秋春制問題。 -犬飼会長のインタビューから-

2010年07月15日

少し前に出た『サッカー批評』の47号に、
日本サッカー協会(JFA)の犬飼会長のインタビューが載っている。


このインタビューの中で、
同氏は “日本のサッカーを世界標準にする” という。

これ自体に反対する人は、おそらくいないのではないだろうか。


今回のW杯で日本は活躍したが、その実力の限界も示されたと思っている。

更なる高みを目指すには、もっと多くの日本人プレイヤーが、
欧州のトップリーグで活躍するようにならなければ無理だ。


問題は、その目標を実現するための1つの手段として
犬飼会長が掲げる“秋春制”の導入だろう。


私の立場は、北海道民ではあるが、秋春制導入絶対反対派ではない。

ただし、秋春制を導入するなら、少なくとも1月と2月を
ウインターブレイクにしなければ、物理的に無理だと思っている。


しかし、今回の犬飼会長のインタビューを見る限り、
この問題に関する同氏の認識は甘いとしかいいようがなく、
このまま強行された場合、大変なことになるのではないかと危惧している。






まず、この問題に関する同氏の発言を抜粋すると、

>「北海道だとね、1月だけなんですよ (中略) 試合が増えるのが、
1月フルでも2試合だけなんですよね、ホームゲームが。」

>「12月は今でもやっていますから (中略) 
12月っていうのは天皇杯の予選とかで試合やってるんですから。」

(※会長の案は、“2月”は休み。
3月始まりでも、暑い夏季の“7月~お盆過ぎ”までを中断期間として
Jリーグを開催するつもりのようだ。)

どうも、会長の中では、12月と3月は、
今もやっているのだから問題なくやれるという認識のようである。

さらに、これは会長自身のヨーロッパでの体験から冬でもやれるということらしい。


しかし、世界有数の豪雪地帯と積雪の比較的少ないヨーロッパを同列に語られては困る。

基本的に、12月~3月の4ヶ月間は、
北海道で“屋外”でサッカーをするには無理がある。

これは岡田監督あたりから、会長に是非説明して欲しいくらいだ(-"-;A ...


それを現状でも札幌は無理をして12月初旬と3月下旬に開催している

という認識がこの人にはない・・・(・・;)


彼に最も伝えるべきメッセージはこの部分だろう。


まして、この期間の練習場をどう確保するつもりなのだろうか(-"-;A ...






どうも心配していたことが現実になりつつある。


今回のインタビューを読んで、“秋春制反対”という強烈なメッセージが伝わった結果、
会長の中で、じゃあ、“秋春制じゃなければいいんだろう”という
問題に摩り替わっている印象を持つ。


しかし、当ブログでは繰り返し言ってきたが、札幌を含めた雪国にとって最大の問題は、
“秋春or春秋”というシーズンをいつ始めるかという制度の問題ではなく、
冬季に試合を開催されることのはずである。


私が感じてきたこの問題の違和感は、
秋春制導入反対と同時に“冬季開催反対”を表明していたものの
結局、秋春制反対という制度の問題に集約されてしまって、
そこの一番譲れないはずの部分が、明確にはなってこなかったことだ。


本当に譲れない部分は何なのか、譲れるところは何なのか。
そこがはっきりせず、お互いにお互いの意見を主張するだけでは、
最終的に、“全肯定or全否定”のどちらかしかなくなってしまう。


この問題に強硬に反対するだけでは、犬飼会長の主張する“世界標準”という
大目標を達成するための“犠牲”として、
押し切られてしまう可能性があるのではないだろうか。


そして、この危険性が現実味がある理由として、
そもそも、JFAの会長は、決して民主的に選ばれているわけではないので、
良く言えばリーダーシップを発揮しやすく、
悪く言えば民意を聞く必要がない立場であるということだろう。

道義的に民意を聞く必要はあるのかもしれないが…(・・;)




この記事に対するコメント一覧

LOBO

Re:秋春制問題。 -犬飼会長のインタビューから-

2010-07-16 19:21

お久しぶりです。 私も全く同意見です。禿同。ウィンターブレークを取れば「見かけ上」は開催可能に なってしまいますので「反対」の仕方を間違えると寄り切られる可能性がある事に, 全く気がついていない様に見えてしまうんですよね>多くの人のブログ等々。

whiteowl

Re:秋春制問題。 -犬飼会長のインタビューから-のお返事。(LOBOさんへ)

2010-07-18 08:26

ご無沙汰ですm(_ _"m)ペコリ >ウィンターブレークを取れば「見かけ上」は開催可能 確かに、ウィンターブレークの期間が長くなれば、リーグの継続性に疑問が生じるので、 秋春制の採用が、冬季開催に繋がりやすいのですが、 犬飼会長が最もこだわっているのは、“夏季休業”なんですよね。 そのために日程をずらそうと画策している。 現行のシーズン制で、開始と終了の時期を延ばして既成事実を作ろうとしている。 一昔前まで、J1も前後期制でやってたわけですし、 秋春制にこだわっていると、本当に大事なことが隠されてしまうことを心配しています。

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