2011年02月13日
『僕はイーグル 哀しみの亡命機』を改題。 これも典型的なライトノベルです。
この本の面白さは 2点。 1点は F‐15イーグルの操縦シーン、もう1点は 自衛隊が置かれている立場に関するやりとり。 F‐15の操縦シーンは とても緊迫感、臨場感があり、圧倒的な迫力で迫って来ます。 夜の小松基地、吹雪の中でのホットスクランブルのシーン。 嵐の中でのエンジンストールと、その再始動、編隊飛行。 にせイーグルとの戦闘シーン、急降下時の振動や オーバーGでのブラックアウト。 コックピット内での操作の細かな描写、などなど。 実際に体験した人でないと書けないだろう と思われるシーンの連続で、戦闘機が好きな人には 堪らないと思います。 (これが本当にリアルなのか、プロが読んだら違和感を感じるようなものなのか、素人の僕には判断する材料がないのですが。) 小松基地司令部や総隊司令部中央指揮所内でのやりとりは いかにもフィクションですが、現在の自衛隊が置かれている立場と 抱えている問題が浮き彫りにされます。 日本国憲法前文には 「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」 と書かれており、その結果として第9条があるわけですが、現在、日本を取り巻く周辺国家は果たして 「平和を愛する諸国民」ばかりなのでしょうか。 (奇しくも今日午後のTV番組でも 同じ話題を取り上げていましたが・・・。) ただ、こうした操縦シーンや 自衛隊指揮所内でのやり取りに比べて、それ以外のシーンが あまりにお粗末。 北朝鮮と中国を敵として描いているのですが、敵の基地内の描写、日本国内の親中・親北朝鮮派の描き方など、もう少しどうにかならなかったものでしょうか。 ウケを狙ったのかもしれないけれど、作品を台無しにしているのが残念です。