年末年始に読んだ本

2011年01月12日

昨年11月、文化の日だったかに 近くの古本屋が 店内の文庫本 全て1冊 105円というセールをやっていて、年末年始は 主にその時に手当たり次第に買った本を読み散らかしていました。

20110112-00.jpg




『白銀ジャック』 東野圭吾 
 これは本当に東野が書いたのか? “いきなり文庫”という企画本だし、スノーボードが敵対視されていた頃の雰囲気があるし、習作時代の作品にちょっと手を入れて間に合わせたのではないか、なんて邪推してしまった。
 全体に安易な設定が目立ち、先が読めてしまうので、今一歩。


『月の裏側』 恩田陸 
 ミステリーともホラーともSFともいえない、不思議で不気味なちょっと怖いストーリー。こういう雰囲気、終わり方は結構好きです。ただ、恩田ファンでも好き嫌いは分かれるかもしれません。
 恩田陸はもう一冊、「蛇行する川のほとり」も読んだのですが、こちらの方が恩田陸らしい作品に感じました。しかし、僕としてはあまり好きになれない恩田ワールドでした。


『風の聖衣』 北方謙三 
 南米を舞台とする冒険小説といえば船戸与一を思い浮かべますが、北方謙三も書いています。日本とペルーを舞台に展開するハードボイルドで、「危険な夏」から始まる挑戦シリーズです。今回は第1弾「危険な夏」、第2弾「冬の狼」、第3弾「風の聖衣」と順に読みました。
 こういう作品は、あまり深く考えずにその世界に浸り、一気に読みたいですね。第5弾まであるようなので、残り2冊も早めに探してきて読もうと思います。


『海に消えた神々』 今野敏 
 オーパーツと呼ばれる太古の文明の足跡を扱ったシリーズの第2弾です。
 第1弾の「神々の遺品」は いろいろな参考図書からネタを持ってきて継ぎ接いだ印象で、この話はあの本、このエピソードはこの本からだろうという部分が多々ありました。前半の展開が大きすぎた割に後半は尻すぼみで少々お粗末な印象でしたが、妥当なまとめ方だと思います。
 この「海に消えた神々」は沖縄の海底遺跡を舞台にしていますが、あまり話を広げすぎず、古代文明にも突っ込みすぎず、ストーリーも上手くまとめていると思います。こしんまりしてしまった印象は拭えませんが、悪くないです。
 第3弾は、、、、、難しいだろうな。
 

『陰陽師 瀧夜叉姫』 夢枕獏 
 陰陽師シリーズには珍しい上下2巻の長編です。陰陽師シリーズはおどろおどろしさの中にも軽妙洒脱な雰囲気があり、短編中心ということで軽く読めるところが人気なのだと思いますが、この作品はスケールも大きくかなり重い仕上がりとなっています。
 安倍清明と源博雅のコンビはそのままですが、平将門や俵藤太といった登場人物の存在感が大きく、特に源博雅の出番が少ないのが重くなった原因でしょうか。ゆくか、ゆこう という定番のやりとりが無く、笛も一度も吹かなかったのではないかな。ならば雅な雰囲気が無いもの当然ですね。
 「生成り姫」も面白かったけれど、この作品も読み応えがありました。


『ゆめつげ』 畠中恵
 しゃばけのシリーズかと思って買ってきたのですが、違っていました。
 幕末の江戸を舞台に、貧乏神社の神官兄弟が事件に巻き込まれるのですが、そこに神社やお寺の生き残りをかけた大小様々な思惑も絡んで、、、、。
 ということで そこそこ面白いし、主人公兄弟のキャラクターも悪くないと思うのですが、全体に中途半端な印象。
 主人公のキャラをもっと生かしたストーリー展開にした方がより面白くなったような気がします。でも、それだとしゃばけの若旦那と被ってしまうのかな。物語全体のほっこりした雰囲気は似てますしね。


『リピート』 乾くるみ
 「イニシエーション・ラブ」の作者が描くSFとミステリーのコラボレーション。
 タイムスリップを下敷きにパラレルワールドが展開されていくのですが、なかなか趣向を凝らした設定で楽しめます。
 何を書いてもネタバレになりそうなので、これ以上は書きませんが、面白いですよ。


『神はサイコロを振らない』 大石英司 
 タイトルと、墜落したはずのYS-11がマイクロ・ブラックホールによるタイムトラベルで10年後に突如表れたという設定に惹かれて購入しましたが、SFではありませんでした。
 乗客乗員とそれを取り巻く人々の人生、人間模様が描かれた作品で、それぞれの個性が表れた展開はなかなか面白いです。
 ただ、3日後には死ぬという事を知ってからも悪あがきをするのではなく、比較的落ち着いて運命を受け入れる人たちが多い事には少々違和感を感じました。遺族は10年の間に心の整理はある程度出来ていたでしょうけど、乗客側はそんなに落ち着いていられるかな。まぁ、3日間ではできる事など限られているから、3日間という短さがミソなのでしょうか。
 いろいろ書きましたが、なかなか面白い作品で、ラストは結構ジーンと来ます。
 TVドラマ化されているようですが、出来上がりはどうだったのかな。


post by aozora

20:10

本の話 コメント(2)

この記事に対するコメント一覧

ブラコン2号

Re:年末年始に読んだ本

2011-01-12 21:30

「月の裏側」は…常野シリーズの恩田が大好きなあたしとしてはピンとこない作品でした。 「陰陽師 瀧夜叉姫」は読んでないかも。最初は面白く読んでいた陰陽師シリーズも飽きがきてしまって手に取らなかったのかも。「生成り姫」は確かに面白かったですね。 畠中恵も「しゃばけシリーズ」を読んでいたのですが…もうちょっと深みがほしいなぁ…なんて思って、最近のは読んでないです。 「神はサイコロを振らない」ドラマを見てました! キャスティングが好きでした。ともさかりえ、小林聡美、山本太郎などなど。ラストがどうしようもなく、ドラマチックなどんでん返しがなかったのが淋しかったです。でも、なかなか好きなドラマでしたよ。

青空

Re:年末年始に読んだ本

2011-01-13 12:35

>ブラコンさん  「しゃばけ」も「陰陽師」も続けて読むと 同じような展開が多いし 飽きちゃいますよね。今回は両方とも久しぶりに手に取ったもので、セールでないと買っていなかったでしょう。恩田陸もだけど。 「神様はサイコロを振らない」は、本とTVではかなり違っているそうですね。基本的にTVの連続ドラマは毎週決まった時間に観るのが面倒なので観ないのですが、DVDになっているかもしれないので、ちょっと探してみようかな。

コメントする