2006年02月28日
野暮用で前半途中からの観戦となりました。よく追いついたと思います。展開的にはノーチャンスでしたが、相手の負傷退場に助けられました。以下、雑感。
【1対1の厳しさと組織での守り方】
昨日書いた両チームの選手と異なり、今日の日本は明らかに1対1で勝てていませんでした。ボスニアの選手の懐の深さもあるのでしょうが、彼らの方が自信を持って、力強いステップを踏めていたように見えました。
また、特に後半は中盤でのプレッシャーが上手く掛かっていなかったですね。サイドに追いこんでも丁寧につながれてサイドチェンジをされてしまっては走り損。終盤に投入された小野・稲本も、あれだけ周りの選手の運動量が落ちているとどうしようもなかったのかな、とは思います。中盤の四人は今年初めてやる組み合わせだったので、コンビネーションの問題が解消されればある程度やれる、と思いたいですが…、正直私は本番でも守備はこんなものだろうなと思います。
【セットプレー】
そうすると、数少ないチャンスをものにして優位に試合を進めるために必要なのがセットプレーということになりますが、これは非常によかったのではないでしょうか。中村のキックの精度はやはり大きな武器ですね。後半、相手キーパーのビッグセーブがなければ、と思わせる場面もありましたし。宮本がニアに飛び込むパターンはあまり見られなかったと思うのですが、あれ、対戦国にバレやしないですかね。
【試合運び】
結局ロスタイムに追いついたのですが、その前に相手のDFがヒザを痛めてしまい、ヘンな間が入りました。そのあとにも関わらず、集中力を切らさず同点ゴールを奪ったことは評価してよいと思います。ボスニアのCBが抜けたところを見逃さなかった中田英はさすがですね。
今日のようなじりじりする展開が本番のW杯でも続くと思います。厳しい時間帯を失点せずに乗り切るという課題はクリアできなかったわけですが、フィンランド戦よりはるかにためになる試合だったのではないでしょうか。やはり試合は格上とやってナンボですよ(仙台への当てつけ)。
さて、私のトレーニングキャンプはチームより一足早く終了。シーズンインに向けていろいろな試合を見られて良い勉強になりました。答案が上手く書けている自信は全くないのですが(笑)。とにかく、今年はしっかりと試合の内容を見て、じっくりと札幌のサッカーを味わいたいと思います。あと4日。
2006年02月27日
ふと、自分の靴の踵を見てみました。「やっぱりヘンな減り方してる…」。
ようやくCL、チェルシー-バルセロナ(チェルシーホーム)を見ました。技術の高さは言うまでもないのですが、さすがだなと思ったのは彼らの「バランス感覚」です。
その日のスタンフォードブリッジはそれは劣悪なピッチ状況でした。中央部の芝は剥げ、所々水が浮いており、「ここは米里か?」と思わずつっこみたくなるような。米里は芝じゃなかった気がしますが。
どうもイギリスは悪天候続きで、雨が続いていたみたいです。で、それに加えてチェルシー側がスプリンクラーで水撒いたんだそうな。「ウチのパスサッカーを封じるためだ」とバルセロナ側は怒っていたようですが。それに加えて、イングランドのピッチは粘土質だそうで、照明を浴びてテカテカに光っていました。
ところが、足を取られて転倒する選手が非常に少なかった。体幹がしっかりしているというのはああいうのを言うんでしょう。重心がブレず、正しい荷重がかかっているから転ばない。こういう状況でこそ一流の選手は力を発揮するものなのだ、と改めて感心しました。
これだけのレベルの中でもシャア専用アシスホナウジーニョは別格だな、と思いました。フィジカルの強さって言うのはただ筋肉が強いことを言うのではないと、改めて実感。それとメッシですが、ステップの細かさが目につきました。速さに加えて、次にどう動くかが読みにくい選手だ、という印象です。チェルシー側ではロッベン。当たり云々ではなく、1対1の局面で自分からバランスを崩すことなく、自信を持ってドリブルで勝負していました。
札幌の選手は、「スパイクが合わねぇ」とか言ってすっころばないように。だからよその試合はもうイイんだって!明日は代表かよっ!あと5日。
2006年02月26日
「もう終わろうとしているのに何を今更」という声が聞こえてきそうですが。この二つは似ているんだと思うんです。
オリンピックは、4年に一度の大会であること、世界中の注目を浴びることなどから、やはり他に比べて別格であることは間違いない。傍観者の我々が「オリンピックだけがすべてじゃない」などと言ってみても、選手達自身の多くが「オリンピックに出たい」という想いを口にする以上、否定しようのない事実だと思います。
たった一度のオリンピックではやり直しがきかない。「その日」にピークを持っていくのも、プレッシャーの掛かる状況で自分の力を100%発揮することも、やはり選手の能力の一つだと思います。その能力がなかったから敗れた、あるいは持っている力を100%発揮できなかった、不本意な成績に終わった…。もちろんもともと備えている技術などが一定のレベルに達していなければ話にならないわけですが。
それに加えて、やはり巡り合わせというものがある。競技の性格上、キャリアのピークが短くならざるを得ないというものもあると思います。そうすると「何歳の時にオリンピックを迎えられるか」という、本人にとってはどうしようもない要素で勝負が決まる場合だってある。浅田真央選手なんかは典型的な例ですね。
そういう意味でオリンピックとカップ戦は、ともに一発勝負であるという点、偶然性が大きな要素となるという点で似ている、と思うわけです。
一方で、サッカーにおけるリーグ戦や各競技のW杯など、シーズンを通して安定した成績を収める能力というのもあるわけです。要はどちらが得意なのか、ということだと思います。だから、「ここ一番で勝てなかった」というのも正しいし、「オリンピックに負けたからといってダメな選手というわけではない」というのも正しい。リーグ王者がカップ戦で負けることだってあるし、ジャイアントキリングが得意なチームだってある。
で、札幌です。今年の札幌に求められているのは(ここ一番で勝つことも必要ですが)、もちろん最後に結果を残すこと。極端に言えば東京Vに4連敗しても昇格すれば良いわけです、絶対にイヤですけど。
五円玉のお化け金メダルの如き目先の派手な結果に左右されることなく、シーズンをトータルで見つめることを心掛けていきたいものです。さあ、あと6日。
2006年02月25日
何だか空前の盛り上がりを見せそうな気配の「ユニ祭り」を横目に、G大阪-浦和の雑感でも書いてみます。あと一週間、500円貯金、目標までいくのだろうか?
【G大阪】
やはり報じられていた通り、前線の選手の組み合わせを模索しているようです。2トップの組み合わせ、二川とフェルナンジーニョを併存させるか否かなど、試行錯誤が続いているようです。そんな中、やはり去年の大黒・アラウージョの代わりをそのまま播戸・マグノアウベスにやらせた後半20分以降の形が良かったように思います。
前半はフェルナンジーニョとマグノアウベスの二人とも、DFの前でボールを受ける形が多く、浦和の狭いゾーンに引っ掛かってチャンスを作れませんでした。対して播戸は「まずDFの裏を狙う」という役割を託されて投入されたと思われ、これが浦和のDFラインを下げることにつながり、ひいては2バックにして厚くした中盤の選手がプレーするエリアを広げました。ただ、終盤、疲れの出てくる時間帯の投入だったため上手く行ったとも言えそうです。頭からこの組み合わせで行くかというと、どうかなとは思います。
あと、遠藤はあまり良くなかったですね。代表でもパッとしなかったし、調子落としているんでしょうか?
【浦和】
思ったよりもワシントンが活きていた、という印象を持ちました。前半、彼の1トップに対してG大阪が3バックで応対したため、二列目の選手が上手くプレーできていたように思います。リードしてからはやや引き気味になってしまったので縦に速いだけの、悪い意味での「レッズサッカー」になっていましたが、ポンテ・小野が絡む遅攻は守るのが難しそうです。
強そうですね。問題は後ろの方の選手層でしょうか。特にCBのバックアップ。闘莉王はケガが多いので、長期離脱すると厳しくなるかも知れません。
さて、開幕まで一週間。もう余所の試合は見飽きた。
2006年02月24日
正直、「F組の2チームが含まれている」ことが怒りの最大の原因ではありますが…(苦笑)。選手登録が間に合わないって、ボイコット以外の何者でもないだろーが。しかも、AFCも認めるなよ、出ろって言えよ。大会の権威が落ちる。(「元々権威なぞなかった」というのは重々承知の上です)
この大会、そもそも地理的に無理がある。ヨーロッパは参加国同士が近いのに対して、アジアは離れすぎている。東と西に分けたことで距離的な問題はやや改善されたとは言え、問題は「南北移動」が多いことにあります。温帯の日本・韓国と熱帯のタイ・インドネシア…。移動には、距離に加えて気候帯をまたいでいるかどうかも大きな要素。順化に時間が掛かるという点で、ヨーロッパのホーム&アウェイとはまた違った厳しさがある。
まぁ、今回の件は遠征費用の問題かなとも思いますが、今後に向けていろいろな無理を何とかして欲しいものです。チャンピオンじゃないチーム(東京V)が参加するという「ムリ」は日本で何とかするとしてw
対策案その1。各国は国内リーグの日程をACLに合わせて組む。出場チームが絡む週末の試合をミッドウィークに持ってこれないか。国内(週末)→海外(ミッドウィーク)→国内より、海外→国内→国内の方がよっぽどマシ。週末に試合を組めないことに対しては金銭的補償なり何なり各国で考えろ。
対策案その2。セントラル方式を採用。ヨーロッパを形だけ真似したホーム&アウェイ方式は、アジア規模の大会には合わない。ランキング上位国が開催地を選択できるようにしてセントラルで。
対策案その3。少なくとも予選の組み分けによって今回のような不平等が生じないように(東京Vなんて2試合だけで予選勝ち抜けるかもしれない)、ボイコットしたクラブの所属する国には制裁を。
それにしてもツイてるよなぁ、緑。まぁ、それでこそ叩き潰し甲斐があるというものだ。負けを日程のせいに出来なくなったわけだから。
2006年02月23日
ミヒャエル・バラック(バイエルン・ミュンヘン)とこの人。
ミラン、アウェイゴールを守りきれるか?でもイタリアのチームとは言えユベントスならいざ知らず、ミランには「守りきるサッカーに徹するチーム」というイメージがない。
2006年02月21日
僥倖【ぎょうこう】
思いがけない幸せ。こぼれざいわい。また、それを求めること。
柳下のインタビューがスポーツナビに載っています(聞き手:斉藤宏則さん)。
読後感。「この人、ホント、目新しいこと言わないよなぁ」。悪い意味ではないです。ブレない。
「不相応だよなぁ」と思います、このクラブには。これも悪口ではないですよ。恵まれたなぁ、と。
もちろん彼の言うことならば100%正しい、などと言うつもりはないですが、いいタイミングで、いい人が来てくれた。その幸せな関係が三年目を迎えた今年。どんな年にしてくれるだろう?
さ、どんな年にしましょうか、皆さん?
2006年02月19日
結局たまった諸々をほとんど処理できていない昨日から今日夕方にかけて気になった事柄について。
【2月19日】
コレだよコレ、仕事が進んでいない原因は。
「今日から大会が始まっていれば…」とは19日の二試合目・スウェーデン戦のあとの選手のコメント。
長いシーズン・短期決戦…。フィジカル・メンタルのピークをどこに持ってくるかが重要なのは同じ。さて、札幌はどこに持ってくる?
メンタルが大きな要素となっていると思われる競技。「ノッてきた」状態のまま、残りの試合をこの勢いでものに出来るか。
父さんは相変わらずはぐらかしているので選手の証言を。守備は出来ているようです。持続力と得点パターンの確立が課題、といったところでしょうか。谷澤はテクニックがあってイヤな選手だな、という印象があります。
そうか。でもちゃんとウラ取ったのか?>「世界唯一の…」
これ。
注目の的らしい。エスパのサポだな、手前の人は。
【2月18日】
私だけ?「クソ野郎どもにとはいえやっと相手にされるようになった」とちょっとだけ嬉しくなったのは。
どんなタイプであれ、左利きであるということそのものが彼らの武器になっているし、人を引きつける魅力になっていると感じます。それに加えてこの人はFKという「魔法」を持っていた。
指導者の道を進むようです。
「人為的」でないミスなどあるわけがねえだろうが。
…と思い、「人為」という言葉を辞書で調べてみた。①人間のしわざ②たくらみ・いつわり・かざり(『広辞苑』第一版(古い_| ̄|○))。
アメリカ側の報告書の訳「食肉業者も検査官も輸出条件に十分に精通していなかった人為的なミス」。①で使っているんだろう、そりゃそうだろうウン、が…。
ミスを憎んで人を憎まず。人間はミスを犯すもの。嘘偽り・言い訳で塗り固められたときに、①は②に変わる。
異国の地で、頼るもの・人が限られた環境に置かれるのは辛いでしょうが…。防ぐ手だてはあったのではないか、そう思わずにいられない事件。助手席に座っていた、被疑者の娘の瞳が何を見てしまったか、それが気掛かり。
2006年02月19日
ジャンプ、残念でした>トリノ 書いておいたレビューをアップしてから寝ます。明日もやること山積みなのに。
「引いた相手を崩す」…。ドイツで代表がそのようなチーム相手に試合をすることはなかなか想定しづらいのですが、得点には結びつきませんでした。以下、雑感。 【前半と後半の違い】 試合直後の小野伸二のコメント(onテレ朝:要約)。「前半はロングボールを蹴ることが多かった。ただ、結果的にサイドで裏を取ることが出来ていたので多用する展開になった」。 これは実はフィンランドの狙いだったのではないかというのが私の考えです。まず中央に人数を揃えておき、FWのマークをずらさないようにして、サイドを突破されてクロスが上がっても高さではね返す。サイドからクロスを放り込まれるのが危険なのはどのチームでも同じなのですが、それでもゴールラインに平行なクロスであれば真ん中でやられることはないだろう、しかもGKとDFの間のスペースを消しておけばなお危険は少ないだろう、というのがフィンランドの守り方だったのではないでしょうか。 それに対して後半、ジーコは「グラウンダーの速いボールを使え」という指示を出したようです。結果、直接得点に結びつかなかったものの、何度か「サイドをパスワークで崩した上でのクロス」が見られました。 真ん中を固めて引きこもる相手に対しては、①早いタイミングでクロスを上げてDFを背走せざるを得ない状況に追い込む、②リスクを恐れずに縦にくさびのパスを打ち込んで真ん中から崩す、③サイドでの速いパスワークを多用しその間にFWがマークををずらしてクロスに飛び込む、などの方法が考えられます。日本は③を選択したわけですが、至極真っ当な選択だったと思います。①は高さの問題、②は巻はともかく久保は足下で受けてキープするにはちょっとフィジカルの面で不安があるというのもありますが、何より③は日本の長所を活かした攻め方だからです。こうした狙いを設定したことから、小野・福西が「自分も動いてボールも動かす」という本来の役目をうまくこなせるようになったことが、後半のまずまずの出来につながったのではないでしょうか。相変わらず福西はトンデモなパスミスが多いですが。象徴的だったのは65分のシーン。左サイドのスペースに抜け出した福西が折り返した先には小野が詰めていました。 ただ、それが得点に結びつかなかったのは今後の課題ですね。 【アメリカ戦との違い】
【選手個々の評価】
【言いがかり】
え、ゴール?早いスローインからの得点はしたたかという点で評価できるけれど、2点目はラッキーゴールだし。イヤ、小笠原が適当に蹴ったという意味ではなくて、狙って蹴ってもなかなか入らないのが入ったという意味でのラッキー。見事な精度でしたよ。でも、あくまで個人の力。どちらも崩して取ったものではない。
2006年02月17日
ラリー・コリンズ/ドミニク・ラピエール(著) 志摩隆(訳)
『さもなくば喪服を 闘牛士エル・コルドベスの肖像』(新装版・早川書房 ISBN:4152086432)
スペインの生んだ伝説の闘牛士、"エル・コルドベス(コルドバ人)"マヌエル・ベニテスの半生を綴ったノンフィクション。
マヌエル(マノロ)・ベニテス。1960年代のスペインで国民的人気を博した闘牛士。本書は、彼のマドリードでのデビューを軸に据え、彼及び彼の一家の遭遇した貧困、スペイン内戦、マノロの故郷からの追放、「マレティリャ(小さな旅行鞄。転じて闘牛士志望の若者のこと)」としての長い日々、故郷パルマ・デル・リオ凱旋などにまつわるエピソードで構成されています。
特に、彼が闘牛士としてのデビューを果たした故郷パルマでの闘牛の場面は本書における一つのクライマックスであり、私が読んだ・見たスポーツの場面に関する描写でこれほど息を呑むような思いをしたのは、『一瞬の夏』のソウルでの試合・映画『運動靴と赤い金魚』の「マラソン大会」以外にありません。ここを読んで、あらためて巻頭のモノクロ写真を見るとその凄味が伝わってきます。
そして、マノロはこのデビュー戦を境に「狂った夏」へと突き進んでゆくのです。
「狂った夏」とは、彼が一気にスターダムにのし上がってゆく過程に冠せられた形容ですが、「なぜ国民を『狂わせる』に至る英雄になり得たのか」という問いに対する答えが、本書の序盤から周到に用意されています。
第一に、マノロのような若者が数多く存在したこと。マノロと共に故郷を追われ、その後の行動を共にしたものの、一人前のマタドールとなることは出来なかったフアン・オリリョ。物語の途中、幾度となく登場するマレティリャ達。角傷を受け死に行く若者…。マノロは貧困から這い上がろうとする者達のシンボルだったのです。
第二に、変わりゆく闘牛界・開かれてゆくスペインという国の象徴として彼が登場してきたことが挙げられます。英雄的闘牛士達の死の後を継ぎ、伝統的な優雅さではなく型破りな手法と類い希な勇気を披露する彼の登場は、内戦とそれに続くフランコ政権による「停滞」から脱却しつつあるスペインという国の縮図でもあった。何か我が国における力道山を彷彿させます。もちろん直接見たことはありませんが。
本書の構成は、マドリードの闘牛場での一日と、マノロが闘牛士になるまでの道のりを交互に展開するというものになっています。ある象徴的出来事と、それまでのその人の歩みを交差させ、最後にその出来事にストーリーを収斂させてゆく、現在ではノンフィクションの「王道」となった手法です。マドリードで相対する牡牛の「欠点」を即座に見抜く卓越した能力から、いかにしてそれを身につけたかを語る次章へ。これから起こる悲劇を予感させながらも故郷への凱旋とデビューに話を移し、「狂った夏」における輝かしい成功の物語の後に、再び悲劇の舞台へと読者を引きずり込む…。
タイトルにも用いられている、エル・コルドベスが故郷で闘牛士としてデビューする際に姉に語った次の一言は、これ以上ない程美しく、それでいて何とも胸に迫るものがあります。
「泣かないでおくれ、アンヘリータ、今夜は家を買ってあげるよ、さもなければ喪服をね」
余談その1。オフィシャルブログなので、一応札幌に関係のある気配を漂わせておこうかな、と(笑)。
「英雄的存在」というのは、その人の資質だけでなく、時代背景など様々な要素が絡み合って「生み出される」ものだ、と思います。つまり、優れた選手であると同時に大衆がシンパシーを感じることの出来る歩み方を彼がしているかというのが、ただの良い選手と英雄的存在を分ける要素の一つなんでしょう。その意味で、三浦知良が、Jリーグ誕生といういい時期に日本に帰ってきたこと、「ドーハ」とフランス大会でのメンバー落ちという二つの「悲劇」によって広く大衆に知られる存在たり得ている一方で、奥寺康彦など「カズ以前の名選手」はサッカーファンの間でしか認知されていない。別に英雄扱いされたいという理由だけで選手はやっているわけじゃないでしょうけど。
で、人気のためには英雄的存在がいた方がいいわけで。若貴世代引退後の大相撲はあの通り。プロ野球は長嶋・王を失ってからじりじりと人気を下げ、イチローが出てきたと思ったら向こうに行っちゃうし、挙げ句病に倒れた長嶋さんに未だにすがりつこうとする「人々」…。
いなくても競技そのものの魅力で売れば良いのかも知れませんが、「これからを担う大事な存在」である子供にはそれが通用しないのではないかと思います。現に「カズさん」でサッカーを始めた世代が今Jリーグに入ってきていますからね。札幌にもそろそろそうした存在が欲しいところです。ただ、「選手を育てて売る」事に徹しないと生き残れそうにない札幌がそうした選手を持つことが出来るかどうかは難しい問題だと思いますが。
中田英寿以降の日本サッカー、今のところそうした英雄的存在を持たない札幌…。うーん。
余談その2。本書のBGMに、と考えて購入したのはNHKスペシャル「映像の世紀」のサウンドトラック(2枚)。本作を手掛けた作曲家・加古隆氏はドラマ「白い巨塔」のテーマでもおなじみ。一闘牛士の半生を綴る物語であると同時に、20世紀初頭から中期にかけてのスペインという国の歩みをも語る本書には、やはり20世紀を素晴らしい構成で語ったNスペ史上に残る名作「映像の世紀」のテーマが相応しいだろうと。理由はもう一つ。お気づきの方もおられるかと思いますが、メインテーマのタイトルは、コリンズとラピエールによるもう一つの名作のタイトルに用いられた言葉から来ているというのも選曲の理由です。
そう、タイトルは、「パリは燃えているか」。
こちらも近々読もうと思っているのですが、長いんだよなこれが(笑
2006年02月14日
火曜日だというのに今日は珍しく安らかな日を過ごしています。ま、さっきまで野暮用をこなしていたんですが。それでも何という平穏な夜。Amazonから届くのを待ちわびたCD、これで何回目なんだろう?
で、開幕18日前にして久しぶりに札幌のことを書いてみようと思い立った不信心なアウェイ側サポ(懺悔
まず、余所の様子。
【注】仙台に関する部分は知り合いに対する挑発・おふざけですので、マジ切れ仙サポの抗議・荒らしは勘弁。
開幕戦の相手の鳥栖ですが、練習試合でG大阪に3-3(45分×3)・清水に4-2(45分×4)と結果を出しています。「けが人が多い」ようですが、不気味。
横浜FC、あまり上手くいっていないようです。システム・外国人とのコンビネーションに対し、キングがおはぎのようにふくれています。
次に東京V、ここに来て下のカテゴリーから選手を集めています。DF羽山・FW齋藤に、FC琉球からMF佐藤を獲得。羽山は出戻りですね。
何でしょう?大宮との練習試合では1-1、カリオカも手応えありみたいな発言をしていたのに。年齢的に見て将来を睨んでの補強というわけではないようです。ACL向けにまだ選手が必要だというのでしょうか?40人を越えたと思うのですがめんどくさいので数えていません。今の選手(控えレベル)に物足りなさを感じているのでしょうか?どうでもイイが東京Vのオフィシャルサイト、カーソル動かすたびにカチカチうるせえ!
ヘタクソベガルタ仙台-おお、彼らに災いあれ-については、随分前に逃げだした選手を励ましてサポの気持ちを逆撫でするこんな記事を載せちゃう、おちゃめな「河北新報」から。キャンプインが遅いんじゃないか、などの声が選手からも出ていたようですが、ようやっと初の練習試合で大学生を屠って有頂天になっているようです。でもコンビネーションがまだまだと思われる時期に外国人が結果を出しているあたりは不気味です。ここは第1節休みですからね。一週間余裕があるのでしっかり仕上げてくるのではないでしょうか。が、「やっぱり外国人だけが暴走した」となるように願ってやみません(切実
神戸。「オマエ実家近いんちゃうんか。そっち方面から情報を…」とお考えでしょうが、おそらくこの時期の阪神間のマスコミ及び大衆は寅さん虎さんに夢中と思われます。それでも「ロゴが虎さん」なデイリースポーツに新外国人獲得のニュースが。強化サイドはセカンドチョイスとしてリストアップしていた選手が獲れた、と満足げ。開幕に間に合っちゃいそうです_| ̄|○
三浦アツ、やはり合流が遅れました。
山形は、水戸との練習試合に0-2で敗戦。財前は左ハーフで出場。FW阿部を中盤で使ったり、いろいろ試している段階みたいです(山形新聞より)。
また、柏ですが、今週末に「ちばぎんカップ」対千葉戦があります。千葉在住の方の報告なんかがあると嬉しいなぁ、たとえ新聞報道だけでも(この下りは複数の方に対する脅迫哀願です)。
翻って我が札幌-おお、彼らにカルチョの神の祝福あれ-について、福岡番ライターの中倉一志さんがキャンプレポートを書いています。福岡の後を追うように土台からのチーム作りと継続性を求めた札幌に対して以前から好意的な目を向けてくれていた彼の考えなので、皆さん話半分に聞きましょう(過剰な禁欲
こんな感じです。「こんなの見つけたよ」とか、「余所サポは札幌のことこう言っている」とか、「そのCDをオレに献上しろ!」(謎)とかあったら教えてください。
2006年02月11日
ジーコの期待していた選手は、今日に限っていえばいずれも「ハズレ」でした。以下、雑感。
【収穫】
【課題】
【「受験生」の出来】
高いDFラインを保ち、セカンドボールを豊富な運動量で拾い、正確なパスでつないだアメリカと、それを出来なかった日本の差がそのまま結果に出た。やりたいことを相手にそのままやられたって感じ。象徴的だったのがアメリカの2点目。その前、日本がゴール前に迫ったのをはね返し、それをFWがしっかりつないでマイボールにした後の得点。これが出来なかったために日本は押し込まれた。以前は批判的だったが、鈴木隆行、良い選手だったなぁ、久保の6億倍。
2006年02月11日
明日は「サポ集会」「代表戦」祭りが開催されると思われるので、なるべく多くの人の目にとまるように今のうちにupしておきます。ちなみに私もどちらかの祭りに参加します。
知り合いにJR好きがいまして。時刻表眺めてニヤニヤするために「特急はちょっと値が張る」という方のために、と次のような方法を教えてくれました。
札幌圏在住で、この日1日はつぶれてかまわないという方のための「一日散歩きっぷ」作戦。
「一日散歩きっぷ」は休日限定・札幌圏の普通快速列車1日乗り放題の切符です。価格は2040円。当日の朝、切符売り場で買います。
【重要】時刻は3月18日ダイヤ改編で若干動くかもしれません。時刻表チェック!
ー行きー
①ゆっくりいきたい方(開場40分後頃に到着)
札幌(2番ホーム) 8:46<普通・苫小牧行>苫小牧 9:58
苫小牧 10:10<普通・東室蘭行>東室蘭 11:12
東室蘭 11:23<東室蘭から普通・室蘭行>室蘭 11:36(札幌からL特急すずらん2号として来ます)
②開場前に乗り込んでバモりたい方・キング効果で席取りが心配だという方
札幌(6番ホーム) 6:49<快速エアポート62号・新千歳空港行>千歳 7:19
千歳 7:26<普通・東室蘭行>東室蘭 9:04
東室蘭 9:08<普通・室蘭行>室蘭 9:21
開場の1時間半前に着き、寒さをしのぐために並びながらバモ。開場と同時にゴル裏に陣取り、試合中はキングそっちのけでバモ。試合後は歓喜のバモ。
ー帰りー
室蘭 16:37<東室蘭まで普通>東室蘭 16:50(東室蘭からL特急すずらん7号となります。勝利の余韻に浸ってこれに乗りっぱなしだと特急料金+室蘭からの乗車賃取られます。注意!)
東室蘭 17:07<普通・苫小牧行>苫小牧 18:08
苫小牧 18:22<普通・手稲行>北広島 19:07(そのまま乗っていても札幌に19:37着)
北広島 19:09<快速エアポート187号>札幌 19:25
試合は15時終了なのに16:37発なのは、「東室蘭15:32発があるが、それに接続する室蘭発がない」からだそうで。阪神ファンなら駅の構内でずっと「六甲おろし」歌っているんでしょうがそうも行かないと思うので、どっかで祝杯あげて時間つぶして下さい。
時間が掛かります、ハイ。学生さん中心に「1円でも安く済ませたい」という方におすすめ。バスだと往復3750円だし、回数券(4枚)買って二人でシェアしても3500円。①と同じくらいの時間の到着を狙ってバスに乗るにしても、出発は①の方が1時間早くなるだけですからね(注)。お知り合いに是非教えてあげて下さい。
情報提供者は「普通列車がサポだらけになったらある意味恐い」と言っていますが…、ならないと思うけど、なったらなったで素晴らしい光景じゃないか、鈍行ジャック(w
(注)中央バス:札幌駅前0930→室蘭駅前1145。もっと早い時間もあり。
ただ、このプラン、というかエントリーのヘンなトコは二つ。その1、
JR北海道にとっては特急利用者が減り収益が上がらない
ということ(苦笑)。バスから客持って来ることができるかもしれない、ということで勘弁。「時間がなぁ」という方・スポンサーへの利益還元を優先させたいという方には特急をおすすめします。
その2。ココまで書いておいてアレですが、
私自身は野暮用で行けません_| ̄|○
2006年02月10日
バトンが拝田さんのところから回ってきました。お答えします。
■Q1.現在在籍しているコンサの選手で好きな選手を3名挙げてください。(できれば理由も)
私の考えている「彼らの課題」とともに。
■Q2.今までで印象に残っているコンサドーレの試合を3つ上げてください。(できれば理由も)
どうしても4つになってしまうので反則ですが挙げますね。最後のものを除いてまだゴル裏にいた頃の試合です。
福岡戦は野暮用で行けず。大学の先輩・後輩と三人で行ったが、帰りの列車では私だけ何もしゃべらず、雰囲気を悪くしてしまった。本気でサポートしようと思うきっかけになった試合。
"war"(「戦争」という意味ではなく比喩的に「戦い」を意味する語として使っています)であることを感じさせた試合は後にも先にもこれだけですね。管見の限り札幌主催試合で唯一発煙筒が焚かれた「不名誉」な試合としても記憶に残っています。
"9.11"の後の最初の試合。いろいろなものを振り払ってくれた堀井のゴール。
印象に残っているというより、今年の戦い方如何でこの試合の重みが変わってくる、という意味で。
■Q3.家で一番多いコンサグッズを3つ挙げてください。(ユニホームなどでも可)
グッズはあまり持っていません。マフラー5本(知り合いを誘って行くときに首輪にして引きずる巻いてもらうために)。T-SELECTのTシャツ3枚。ユニ1枚(2枚になる予定)。
■Q4.コンサドーレを応援するのに必要なものをあなたなりに5つ。
■Q5.次にバトンを受け取っていただく方を5人。
信条により受け取りはしますが回せません。はじめられた方、御寛恕を。
2006年02月08日
拝田さんのところでスタジアムについて書かれていたので便乗。といってもサッカースタジアムの話ではありません。野球場の話です。何だかんだ言って日本においては今でも野球がメジャーなスポーツであることに変わりはありません。そのスタジアムの雰囲気を、少ない体験ながら書いてみようか、と思っていたところに渡りに船、便乗してしまおうと思った次第。
私の実家は「大甲子園」の近くです。本籍地に「甲子園」って書いてある。このことはちょっとした誇りでもあります。
ただ、生来の天の邪鬼故、阪神ファンではありません。阪急ファンでした。小学4年生の時、クラスで阪神ファンによる冗談3割・本気7割の「巨人ファン狩り」が行われたときに、「"阪"が付くから許したろ」というわけの分からない助かり方をしたことがあります(w
甲子園での記憶は高校野球の方が多いですね。今は知りませんが外野は子供はタダ、内野席も小遣いで行ける程度の値段でしたから。小学生の頃は足繁く通ったものです。桑田・清原のPLは強かった。
大学に入って、夏休みに帰省したときに友達に誘われて阪神の試合を見に行ったのが、思えば「声を上げて立って応援する」というスタイルの初体験でした。まぁ、スゴイです。外野席から内野席にかけていわゆるコールリーダーが等間隔に並び、彼らの合図で一糸乱れぬ声援がほぼ360度で展開される。そしてこれがまたゲームの流れをよく読んでいる。
去年の日本シリーズ見た方は分かると思いますが、ロード(アウェイのこと)のファン(ロッテの場合は「サポ」か)はそれはそれは肩身の狭い思いをしているでしょう。今は知りませんがライト側(ホーム)からレフト側(ロード)にも大量に詰めかけた同志に向けて「がんばれレフトの阪神ファン!」とコールが飛ぶような世界(w
この甲子園の雰囲気については、ジャーナリストの藤島大さんが各地のスタジアムについて書いた『Number』の連載で取り上げられていました。これ、確か単行本になっていますよね?
このようにプロ野球の時には興奮のるつぼと化すわけですが、それでも様々なスタイルで楽しんでいる人々が共存しています。最近ピンクのユニが売り出されて、若い女性も多く着て応援しているようです。ま、あんなモン着るの関西人だけでしょうけど(w
一方で話は戻りますが、高校野球。こちらは雰囲気ががらりと変わります。一昨年かな?久しぶりに高校野球を、あまり行ったことのないバックネット裏で観戦しました。
円山球場でも感じたのですが、野球を勉強するには「高校野球の試合を見ながらバックネット裏でオッサン達のしゃべりを盗み聞きする」のが一番です、ホントに。生きた教材(試合)を前に、本当に野球を知っている方々の解説を聞いていると、「あ、オレ間違えたかな?」とか「お、オレと考えてたこと同じだ」などと、自分の眼を磨くことができて、非常に有意義です。当然ながら甲子園にはこうした「素晴らしきオッサン達」が大勢いて、とても濃厚な時間を過ごすことができました。
もう一つ、素晴らしい雰囲気を醸成している要素は「銀傘に響く拍手」ですね。開始時の拍手。期待されている選手に対する拍手。良いプレーに拍手。ファウルフライにダイビングキャッチを試みたキャッチャーに拍手。アクシデントで降板を余儀なくされたピッチャーに拍手。そしてゲームセット後の、両チームの健闘を讃える拍手…。全てが銀傘に反響し、何とも言えない心地よい音を響かせます。銀「傘」なのに、下にいると降ってくる「拍手の雨」。これ以上に素晴らしい拍手の音色を聞いたことがありません、残念ながら札幌でも。
その他にも、ツタの絡まる外観、美しい天然芝、かち割り氷、焼きそばや焼きイカのにおい、それら食べ物の汁で汚れているせいかベタつく通路…。最後のは余計か(w
このように、確かに器として甲子園球場は素晴らしい要素を持っているわけですが、プロ野球・高校野球ともに、目の肥えた観客との相乗効果でスタジアムの雰囲気がより良いものになっているのは間違いありません。
幸い、札幌ドーム・厚別など、まだまだ短いながらも歴史を刻んだスタジアムを我々は持っているわけですから、今のスタジアムの雰囲気をより良くするために、自分の居場所で色々やっていきたいものです。そして(やっとここまできたぞ(汗)、もし仮に新しいスタジアムができるとすれば、拝田さんの書かれている要素の詰まった、素晴らしい器になることを期待しています。
2006年02月06日
いつのまにやら「Yahoo! Japanを利用した、コンサドーレ札幌オフィシャルブログ内の各ページ(ブログ)を検索できるフォーム」がトップページに設置されていますね。2月3日に設置した、とあるのですが、話題になっていなかったような…。気付いた人、います?こういうの、ユーザにメールで流した方がイイんじゃないか?
で、早速どんなもんかいなと思いウチのタイトルで検索してみました。
ヒット数:52件
最初のヒット:ハナコアラとドーレ君について書いたエントリー
以下、リンク貼って下さっている皆さんのエントリーがわけの分からない順序でズラズラと並ぶ中に自分のエントリーが2件と、販促部のブログに間違って2本刺したまんまのTBと…(苦笑
…ウチのブログ本体にヒットせえへんやないか!
まぁ、検索なんてそんなもの、と思い、続いて「韋駄天7」で検索してみる。ちゃんといの一番に本体にヒットしている。「不易流行」…同じ。社長のブログもちゃんと本体が最初に挙がっている。では、と思い、最新のエントリー欄のサポブログの名称を任意に入力してみる。…ダメ。
サポブログ差別かいな!!
次に記事内容での検索を試みる。昨日のエントリーで用いたいくつかの固有名詞でやってみる。…ハズレ。以前のエントリーで書いた人名も…大体ダメ。
ここまではまぁ予想していた通り。健作あイヤ検索なんてこんなもの。文句ではないですよ、上の太文字は。パブロフの犬みたいにツッコんでいるだけ。不思議なのはこのあと。
よく書いている「沢木耕太郎」で検索。エントリー(本のレビュー)そのものはなかなか出てこず、「グルメでコンサ」さんの2/1のエントリーがヒット。birrlaさんトコ以外にも出てきてちょっと嬉しかったが、ウチの記事でヒットしたのはここでもなぜか「ハナコアラ」…。エントリーの中には書いていないのに「最近のエントリー」欄の「沢木耕太郎」を拾っているらしい。しかも行ってみると跡形もない…。
ハナコアラがなんやっちゅうねん!!!
最近またちょくちょくCM見るようにな(り、テレビに向かってツッコむ事が多くな)ったが、なぜ「ハナコアラ」ばかり…。なんやねんオマエら。
2006年02月05日
『戦場のフォトグラファー ジェイムズ・ナクトウェイの世界』(2002年スイス/監督クリスチャン・フレイ/101分)
『CAPA in Love&War』(2003年アメリカ/監督アン・メークピース/85分)
私には絶対できないと思っている職業の一つに「戦場カメラマン」というものがあります。言うまでもなく、戦場に赴き、当事者の視点に限りなく近づき、時には目を覆いたくなるような現実をカメラで切り取って世界に向けて発信する…。
「いい写真が撮れないとしたら、近寄り方が足りないからだ」
この言葉を受け継ぎ現代の戦争・貧困に迫るフォトグラファー、ジェイムズ・ナクトウェイの実像に迫る前者。この言葉を遺した「先駆者」ロバート・キャパの生涯を描いた後者。何年か前にシアターキノで「戦争映画特集」として同時に掛かっていた二作品をあらためて観てみました。
『戦場のフォトグラファー』
コソヴォ・ルワンダ・インドネシア・パレスチナ・アメリカ…。ニューヨークを拠点に、世界に存在する戦争・貧困を撮り続けるナクトウェイ。本作では、彼のもつカメラにCCDを取り付けて撮影し、対象との距離・撮影しているときの彼の表情などを織り込んでいます。この「カメラに取り付けられたカメラ」が、彼の対象との「距離」を如実に物語ってくれます。コソヴォでは息子を亡くし悲嘆にくれる母親のまさに目の前でシャッターを切り、パレスチナでは暴徒とともに行動し催涙ガスをもろにくらう様が生々しく描かれる…。
こうしたジャーナリストの姿勢に疑問を感じられる方も多いと思います。「目の前で展開されている悲劇を、どうして冷静に撮影などできるのか、自ら手を差し伸べようと思わないのか」。同感です、肝心なときに逃げ出してしまうような多くのジャーナリストに対しては。
映画の中で、彼と共に仕事をした人物が、「彼は『関係者』なのだ」という表現を使っています。暴徒に襲われ、山刀で切り刻まれようとする男を目にして、彼は暴徒に何度も頭を下げて、20分もの間、地面に這い蹲って男の助命を嘆願した、というのです。自分も興奮した暴徒に殺される危険があるというのに。その男は結局助かりませんでした。
他の取材においても、彼は対象に心を開き、対象が心を開いてくれるように接しています。世界の現実を伝えるために写真を撮る、そのためには物理的な「距離」だけではなく心の「距離」も縮めなければならない。「いい写真が撮れないとしたら、近寄り方が足りないからだ」。映画冒頭に出てくるキャパの言葉は、このことを意味しているようです。
このように対象に心を傾け、なおかつ「仕事」をこなすなど、並の精神ではできないことです。実際、彼は前述の「暴徒に切り刻まれた男」の写真を自らの手で撮っています。しかしそれを撮すこと、写真を通じて「世界の現実」を伝え人々を動かすことを、彼は自らに使命として課したのです。意志の強さ、いや、使命感が彼を突き動かしている…。
彼の言葉で、もっとも印象に残ったものです。
「我々(カメラマン:筆者注)は現実を見なければならない。見て、行動しなければならない。我々がしなければ、誰がする?」
ここまで観て、「以前見たとき、ボクは誤解をしていたのではないか?」という、最近抱き始めた予感は確信に変わりました。私はナクトウェイを「冷徹なフォトグラファー」としてしか記憶していなかったのです。決して彼は冷徹さだけで成り立っているフォトグラファーではなかった…。
誤解が生じた理由を確認するために、次にキャパを描いた二作目を見ました。
『CAPA in Love&War』
本名アンドレ・フリードマン。ハンガリー・ブダペスト生まれ。ユダヤ人であることから政治的迫害を受けドイツ・ベルリンへ亡命。やがてドイツからも脱出しフランスへ。ここで写真を仕事としていくために「米国人カメラマン」ロバート・キャパを名乗るようになってから、彼は優れた作品を世に送り続ける。暗殺前のトロツキー・「崩れ落ちる兵士」・オマハビーチ上陸…。
彼はスペイン内戦・日中戦争・対独戦などを、従軍カメラマンとして経験していますが、それは自分を「ジプシー」にしたファシスト達に対する彼自身の闘いだったのかも知れません。その闘いが終わり、ユダヤとしてのルーツであるイスラエルでの取材中に負傷。しばらく一線を退いていたものの1953年に再びインドシナの戦場へ戻り、そこで地雷を踏んで帰らぬ人となりました。
この作品は、生前のキャパと交流の深かった人々に対するインタビューと、彼自身の残した言葉を中心に構成されています。証言者は一様に「彼が如何に愛すべき人間だったか」を語っています。と同時に、若い頃から故郷を離れ、また「アンドレ・フリードマン」から「ロバート・キャパ」という、自らが作り出した人間になったことからくる「寂しさ」を抱えた人間だったということも。
写真の善し悪しを論ずる知識など持ち合わせていないのですが、彼の写真の中で、私はとりわけ人の笑顔を撮ったものに強く惹かれます。特に子供を撮した写真はどれも活き活きとしていて、「これが戦場カメラマンの撮ったものか」と疑わずにはいられないほどです。これも彼の持つ「寂しさ」の裏返しなのでしょう。
とにかく、キャパという人は良い意味での人間くささを強く感じさせる人です。戦争を撮ることの葛藤を素直に吐露したり、酒と女に情熱を傾けたり…。本作は、そのキャパの人間としての魅力に焦点を当てた作品だったと言えるでしょう。
終わってから、やはり誤解の原因は「観た順番」にある、ということが確認できました。以前、シアターキノでは、『CAPA』→『戦場のフォトグラファー』の順に観たのです。しかも続けて。人間ロバート・キャパの魅力を軸に据える前者を観たあとでは、ナクトウェイのストイックさが「冷徹」と映ってしまったのは仕方のないことかも知れません。
ただ…、順序を変えてみたものの結局今回も続けて二作品見たことにかわりはないので、今度は『CAPA』について誤解を犯していそうで怖いのですが(笑
ようやっと本ブログ2本目の映画レビューです。開設時にはもう少し多めに書けるかなと思っていたのですが。まぁ、ゴローちゃんのマネをして「月イチ」を目指す(注)ということで…(笑
(注)「ゴローちゃんのマネをして「月イチ」を目指す」
テレビ朝日の「スマステ5」で稲垣吾郎が「月イチゴロー イナガキセレクション5」なるコーナーを「月1回」で担当しているので、これ幸いと一ヶ月に1本ぐらいでいいか、と思って立てた目標。「まず結論ありき」の悪しき例。
2006年02月02日
新カテゴリー「スポンサー様」です。記事書いてから新カテゴリー設定を思いついたので、「様」を付けただけのこのネーミングではスポンサー様に敬意を払い切れていない感が否めません。もっとイイ名称を思いついた人は教えて下さいな。
サッポロビールさんからのメルマガで、BEER WEB HOKKAIDOというサイトがオープンしたのを知りました。企業として北海道を大事にしているのだな、というのが伝わってきます。
従来のサッポロビールのWebサイトのコンテンツを北海道関連情報に特化したものです。ここでは北海道のグルメ情報・道内イベント・製品情報などを見ることができます。もちろんクラシックも。
サッポロビールを飲ませてくれる店が分かるというのは嬉しいですね。先日も「ドラ◯かよっ!」「モル◯かよっ!」「第三者かよっっ!(謎)」な飲み会を経験しましたから(決して幹事への当てこすりではありませんよ)。今はまだまだ店の数が少ないですが、これから増えてくれることを期待。
このページのレイアウト、非常に見やすいですよね。デザイン的には小さな四角で構成されている、何の変哲もないものなんですが、カテゴリー別に縦並びになっていて、任意のカテゴリーについて網羅的に知りたい人は、ページにアクセスすると同時に目に入ってくるタグをクリックするだけでOK(ポインタを持っていくとタグの色が「ビールっぽく」変わるところがブラボー!)。ま、よくあるタイプのレイアウトと言ってしまえばそれまでなんですが、タグの下までこのように徹底して分けてあると、とても整理されていて気持ちいい。
地味好き・原理主義的思考の私シンプルかつ徹底しているもの好きの私としては非常に気に入りました。
ただ一つ、注文言いがかりを付けるとすれば…
ウチのバナー、下過ぎね?ちっちゃ過ぎね?
ってことだけだな(冗談
2006年02月01日
東海社会人リーグ1部のFC岐阜に、以前札幌に在籍していた森山泰行選手がいますね。
何で突然こんな事を、とお思いでしょうが、どうやら小倉隆史選手加入の噂が流れているようです。ただ、本人はJのトライアウト(2回目)も受けているので、どうなるか…。
清水から吉田、また東京・仙台・徳島でプレーした小峯なども獲得したようです。上(=J)を目指すチームのようです。
実現すれば元札幌の選手が2人ということになります。もう1人ぐらい決まればいいなぁ…(謎
プロフィール
性別:男 年齢:30歳代半ば 出身:兵庫県西宮市甲子園 現住地:北海道札幌市 サッカー歴:素人。たまにフットサルをやる程度 ポジション:アウェイ側B自由席 2007/12:加齢に伴い年齢を実態に即した形に書き換えました
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