じ。今でも時々どもってしまいますし、滑舌が悪い と指摘されます。なので、他人事には思えない部分もありました。今はからかわれても笑い飛ばせますけど、若い頃はちょっときつかったな。なかなか 他人には理解して貰えないですよね。。。。