違いがあって当たり前

2006年11月07日

明日は天皇杯4回戦の千葉戦ですが、これをテーマにしたエントリーは多いでしょうし、
私は特にこれというコンサの話題がないので、他の方にその話題はおまかせします。

昨日までずいぶん時間がかかりましたが、『競争やめたら学力世界一 ~フィンランド
教育の成功~』(朝日選書)を読んでいました。

いま、フィンランドは世界の教育界でもっとも注目されている国で、国際学力調査の結
果が断トツの1位です。

詳しくは実際に読んでいただきたいのですが、中学生の子供を持つ一人の親として、と
ても興味深い内容でした。

いろいろある中で、
 ・学校は学び方を教えるところである
 ・学校は地域を母体としていて、高校のような選抜がなく異質集団で成立している
 ・日本のような習熟度別のクラス編成は昔やっていたがやめた
 ・カリキュラムは国としては大枠を定めるが、基本的には各学校に任されている
 ・福祉国家らしく授業料は無料である(そのかわり税金は高いが…)
 ・日本のように通知表に出てくるような成績を付けない
 ・グループ学習が中心である   など

そして、教師の生徒へのかかわり方であるが、
 「一人たりとも落ちこぼしを作らない」という精神のもと、教師は低学力の生徒の
 「底上げ」に力点を置き、できる生徒に対しては自主的に勉強させる
ということである。

国の成り立ちの違いはあるにせよ、教師のかかわり方には驚いた。
日本であればその逆で、低学力の生徒には関わりを持たないという傾向があるから。

この本の最後のほうの「生きる力」「ゆとり」「総合学習」の政策決定者の言葉がショ
ックだった。
「学力低下は予測し得るし、覚悟していた。逆に平均学力が下がらないようではこれか
らの日本はどうにもならない。できない者はできないままでいい。百人に一人のできる
者がこれからの日本を引っ張って行く。限りなくできない非才、無才にはせめて実直な
精神だけを養っておいてもらえばいい。」
でも、日本も戦後50年は「底上げ」に精を出していたそうです。

最近になって教育関係のいろいろな事件が話題になりますが、今の部分を読んで十分納
得がいきます。
これでは学校に行っても幸せは得られませんよね。


この記事に対するコメント一覧

エビ

Re:違いがあって当たり前

2006-11-07 21:10

お久しぶりです^^; 進学進学ですからね今の教育は・・・。 高校の校長が自殺するなど問題が多いですよね。 子を持つものとしては子供の先行きが心配でなりません。 来年から上の子が小学生になります。 いまからいろいろと心配です・・・。

hiroki

Re:違いがあって当たり前

2006-11-07 22:45

日本の教育は、根本的に考え直さないと……。 フィンランドのやり方は本当に素晴らしいと思います。 でもそうは思わないと言う人が教育関係者に多いのが現実かも…。 この政策決定者の考えが 最終的に「いじめ」や「校内暴力」にまでつながるような気がします。

なかさん

Re:違いがあって当たり前

2006-11-07 23:24

今の日本の方針と50年前の日本の方針が違いがあるのにはびっくり。これからどのように改革されていくのか、ちょっと心配になってきました。

ゆり

Re:違いがあって当たり前

2006-11-07 23:58

こんなこと書いてるうちは、教育なんて改革できないです。 ドイツのように「マイスター制度」でも確立されていれば話は別ですけれどね。

いっちゅう

Re:違いがあって当たり前

2006-11-08 01:08

ゆとり教育って、できないといわれる層は勉強への興味も少ないからそこを底上げして平均的な学力を上げるモノだと思ってました。 いろんな人と昔話をしますが、往々にして数学や算数につまずいた人は先生の教え方が下手なんだなぁと感じました。つまり、教師のスキルを上げればまだまだ平均学力なんて上げれるわけです。 何も考えずにできないやつはほっとけばいいなんてよく言えたもんだなぁと思いました。置いて行かれたモノは置いてった人についてきやしないと思いますしね。

equip

Re:違いがあって当たり前

2006-11-08 18:30

>エビさん お久しぶりです。 上の子供さん、来年就学ですか。 進学についてはまだまだ先の話ですから、今は通う予定の小学校の様子などの情報を知っておくほうがいいと思います。 近所の人の話なんかで十分です。 >hirokiさん 日本の教育は今まで「経済」を中心に進んで来ました。 それが今頭打ちになったということだと思います。 フィンランドと北海道の人口はほぼ同じです。 日本の教育も地方分権にして、学校単位でいろいろと取り組むようになればと思います。 >なかさん これからも変わって行くと思いますよ。 特に「実績」重視の姿勢。 学校単位、教員単位で実績を作らないと生徒どころか学校も教員も落ちこぼれるような感じがします。 >ゆりさん 実はドイツの「マイスター制度」も曲がり角に来ています。 せっかく修業を終えて職人になっても人件費が高いため、大企業の下請け職人なんかは仕事にありつけないのです。 旧東欧諸国の人件費の安いところに仕事がまわって行くのです。 日本以上にドイツは学力問題が深刻です。 >いっちゅうさん 私もゆとり教育についてはいっちゅうさんと同じ考えを持っていました。 しかし実際にやっていることはその正反対。 しかも、村上龍さんの話の通り「今の教育はお金が勝負」ときていますから、ものすごく厄介です。 機会均等とか平等とか、意図的に「勝ち組」「負け組」を作っている世の中では白々しく聞こえる言葉に思います。

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