2011年02月12日
先日、直木賞を受賞した 道尾秀介。 彼の作品はまだ読んだ事が無かったので 古本屋で探してみたのですが、あったのはこの 『骸の爪』だけ。別な日に別な店で同じ本を購入してしまい、今、手元に2冊あります。 名前だけはなんとなく覚えていたのですが、改めてネットなどで見てみると なかなかの受賞歴、人気作家なんですね。 僕が本を買うのは 殆どが古本屋で、それも文庫本を中心に探すものですから、話題の新人作家には なかなか巡りあえません。新刊→文庫化→古本屋、出回るまでには 相当の時間がかかります。
さて、『骸の爪』。 ホラー作家の道尾と探偵役の真備、その助手の北見という 3人組シリーズの2作目です。 仏像工房「瑞祥房」を舞台に、その関係者や仏像、敷地などのあちこちに様々な伏線が細かく張り巡らされた 本格ミステリーです。 冒頭に 笑う千手観音や 頭から血を流す仏像というような ホラー的な要素を配し、ラストで 一気に解明して行く展開ですが、その分、途中の展開のもたつきが残念、ちょっと間延びしたように感じます。 それでも、結末に向かって 小さなどんでん返しを繰り返しつつ 論理的に解明をしていく流れ、この辺はなかなかお見事だと思います。 ただ、20年前の事件の真相は 案外とありふれたものだったのに、関係者の思い込みや思い違いによって悲劇が連鎖し膨らんでいく。そして到るこのラスト。ちょっと悲しすぎるように思います。 道尾秀介、次はシリーズ第1作を探して読んでみようかな。