今日の言霊・9/23

2007年09月23日

 だからこそ、がまんにがまんを重ねながら働き、事件を起こし、指示どおり理不尽なことをやらかしているわけです。人間どもは、あれだけ文句なしの頭脳をもっていながら、こういったコメディを、なんだか深刻なものとして受けとめている。ここに連中の悲劇もあるってわけですよ。たしかに連中は苦しんでいます、もちろんですとも、でも……やっぱりそのかわり生きてるじゃないですか、現実離れした生き方じゃなくて、リアルに生きてるじゃないですか。なぜって、苦しみこそが人生だからですよ。苦しみのない人生に、どんな満足があるっていうんです。何もかもが、果てしないひとつの祈りと化してしまいますよ。そりゃあ神聖だろうけれど、ちょっと退屈でしょうね。

ドストエフスキー/亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』〈4〉


post by tottomi

21:57

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