なぜ札幌のパスはつながらないのか。

2010年07月22日

W杯で更新をサボっていましたが、その間に色々とネタも仕入れました!(笑)
というわけで、今回は個人的なW杯の還元も兼ねて・・・


先日のW杯中断明けの千葉戦、札幌はパスがつながらないシーンが目立ちました。
なぜ札幌のパスはつながらないのでしょうか?


まず、多くの場合、パスがつながらないと 

パスの“出し手”が下手糞

ということにされます(;´Д`A ```


しかし、パスの出しどころがなければ、他の選手へつなぐパスの難易度は上がりますし、
逆に、パスの出しどころがたくさんあったり、
パスの受け手がどフリーならパスの難易度は下がります。

したがって、パスがつながらない場合、
一概にパスの出し手のみが一方的に下手糞であるとはいえないと思っています。


そして、特に札幌の場合、
パスの受け手の位置取り(ポジショニング)の方に問題があると思っています。






パスの受け手のお手本として有名なのは、スペイン代表MFのシャビです。

日本だとガンバの遠藤が有名です。


W杯のスペイン戦で、解説の山本昌邦さんも言ってましたが、
シャビはボールを受ける時に、相手選手の中間、
“三角形の重心”に位置取りします。(※下図参照)


・図


(●・・・相手 〇・・・受け手 ◎・・・出し手(ボールホルダー))


     ●

     〇

 ●      ●

     ◎




相手のマークをうけて相手にくっつかれていると邪魔をされる可能性が高いので、
受け手の選手が当たりに強い場合は別としても、
パスの受け手がボールを楽に受けるためには、フリーになっている必要があります。

一般的に、フリーになるには、
“たくさん走らなければいけない”というイメージがありますが、
シャビの1試合当たりの走行距離は特別多いわけではありません。

さらに、身長173㎝、体重68kと決して大柄な選手ではありません。

それでもシャビが確実に味方のパスを受けることができる秘密が、
“三角形の重心”というわけです。


これは、相手の守備が、人に付くマンツーマンディフェンス寄りの場合は難しいのですが、
現代サッカーの多くのチームが採用しているゾーンディフェンス寄り
(≒守備ブロックをつくる守り方)の場合は非常に有効です。

なぜなら、相手選手の守備範囲(ゾーン)と守備範囲(ゾーン)の
ちょうど中間に位置取りすればいいからです。

守備ブロックをつくるチームは、ゾーンディフェンスで守っていますから
スペースをつくろうと別の選手が動いても、マークを受け渡すだけでスペースをつくりにくい。

ですから、こういったスペースのないところでパスを回すには、
“三角形の重心”でパスを受けることが重要なポイントになってきます。



では、常に“三角形の重心”にいればパスを受けられるのか?というと、
確かにそれはそうなのですが、これを常に維持するのは意外と難しい。

なぜなら、上の図は止まった状態なので三角形の重心にいることは容易に見えますが、
当然相手も動いてきますから、最初は三角形の重心にいたとしても、
それを見て相手も寄せて来る可能性があるからです。

つまり、“パスをもらう時”にだけ、三角形の重心にポジショニングする方が望ましい
ということになります。シャビを見ているとわかりますが、
常に周囲に目を配って一定の距離を保とうとしています。
そして、スペースがない時は、パスをもらう瞬間だけ三角形の重心方向に少しずれます。
ただしこれは、かなりシビアなタイミングなので、
パスの受け手と出し手のイメージが一致しないと成功しません(;´Д`A ```

まあ、そこがスペインのパスサッカーを真似できそうで出来ないところなのですが(-"-;A ...


サッカーはボールを持っている選手(ボールホルダー)に注目が集まりがちですが、
パスの受け手の動きにも注意してみると観戦の楽しみも増えるのではないでしょうか。




post by whiteowl

12:30

Tactics (戦術) コメント(0)

この記事に対するコメント一覧

コメントする