終わりと始まり

2006年12月30日

 天皇杯準決勝、札幌は1-2でG大阪に敗れ、2006年シーズンが終了しました。

 昨日の試合のみに関して言えば、やはり「勝てない試合ではなかった」の一言に尽きるでしょう。前半は決定機の回数では札幌が上回っていたにもかかわらず、セットプレーのセカンドボールをつながれ失点。セットプレー時の後ろのプレイヤーのポジショニングは、シーズン中に何度もベンチから指示が飛んでいた点だっただけに、なおさら悔やまれます。
 後半のG大阪の2点目ですが、確かにオフサイドに見えます。しかし2点目が入ったことで札幌が目を覚ましたこともまた事実で、「あの失点がなければ…」という仮定の話はあまり意味がないように思えます。それよりもDFラインの裏に抜け出した中山がシュートすべきところをパスを選択、これを相川が決めきれなかったあの場面の方が大きかった。前半から「中山と相川が逆だったら…」と思わせる場面が数多くありましたが、これも運というか、仕方のないことでしょう。

 ただ、正直、個人の力の差はまざまざと見せつけられたと思います。象徴的だったのは家長に応対した加賀。彼がダメだったというわけではなく、あんなにやりづらそうだったのはあまり記憶にありません。ほっかの選手も同点になったらなったでギアを上げてきたでしょうし、もっと厳しい攻撃に晒されていたと思います。
 


 
 今回の天皇杯をトータルで見たときの評価については下記のコラムとほぼ同意見です。

 今季、J1昇格の夢を断たれていた札幌にとり、この天皇杯におけるミッションは「自分たちが3年間やってきたこと」への再確認であった。連覇。10冠達成。アジアへの挑戦。そうした名門クラブの壮大な目標とは明らかに異なる、J2クラブならではの、地に足のついたモチベーション。端的にいえば、優勝はあくまでも副次的な目標であったところに、4強の一角に名を連ねた札幌の異色性が表れていた。

 「押し込まれた上でのカウンター」という闘い方がそのまま来季のJ2で実践されることはないと思いますが、ボールに対して厳しく行くこと、集中を切らさずに闘うことの大事さが確認出来たことの方が、ベスト4などという「栄誉」よりもよっぽど意義深いと思います。
 


 
 2006年をトータルで考えると、結果を見れば確かに昇格できなかった「失敗のシーズン」でした。でも、前へ進むためには、時には立ち止まることも必要なのではないか、そう思います。リーグ戦で同じ過ちを犯し続け、そのまま12月2日で終わっていれば、来年も同じことの繰り返しだったかも知れません。でも天皇杯を闘ったおかげでようやく、本当にようやく、何かを掴んだんだ、と。

 チームを取り巻く状況がこれで好転したわけではありません。「天皇杯であれだけ行けたから…」という楽観論は禁物。まだ「ストーブリーグ」も終わっていないし。でも、「なぜ天皇杯であれだけ行けたか」を忘れなければ、再び前へ進めるのではないでしょうか。
 決勝へは行けなかったけれど、良い終わり方だったな、と思います。「次が見える終わり方」っていうのかな?
 


 
 さて、本館の年内の更新はこれで終了です。皆さん、よいお年を。


天皇杯準々決勝・甲府0-2札幌

2006年12月23日

 緊迫した好ゲーム。一日早いけれど良いプレゼントもらいました。以下、雑感。

【中央にこだわりすぎた甲府の攻撃】
 解説の博実ちゃん(NHK)も、試合後の柳下(J's GOAL)も口を揃えて指摘していたのがこの点。今年の札幌を崩すには「3バックの横・ウイングハーフの後ろのスペースを使え」が定石なのに、なぜか甲府は中央からの崩しに固執しました。
 試合開始直後の失点で冷静さを失ったのかな、と思います。ワンタッチパス・ヒール・スルーなどを多用したゴール前での崩しに置いていかれる場面もありましたが、それでも最後の所で足を合わせたりして良く防いでいたと思います。
 ピンチの数は結構ありましたが、上述のように甲府の攻めが中央ばかりだったのでそんなに走らされた感はなかったのではないでしょうか。新潟戦ほどじゃなかった。これは準決勝に向けて明るい材料です。次はG大阪。間違いなく走り回らねばならないハズです。

【意外なほど形を作れた攻め】
 フッキを欠き、前日のケガで相川もベンチ、西谷のFW起用とスクランブル体制で臨んだわけですが、意外なほどに形は作れていました。フッキのスピードを失った攻撃陣が長い距離をフィニッシュまで持っていくことができるかどうかがカギだと思ったのですが、特に前半は惜しいチャンスを作っていた。守備面で相手に狙われていたにもかかわらず果敢に攻撃に絡んでいった藤田を褒めたいですね。後ろの三人が頑張っていたから攻めに人数が割けたことも大きかった。
 西谷は、相手ディフェンダーが近い状態でボールをキープすることにかけては砂川より上手い。で、フッキより周りを見ているので、味方が思い切って動き出せる。良いタメが出来ていたと思います。負傷した後もしばらく動いていましたから打撲だと思います。腫れ・痛みが引けば準決勝は大丈夫なんじゃないでしょうか。

【今日の痛恨】
 大塚カレー券。
 今日の働きはスーパーでした。最終ラインのカバー、アンカーとしてのバイタルエリアのケア、ボールの散らし方、どれをとっても見事な働きでした。それが準決勝は出場停止。非常に痛い。藤田も出場停止のようで、中盤をどう組むか頭の痛いところだと思います。
 ちなみに天皇杯でのカレー券の購入者リストは次の通り。

  • 西嶋:2枚(3回戦・5回戦。本日完食)
  • 大塚:2枚(5回戦・準々決勝。29日出場停止)
  • 藤田:2枚(3回戦・準々決勝。29日出場停止)
  • 川崎:1枚(5回戦)
  • 中山:1枚(準々決勝)
  • 加賀:1枚(準々決勝)
  • 佐藤:1枚(準々決勝)
  • 西谷:1枚(準々決勝)

結構多いです。決勝のことも考えて29日は冷静なプレーを。しかし佐藤のアレはどうだろう?(笑


 格下チームがトーナメントを勝ち抜くにあたって必要な要素は揃ってきています。体を張って守れていること、チーム全体のモチベーションの高まり、良い内容で自分たちのサッカーをした試合(4回戦)、致命的なミスを取り返した劇的な勝利(5回戦)、幸運(準々決勝、開始早々の得点)…。今日のように押し込まれる展開が予想されますが、集中を切らさず、あくまで攻めの姿勢を崩さず闘って欲しいと思います。

 まだやれるよ、俺達は。


フッキ帰国

2006年12月20日

オフィシャルHPのニュースリリースによると、ケガの回復具合が思わしくなく帰国するようです。筋肉系は無理すると長引きますから致し方ないところでしょう。

今年のチームにおいて重要な選手であったことは誰もが認めるところだと思うので、そういう選手が途中で離脱してしまうのは非常に残念です。天皇杯、どこまで行けるか分かりませんが最後まで一緒にやらせてあげたかったですね。

戦力的にもかなりの痛手ですが、残されたメンバーには全力を尽くしてもらいたいと思います。


クラブW杯決勝戦・インテルナシオナル1-0バルセロナ

2006年12月18日

 うーん、思いのほか忙しかった先週、これからますます忙しくなりそうな今週、結局ほとんど見られず、決勝戦もあれこれやりながらビデオで観戦。
 「バルサすげえ!」とみんな言いますが、あのチームのすごさは実は「ボールを失った直後のディフェンスの意識」にあるんじゃないか、と思っています。もちろん攻撃の流動性、個々のアイディアが素晴らしいのは言うまでもないのですが、余所に行けば誰もが「王様」でいられる選手達が、自分が失ったボールは絶対に自分で取り返す、これを愚直に繰り返すことにこそこのチームのすごさがあると思います。
 そういう意味から、コンディション不良で来日するこの大会ではキツイ試合が続くのではないかと思っていたのですが、その辺が勝負の分かれ目になった感があります。

 前半は守り合い。相手ボールになった直後に厳しいプレスをかけるバルサとしっかりした守備ブロックを形成して横パスのカットからカウンターを狙うインテル。両者の長所がでていたと思います。後半、インテルは二人のFWのところで前を向いて勝負出来るようになり、徐々にプジョル・マルケスが消耗していっていたように思います。決勝点はそのCBの間をざっくり割られたもの。あの時間帯での失点は致命的でした。
 バルサはどうしても先制点が取りたかったのではないでしょうか。4点取ったとはいえ準決勝もセットプレーで先制した後、相手が前へ出てきたからこその試合展開。さっきも書きましたがコンディションの問題もあったでしょうね。パリでアーセナルの閂をこじ開けた迫力は全くありませんでした。

 全部を見ることは叶いませんでしたが、各大陸の様々なサッカーを見られたことは勉強になりました。再来年の大会(註)が楽しみです。


(註)「再来年の大会」:天皇杯を獲得したチームは翌年のACL出場権を得るので、今大会の勝者は2008年の大会を目指すことになる。…ん?真面目に言ってますが何か?


クラブW杯1回戦・クラブアメリカ1-0全北現代

2006年12月12日

 野暮用から帰宅して録画してあったものを見る…も、仕事疲れやらなんやらであまり覚えていません(苦笑

 構図としては「攻めるアメリカ・守る現代」という昨日の試合と似たものだったのですが、アメリカのパスワークと流動性は昨日のアルアハリよりも良かったと思います。中米のチームを見ていていつも思うんですが、ステップワークが細かいのと緩急の付け方が上手い点は日本人も真似をすべきですね。「プレーの速さ」と言うと、ともすればトップスピードの速さをイメージしがちですが、ゆっくりした動きから突然、しかも予期しないタイミングでスピードを上げられるとディフェンダーとしてはとても嫌なものです。常に100のスピードでプレーするよりも0から50への切り替えを早くすることの方が効果的。

 アメリカの次の相手はこの切り替えが抜群に上手いバルセロナ。お互いの攻撃的なサッカーによる好ゲームが期待出来そうです。アメリカはチャンスを確実にものにする決定力がカギとなるでしょう。昨日のように外しまくっていては厳しい。


クラブW杯1回戦・アルアハリ2-0オークランドシティFC

2006年12月10日

 クラブW杯がはじまりました。正式名称は長いしト○タト○タと連呼するのも癪に障るので書かない。

【守れるけれど…なオークランドシティのスタイル】
 常々、「守備は守備それだけのためにやるものではない」と考えているし、実際そうだと思うのですが、今日のオークランドシティは前半、激しい当たりと持ち前の高さでアルアハリの攻撃をはね返すことはできていましたが、そこから先に全く可能性を感じませんでした。もちろん戦力的なものを考慮に入れなければならないでしょうが、せっかく前半0-0で折り返せたのだから、後半は先手を取るぐらいのつもりで攻撃的に行けば…と思います。リードを許してからも縦へ大きく蹴って、というパターンに終始。もう少しボールをつないで後ろからサポートして…という攻めができなかったでしょうか。まあ後半半ばから足が止まってしまったので厳しかったかも知れませんが。

【アルアハリの攻撃】
 前半はオークランドシティの当たりにとまどったのかつなぎにミスが目立ったアルアハリ。後半はボールを動かして上手くかわせていたと思います。オークランドシティーのディフェンスについて解説の某氏は褒めていましたが、確かに前を向かせないことにはある程度成功していたものの、いったん前を向かれてしまうと簡単にスピードで振り切られ、マンマーク故にカバーリングもままならず、アルアハリはかなり自由にやれていたと思います。
 問題は攻め手の少なさです。両サイドの選手はレギュラーじゃないみたいですが、それにしても前半を中心に、真ん中からの崩しに固執しすぎていたと思います。もう少しサイドからの崩しを多くしないとこれからは厳しいのではないでしょうか。ただ、次以降は相手がいわゆる格上なので戦い方を変えてくる(つまり引いて守ってカウンター)かも知れないので、今日の攻めはあまり参考にならないのかも。

 それにしてもお国が違えばサッカーも色々。明日以降の試合は野暮用で全てライブでは見られないのですが、録画して少しずつ見ようと思います。


天皇杯5回戦・札幌2(PK8-7)2新潟

2006年12月09日

札幌市内の某カフェでテレビ観戦。ホントはケツカッチンだったので15時までで退席するつもりが(っていうかそこで終わるつもりだったんだもん)、思わず居座ってしまいました。それもこれも相川と佐藤のせいだw

前半立ち上がり、雨で滑るピッチであると言うことを差し引いても、やはり札幌の選手は最初の一歩が新潟に比べて遅く、どちらかというと相手ペースでゲームはスタート。しかし徐々に落ち着いてやれるようになった矢先の13分、左CKに飛び出しを誤った佐藤がボールに触れず失点。マーカーの加賀のポジションは間違っていなかっただけに、佐藤が交錯しなければクリア出来ていたかも知れません。
しかしその後の新潟の攻めには畳みかけるような迫力はなく、まず守備に穴を空けないことを心掛けて、奪ってから速い攻めを心掛ける札幌は34分、フッキの中央突破は防がれたものの、新潟のクリアミスがこぼれてきた砂川が決めて同点。これは非常に大きい得点だったと思います。前半終了間際には自陣からつなげなくなり危ない場面が多かったものの失点せずに終了。同点直後に相川が素晴らしい受け方・振り向き方から抜け出して決められなかった場面が悔やまれました。

後半、積極的に行ったのは札幌。臆することなく前からプレッシャーをかけ続け、51分、左サイドからのセットプレーの二次攻撃で砂川が勝ち越しゴール。芳賀のクロス、曽田のヘディング、砂川のボレーと、いずれも質の高いプレーだったと思います。
その後も粘り強い守備からカウンターを繰り出す札幌。66分、海本のタックルを受けたフッキが負傷交代。しかし今日に限ってはその影響はあまり感じられませんでした。交代で入ったのは中山。川崎の後を受けた和波、残念ながらあまりチームにフィットしていなかった藤田に代えて投入された金子と、交代選手もきちんと仕事をしていた83分、佐藤の考えられないミスから失点。ロングキックのために転がしたボールを後ろからかっさらわれるなど、通常ならあり得ないミスですが、前半の飛び出しの失敗が尾を引いていたかも知れません。直前に2mの距離からバーに当てた相川のミス共々、カフェには信じられないというため息が漏れました。
しかし「落ちていた」のは傍観者だけでした。今日の札幌はこのショッキングな失点にも下を向くことなく堂々と戦ったと思います。同点に追いつかれてなお体を張り、懸命に走る選手。もうこの後はあんまり良く覚えていません。
 


 
初めて見ました。あんなに素敵な笑顔を見せる選手は初めて見た気がします。勝った後ではありません。PK戦を闘っている最中の選手達は、みんなが笑っていました。全てを出し切った清々しさからか、それともただ一人で重荷を背負い込んでいた佐藤に対する想いからか、とにかくキッカーでない選手はみんな笑っていたのです。
 
 
その顔を見て、「負ける気がしない」とまではいかなかったけれど、何だか「サポやってて良かったな」と思いました。
 
 
そう、俺達はまだやれる。


天皇杯5回戦・札幌-新潟プレビュー

2006年12月08日

 …困った、新潟なんて今年見たことない(苦笑

 というわけで札幌サイドの話しかできないわけですが、ここのところの雪・寒さで、満足なトレーニングができていないと思われます。こういう時のゲームの入り方は難しい。試合勘については1週間前にリーグ戦があったのでさほど問題ないとして、心配なのはフィジカルです。立ち上がりから全開で走れるか。モタモタした立ち上がりだと一気に勝負を決められてしまうかも知れません。前半の15分を、とにかく無難に乗り切ってくれと願わずにはいられません。
 加えて、今年は新潟と初対戦(プレシーズンにもやっていないと記憶していますが…)。1対1の局面では、普段手合わせしていない相手には注意が必要。後手後手に回ることなく、なおかつ細心の注意を払って対応を。そして情報がないのは相手も同じ。攻撃では積極的に行こう。

 前節あまり出来のよろしくなかった中盤の底がどういうプレーをするかがカギかな、と思っています。恐れずにボールを動かしていけ!We are SAPPORO!


第52節・札幌0-2鳥栖

2006年12月02日

 「サヨナラしたくない」のは今日のチームじゃねえ(怒)。以下、雑感。

【「右ボランチの前」】
 鳥栖の1点目。左SBの高地がボールを持ってするすると上がり、くさびに入った誰かと大きなワンツーで一気にDFラインの裏を取っています。形自体は今年の失点パターンの中でも多い方ではないと思うんですが、起点になった場所はまた「右ボランチの前」でした。
 あくまで印象なのであんまり真面目に読まないでください。「右ボランチの前」、つまり大塚の前のスペースがポッカリ空いてそこを使われて相手にチャンスを作られる、というパターンが今年はすごく多かった気がするんです。18節の柏戦なんか、そこを蹂躙されていた記憶があります。もっとも左ボランチの前も似たようなものかも知れませんが。

 無い知恵を絞って大塚の前が何で空くかを考えてみると、まず今年のチームの守備は後ろの選手の凡ミスもさることながら、中盤より前の組織的な守備がいまいち機能していなかった気がします。
 今日の失点の直前、相手GKの足下にボールがあり、まさにプレーが始まろうとしているにもかかわらず、相川が大塚に向かってしきりに何事か喋っています。「前へ」という身振りを交えていたように見えました。攻撃の選手がボールを取りたいところまで後ろが来てくれない。後ろはそこまで出ていけない。で、スペースが消せずにノープレッシャーで侵入を許す。今年はこれの繰り返しだった。

 守備的中盤の2人の位置が低くなることに関しては、私はDFラインがもう少し後ろから押し上げるとともに声を出してポジションを修正してやるなどしてやらないといけないと思っているのですが、難しいところですね。私もクソ草サッカーでは同じポジションをやることがあるのですが、どうすればもっと前で行けるか、正直全く分かりません。
 で、「右」ボランチの前が空いてしまう要因にはもう一つ、フッキの守備意識の問題があると思います。彼が守備をしないというのではありません。今日はダメダメでしたが、普段は奪われたらきちんと取り返しに行く選手です。そういうボールに対する守備ではなくて、右FWであるフッキが正しいポジションを取れない(取らない)時に大塚の前に大きなスペースが出来てしまい、元来あまり足の速くない彼はボールを持って侵入してくる相手に為す術が無くなってしまうわけです。

 大塚は危機察知能力が高く、ボールさばきも上手い選手だと思いますが、ここまで守備に問題を抱えている今年のチームだと、アンカーとしてのボールさばき・攻撃のサポートだけでなく、最終ラインのフォロー・しっかり追ってくれないFWの尻ぬぐいと、あまりにも仕事が多すぎ、どうしても彼の「ミス」が目立ってしまいます。今年もっともかわいそうな目に遭っている一人です。

 天皇杯で闘う新潟には鈴木慎吾という左サイドのアタッカーがいます。彼を自由にしないよう、もう一度守備の組織を立て直してもらいたいと思います。以上、レビューになっていないレビューおわり。あとは小言だよ。


 とは言いながら、今日の敗戦は組織以前の問題だったと思います。柳下がセレモニーで言っていた「クラブがひとつになってこそ、強いチームになれる」という言葉の意味を、言う前に相手の鳥栖に教えられる結果となりました。
 まずピッチ上の選手。終盤次々と傷んで倒れて行きましたが、しっかり体を張っているからああなるんであって、ルーズボールの競り合いなんか全く勝てる気しませんでしたもん。2点目入ってからは自信に溢れてましたね。
 選手だけではありません。いつものようにアウェイ側のB自由席だったので、鳥栖のベンチの様子がよく見えるんですわ。試合中ずっと前に出て大柄な体を揺すって選手を鼓舞するコーチをはじめとしてベンチも戦ってましたよ、確かに。試合前にサポに挨拶に行く監督にゾロゾロ付いていき、試合後に抱きあっていた背広組はフロント陣でしょうか。だとしたら最終戦のために札幌まで来たということですか…
 あんまり好きなタイプじゃないけれど松本育夫、良いチームを作ったなと思います。去年とうってかわって寒々しく、段取りもなってなかったウチのサンクスウォークと比べるとその良さが一層際だちますわ。

 今日に限って言えば順位以上の差を見せつけられました。そしてそれは技術とか戦術とかそんなモンに起因するものではないことも、良ーく分かりました。


駄々

2006年12月01日

 何だか去年の最終戦とは明らかに気分が違うのです。


 去年は、何だか吹っ切れたというか、非常にすっきりした気分で最終戦を迎えていた気がします。ブログを読み返してみると随分と感傷的なことを書いていますが、それでもすっきりと一年に区切りをつけて来年へ、という気持ちだったと思います。

 早くに昇格の望みが絶たれてから一月以上も経ったからでしょうか。でも、去年だって最終戦には何の慰みにもならない5位しかかかっていなかったわけで、それは今年も同じです。
 去年の堀井に続いて、今年も私が好きなFWがチームを去ることになりました。それでも去年に比べると気持ちの揺れは小さいように思えます。堀井の時は突然だったのに対し、レンタルに出されていた彼の戦力外にはある程度、いやかなりの確信をもっていたからかも知れません。
 天皇杯が残っているというのは大きいと思います。勝ち残れば元日に国立に行ける可能性があります。リーグ戦は終了しますがチームは天皇杯に向けてトレーニングをしていくのであって、確かに彼らにとっては「最終戦ではない」のです。でも、私が目の前で見ることの出来る試合は明日が最後です。天皇杯の試合を見に行くことは不可能です。

 監督の退任、赤字決算と、重苦しいものを抱えながらオフに入るのが嫌だ、というのはあります、正直。目を逸らしちゃいけないのでしょうが、どうしても悲観的になってしまいます。でもそれ以上に、出来ることは限られるものの今まで以上に来シーズンもサポートしていこうという気持ちは強いです。だから決して後ろ向きというわけではないんだと思います。

 それでも去年とは、最終戦を前にした気持ちに、明らかな違いがあります。


 今日、戦力外になった選手の名前を見て、数の少なさに少し意外さを覚えた後に出てきた言葉は「来年もこのチームの芯だけは残る」というものでした。
 レンタルで来ている何人かの選手は帰ってしまい、そしてその多くは非常に重要な選手ですが、それでも今年のチームの根幹はかろうじて残る…。「補強する金銭がないから」というのはあるでしょう。でも私はこれを城福さんの「置き土産」と捉えたい。監督が代わるのであれば、せめて選手は今年のものを継承出来る形に…と。3年間かけて培ってきた攻撃的なスタイルや、今年悔しい思いをした経験とか、目に見えない財産は、選手たちがきっと受け継いでくれる。


 どうやらボク、相当嫌みたいです、今年のチームとサヨナラするのが。