すべて負け惜しみです

2009年10月07日

 このブログを見る人は、もう結果は知っているだろう。
 ご承知の通り0-1での敗戦だった。それもロスタイムギリギリでの失点というもの。しかし、それでも、この試合を見た人は幸せだったのではないだろうか。

 この夜、聖地厚別から10キロと離れていない札幌ドームでは、日本ハムが満員の観客を集めて試合を行っていた。10月の厚別は肌寒く、この試合のために厚別に足を運んだ人は、よっぽどのサッカー好きだったろう。それでも、この日の試合は、サッカーが好きな人ほど、面白くみれたのではないだろうか。

 これで、札幌が勝てば最高であったが、負けたと言うことも含めて、サッカーというスポーツの深淵に触れたように思う。(まぁ、半分は負け惜しみなのだが)

 さて試合は最後の最後で決まった。セレッソの攻撃をゴール前で受け止めた札幌の誰か(ビデオを見直していないので申し訳ない)が、足下に入ったボールを、どうしようかと迷ったところに、相手が突っ込みボールを奪われ、決勝点をいれられてしまった。

 こう見ると、最終ラインの凡ミスだが、単に格上のセレッソの猛攻を防ぐだけならば、足下に来たボールを単純に跳ね返して終わりだったろう。そうであれば、負けることもなかった。

 しかし、この選手は、単純に跳ね返すと、どこか見方に有利な場所にフィードしてカウンターのチャンスを作りだそう、という二者択一で迷ってしまったのに違いない。つまり、勝利をあきらめていないことの故に、喫してしまった敗北なのだ。

 これは非常にサッカーというスポーツを象徴する失点である。キーパーのすぐ前というバイタルな場所にあっても、サッカーという競技は、フィード一つでカウンターのチャンスを演出できるのだ。そして札幌の選手は最後にこれに賭けた。

 こうした賭けに出たこと。そしてそれが失敗したこと。この失敗を見逃さずにゴールを陥れた相手。相手と我々との実力差。そうしたすべてが象徴されていた一瞬だった。
 
 この決勝点の場面に限らず、90分間にわたって、両チームの心理戦を含む、高度な応酬が楽しめた。点が入った、勝った、負けた、というだけでない、サッカーの面白み、深み、それを堪能するにはいい試合だった。

 ・・・・もちろんすべて負け惜しみです。


「得点を取る」から、「勝点を取る」へ

2009年08月17日

いやー3連勝。うれしいです。

今日のポイントは、「ゲームのコントロール」。

相手の岐阜は、著名選手こそいないものの、順位は近く、ここまでホーム11戦負け無しという。最も暑い時期に、暑い場所で行われるアウェイゲーム。そうした難しい条件の中で、絵に描いたようにゲームプラン通りに試合ができたことをまず喜びたい。

序盤、まず先制点を狙って札幌が攻勢に出る。この攻撃は見事。これまでずっと攻撃のコンビネーション向上を狙って、練習を積み重ねてきた成果と見たい。縦横無尽の攻撃には、J1の香があった。

そうしてダニルソンのゴールで1点を取ったわけだが、ここからどうするのか。以前の石崎さんなら2点目をねらいに行っただろう。
ところが、今節の札幌は2点目を狙わず、ペースダウンして試合を膠着状態に持っていこうとした。三浦さんの時代にはよく見られた光景だが、あからまにギヤを切り替えたのは、石崎さんになって初めて。

ところが、あまりにも露骨にギヤを落としたので、相手につけ込まれる。つけ込まれる。この辺がチームが若いというのか、慣れていないというのか。それでも、ゼロで抑えたのは幸運だ。

後半もギヤを落としたまま、カウンターの機会を狙い、砂川の個人技で追加点。後半30分以降の危ない時間になっても、スローダウンを続けてきたため、懸念された息切れもなく、逆に相手の足が止まって楽な逃げ切り。

早めの先制点、守りながらの後半早々の追加点。無理せずにゲームをコントロールしつつ確実に勝ち点3を獲得するというサッカーは、まるで三浦監督時代みたいだった。

これまで、着実に課題を消化してきた石崎コンサドーレも、「得点を意識する段階」から「勝点を意識する段階」へ、着実にステップアップしてきたことを実感させる試合だった。

一方の岐阜。メンバー表を見ると、決してタレントを揃えたチームではない。それでも、先制点を奪われてからの攻勢は迫力があった。ホームで無類の強さを発揮する訳がわかった。

攻撃は至ってシンプル。ボールを奪ったらすばやくサイドを縦にボールを動かす。
そして時間をかけずにゴールに向かう。ゴールが近づいたら迷わずクロス。こうしたシンプルな約束事がチームに浸透している。これに札幌はけっこう手を焼いた。

こういうのを見ていると攻撃にもっとも必要のないものは「迷い」だということを教えてくれる。これまでの札幌だと、ゴールに近づくと、もったボールをどうしたらいいのか、ドリブルなのか、クロスなのか、パスなのか、キープなのか、選手が迷ってしまっていた。

ボールを保持する選手が迷ってしまうと、受ける方も迷う。その結果、全体として攻撃が停滞し、相手はそのスキに楽々、守備網を構築してしまう。これが、7月の低得点、チームの不調なわけだ。

しかし、この数試合、練習の成果か、特に古田が入ったことによるのか、全体的に攻撃時の「迷い」が少なくなってきているように思う。なにはともあれ、第3クールの大反撃を期待したい。


古田のもたらしたもの

2009年08月06日

厚別から帰って、さっきまでプレイバックを見ていた。
前節のセレッソ戦が屈辱的だっただけに、本当に溜飲の下がる試合だった。
今期のベストゲームではなかったか。

何よりもうれしいのが、コンビネーションで得点が生まれたこと。
ここで、ずっと主張していたが、今期の札幌は(前からそうかもしれないけど)、選手の連携によって相手を崩すゴールが、これまでほとんど見られなかった。

ところが今日、1点目も2点目も、コンビネーションによっての得点だった。
1点目は、高校生ルーキー古田と西嶋の右サイドの崩しから、西嶋が上げたクロスを宮澤が粘って入れたもの。

特筆すべきは2点目で、起点となる球出しから5,6回ボールが繋がれて、宮澤が決めた。それも、グランド一杯をつかった大きな展開による崩しで、これを見た時、石崎監督が求めていたゴールのカタチは、こんなカタチなのかと思った。苦しみながらも、攻撃のカタチが少しづつできあがっている手応えを選手も感じただろう。

サッカーというのは実にメンタルゲームで、フィールドの中の気持ちが前向きになればすべてが良い方向に回り、後ろ向きになればとたんに悪循環を起こしてしまう。それを象徴したのが3点目の上里のスーパーゴール。これは前半の札幌の選手のポジティブな気持ちがもたらしたものに違いない。

こうしたメンタルの活性化は、18歳の高校生ルーキー古田がもたらしたものだ。前節も、大阪に痛めつけられても古田が登場した後半以降に、選手のモチベーションが回復した一瞬があった。

やはり、運動選手にとって「高校生に不座なま姿を見せられない」という気持ちは強いのだろうし、古田にしても「当たって砕けろ」の精神で伸び伸びとできるのだろう。これの相乗効果が、今節の完勝を生んだと言える。

本当に、サッカーはメンタルスポーツだ。


絵に描いたような完勝

2009年05月16日

今、録画確認。

絵に描いたような完勝じゃないか。
サッカーで、完勝らしい完勝は3-0のような気がする。

4-0,5-0という試合は、どこかでゲームのバランスが崩れ、
ありゃ、しょうがないよ、みたいなところが生じるのがいくぶんマイナス。

ところが3-0だと、相手も最後まで気を抜かず、ゲームらしいゲームが最後まで続く。

今日も、相手はゲームを投げ出さずに、最後まで戦った。
そこに無失点だったことに意味がある。

本当にチームの成長を実感させる試合だった。



おじさんは、怒っている

2009年05月05日

最速のレビューだ。。。
と言いつつ
 
 おじさんはね、本当は怒っているんだ。
 いい歳した、大の男を、泣かせるんじゃない!

 君たちは、できる子だ、って何度も言ったよね。

 なのに、あんな試合の入り方はないだろう。
 疲れていた。
 そりゃそうだろう。前節は一人少ない中での引き分けだった。
 見るからにからだが重そうだった。
 確率の低いミドルを打って、ゴール前に詰めることを、さぼっていたよな。
 だけど、疲れは相手も同じなんだよ。
 
 正直に言って、相手をなめていただろう。
 何となく、負けはないだろうとか、普通に勝てるとか、そう思っていただろう。
 そして、俺が今日のヒーローになると、独りよがりのプレイをしていなかったか。
 そんな緊張感のない試合の入り方だったもの。

 でもな。そんなちゃらんぽらんな試合の入り方をして、
 勝てるほどプロは甘くないって、これまでなんども痛い想いをしたはずだろう。

 だのに、なんで2点取られないと本気が出ない。
 選手交代後のどさくさに1失点。これはこの間の愛媛戦の時と同じだよな。
 1点取られても、前がかりになって、ゴール前をがら空きにして2点目。
 これで今期、何度も点を失ったよな。なんで同じことを繰り返す?。

 でも、2点取られて、下を向かなかったことは誉めてやる。
 2点取られてからの、残り時間15分間からの3得点での大逆転だ。
 長いこと札幌の試合を見てきたけど、こんな展開は、もう何年も経験していないよ。
 こんな、心臓に悪い喜ばせ方・・・本当はうれしいけど、あんまりはごめんだよ。

 やっぱり、お前たちは、やればできる子だ。力はあるんだ。
 本当のお前たちは、強いんだ。今日で、確信しただろう。
 
 だったら
 強いチームだったら、それなりの戦い方があるんだ。
 今日あたりの相手だったら 
 仙台のように 3-0 ぐらいで危なげなく終わらせないと。
 そうした試合運び、それを学べ。
 そうでないとまた足下をすくわれるぞ。

 まぁ、今日は、勝ったから、これ以上言わないけどさ。
 今日のお前たちは、
 去年には見られなかった献身的にチームに尽くすクライトンと、
 見事な采配を見せた石崎監督に足を向けて眠れないから。
 しっかりと感謝しろよ。 

 昇格するからな。じゃな、またな。


【第11節】ダニルソーン!!!!!!

2009年04月29日

 またまた最速のレビューだ。

 ずーっと、求めていた流れの中の得点が出た。しかも2つ。
 3点目は、ダニルソンだーーー。
 ボールが流れ、追いつくのは不可能だと思われた距離を、追いつき、しかもゴールに角度のないところから流し込んだ。こんな得点は、あのエメルソン以来。ダニルソンがもっているとてつもないポテンシャルが、ついに本領を発揮しはじめた。


 前節の結果、西嶋と上里が今日の試合には出場停止。今やチームの主軸となった上里の穴を誰が埋めるのか。今日の注目はそこだった。

 順当に考えれば、昨年、クライトンとともにボランチを務めていた西が適任だったろう。クライトンを下げる手もあったかもしれない。ところが、監督はFWの宮澤をこのポジションに据えた。これはサプライズだった。

 試合を見て、このサプライズの意味が理解できた。理由は2つだ。

 一つは、宮澤はゴールに体が向いた状態であれば力を発揮すること。今までの試合では、ポストとしてどうしてもゴールに背を向けた状態で、ボールを受けていた。これでは彼の力は発揮されない。このこと思った監督が、前にスペースのあるボランチに持ってきたのだろう。特に前半、今まで見られない躍動的な姿を、宮澤は見せた。

 もう一つの意味として(私の独断だが)、ダニルソンに対していっそうの覚醒を促す意味があったのではないか。

 これまでダニルソンは、パートナーを組む上里に助けられてきた。上里が出場停止になり、経験のある西をパートナーにしてしまえば、パートナーに依存するという状況は変わらない。

 ここでボランチがまったく初めての宮澤と組ませると、もうダニルソンはパートナーを頼ることができない。一人で自立しなければならない。という監督からのダニルソンへのメッセージだったのではないか。

 ダニルソンは、もともとものすごいポテンシャルを持っているとは思っていた。だけど、初めての海外、まったく違うサッカーの中で、力を出し切れていなかった。前節、前々節あたりから少しずつなじみはじめたところだ。彼が一皮むけるには、もう一つきっかけが必要。監督も同じことを思ったのかもしれない。

 今日のダニルソンは凄かった。
 
 あのポテンシャルは、J1とか、J2とか言うレベルではない。チャンピオンリーグでフッキが活躍しているが、間違いなく、ダニルソンの持っているポテンシャルはヨーロッパレベルだ。これからどんどん馴染んでいけば、とんでもないことになりそうな気がする。今日のMVPを一人選べと言われば、私は迷わずダニルソンを推す。

 さて、今日の試合は3点の得点が生まれた一方、2点の失点があった。テレビなどで、間接的に見ていると、なんで2点も失点してしまうのか、という試合だったろう。でも、現場で見ていると、失点の原因がよくわかる、というか、共感できるのだ。

 つまり、リミッターが外れてしまった。

 これまで、優勝候補、昇格候補とされながら、ふがいない試合が続き、選手たちには溜まったものがいっぱいあっただろう。2点目、3点目と流れの中の得点が生まれると、リミッターが外れ、いけいけ状態。

 見ているこちらも、これから何点取るのか、という気持ちで見てしまった。とくに来日初ゴールを決めたダニルソンは、うれしさのあまり、完全に宮澤のフォローという本来の役割を忘れてしまった。そして、ボランチとしての宮澤は、まったくの落第点。これではしょうがない。

 開幕以来の鬱積したものが取り除かれ、本来の自信を取り戻したところで、相手が一人少なくなる。もう俺も俺もと言う状態になって、2失点目。
 
 まぁ、これも、しょうがない。
 
 今日のゲーム。3点取ったとところで、しっかりとゲームを落ちつかせ、無失点で終わらせるというには、うちらは若すぎる。


 


ダイジョーブ

2009年03月31日

 岡山戦。
 負け試合が引き分けで良かったじゃないか。
 終了間際の1対1。湘南は外さなかったあれを、岡山は外してくれた。
 
 湘南戦から数日で、すぐに移動。立て直す暇もないさ。
 
 いままで2年間も、高密度に厳密なラインデフェンスだったんだもん、
 いきなり人を見ろと言われても、戸惑うよね。
 ボールウォッチャーになっても仕方がないさ。

 ダニルソンは前半ゲームに入れて、徐々に日本のサッカーに慣れさせているのさ。

 大丈夫。
 気持ちさえ下向かなければ、いつか、きっと上向くよ。


久しぶりの勝利

2009年03月16日

勝利・・・はいつ以来だろう。
自分の目で見たのは、ドームの磐田戦以来。だからほとんど10カ月ぐらい前だ。
そしてロスタイムでの勝利。これは、一昨年、西の事実上のデビュー戦となった、アウェイの愛媛戦以来じゃないか。

それはさておき、今日の試合ぐらいJ2に帰ってきたことを実感した試合はない。

テクはなくても体力ならあると、闇雲なプレスを両チームが続け、どんなにミスをしても、気持ちを落とした方が負けという、実にJ2らしい試合だった。

そんな試合だったけど、ロスタイムで突き放せたのがうれしかった。

鳥栖も昇格を具体的に目指すクラブに成長しながら、セレッソに開幕戦で大敗し、気持ちを切り替えての、ホーム開幕戦。うち以上に“絶対に負けられない戦い”だったはず。

体を張ったタイトなマークで、札幌を上回り、ポゼッションこそ札幌だったけれど、決定的なチャンスは鳥栖の方だった。それでも、最後に勝ち点を持って帰っていくのは札幌。昨年、相手チームに何度も体験させられたことを、お返しできた。試合運びは決して誉められたものじゃなかったけれど、最後にきちんと結果を持って帰る当たりに、<J1のオーラ>があった。

考えれば、昇格した年は、いずれも記憶に残るロスタイムゴールが多かった。
今の札幌は若いだけに、この劇的な逆転劇で、チームも乗ってくるだろう。


窮すれば鈍す

2008年09月28日

 雨模様だったので、カメラは持っていかなくて写真無しで、ごめんなさい。試合前には晴れて、素晴らしい秋空で、後悔しました。

 それはさておき、試合はナイスチャレンジではあったと思います。結果はすでにご存じでしょうが、選手の“気持ち”は十分に受け取りました。

 結果は別にして、良い試合になったのはレフリングが大きかったと思います。今日のレフリーは試合を止めない方で、ハードワークが信条の札幌は、ホイッスルを気にしすることなく、思い切った試合が出来たようでした。

 一般に、日本の審判はボディコンタクトに厳しい判定をする傾向があるように思います。こうした審判の元では、ボールの保持時間が短いパスサッカーが有利になります。審判の間にも、フィジカルコンタクトの少ないパスサッカーが“良いサッカー”という共通観念があるのかもしれません。

 いわばレフリングを通して“こういうサッカーをしなさい”と審判が言っているようもの。各国のサッカースタイルの違いは、選手や指導者よりも、そのリーグに所属する審判たちの“良いサッカー”という共通了解によって、決まってくるのかもしれません。日本のパスサッカーは、パスサッカーを好む日本の審判たちによって作られていると。

 ところが、札幌のハードワークサッカーは、審判のお気に召すものではなかった。J1に上がってからの苦戦は、こうしたレフリングのスタンダードに、札幌が対応するのに苦悩したということも大きかったと思います。生で見ていて、その思いを強くしました。

 とは言え、結果として、東京に勝てませんでした。実力差と言えばそれまでですが、1-0でリードした後に、札幌は1点を守りに行かずに、積極的に2点目をねらいに行きました。これが結果的に相手のカウンターを呼んで、失点していった形です。

 降格決定まで後がない札幌。リードした時点で、どっしりとか構えるゆとりのなさが招いた敗北だったと思います。思えば、ここ3試合の敗北は、すべて積極的に仕掛け主導権を握ったものの、ゲームに緩急を与えないために、招いた敗北でした。

「窮すれば鈍す」という諺がありますが、まさにその通りで、2002年の時のように、降格が決まってしまえば、勝ち始めるのではないでしょうか。

 いずれにしろ、上昇気流に乗った千葉と、勝ちに見放された札幌との違いは紙一重なんですが、まさに気流をつかみ取ったか、つかみ損ねたかの違いだと思います。

 蛇足です。後半からですが、それまで日本人選手を信用しないクライトンが西を信用し始め、パスを出すようになりました。そのため、クライトンー西の間で右サイドにいい起点が生まれました。もっと早くこれを見たかったですね。

 横野がJデビューを果たしました。新人のデビューは、何か思いもしないことをやってくれるか、まったく試合に入れないかとのどっちかですが、横野は後者でしたね。

 
 



ようやく書く気になりました。

2008年09月15日

 おそらくゲームプランとしては、失点しないことを第一に、守備の安定を目標にゲームに臨んだのでしょう。

 なるほど、前半の終了間際までは、失点をゼロに抑えていました。
クライトンがいないことで、そうなってしまったということもあるんですが、相手の攻撃をかろうじて防ぐだけの、面白みのない展開でした。これでも、前半をゼロで折り返せば、希望があったんですが、間際に失点。

 後半は、西谷と上里を入れて、いくぶん攻勢に出たものの、裏を突かれて失点。2-0となったところで、選手の間には「あきらめ」みたいなものが生まれたと思います。追いつこうという気概も見せないまま、3点目を入れられてゲームは決まりました。終了間際に西が1点返したものの、それはまぁ、おまけでしょうね。

 見ていて思ったんですが、J2では機能した3ラインのゾーンデフェンスが、結局、J1では機能しなかったということだったんでしょうね。J1の巧みなパスワークに、この試合でもゾーンとゾーンの間のスペースが有効に使われて、振り回され続けました。

 一方、札幌はミスパスのオンパレード。それも数少ない攻撃の起点のところで、ミスがでるので、攻撃にリズムが出ません。明らかにボールを繋ぐというスキルが、相手よりも数段落ちます。

 守備と攻撃にこれほどの欠落があるのならば、勝つのは無理。

 まぁ、気持ちの上では、諦めない、と言うことに変わりはありませんが、HFCの経営陣は、そろそろ来期はJ2であることを前提に準備を進めなければならないのでしょうね。

 うーん、コンサドーレに向き合う気持ちを、新たに作り替えるのに時間がかかりそう・・・


遅ればせながらガンバ戦

2008年08月31日

 水曜日、仕事が圧して厚別に行けずに、試合を見ないまま帰宅。夜に録画をリプレイすると、なんと録画失敗。(あまり情熱的ではない家人に録画を電話で頼んだんですけど、めんどくさそうだったもんな)

 結果がわからず、やきもきしながらパソコンを立ち上げて確認しました。チャンピオンチームのガンバ相手なので、前節の調子を見ると3-0,4-0の大敗もあるか、と思っていました。もしそんな結果ならば、これはもうチームが壊れてしまった状況なので、監督更迭だろうと。

 しかしその一方で当然、勝ちという望みもありました。しかし勝つとしたら1-0ぐらいで、セットプレイかなんかで奪った点を、全員が守りきるような試合だろうと思っていました。

 そして見ると3-3の引き分け。これまったく想定していなかった結果なので、ビックリしたのが第一印象。そして、次に「3点も取れるのならば勝っちゃえよ。どうして勝ち点1なの」という気持ちがおきました。そして再放送を見たのが昨日のこと。

 つまり、ようするに審判によって勝利を奪われた試合だったのですね。録画を見て、ようやく溜飲が下がりました。

 とはいえ、実際には高木と藤田のとんでもないミスが無ければ勝っていた試合なので、審判の不可解な判定は本質的な問題ではありませんね。後半に決定的なミスで勝ち点を逃した藤田ですが、それまでは対面する日本代表の安田に堂々と挑み、決定的なクロスを配球していました。良いも悪いも含めてもっとも印象に残った選手でした。

 さて、前の試合でかなり凹んだ私は、この試合の状況如何によっては、監督に対する考え方を切り替えたいと宣言したわけですが、録画を見終わって、もうすこし猶予を与えたいという気持ちになりました。

 それぐらいテレビ画面を通しても選手からは気持ちを感じましたし、試合後の遠藤のコメントにも「相手も気持ちが入っていたので仕方がない部分もあったとは思う。」とあります。

 戦術的には、連戦の疲れか、勝てないことからの萎縮か、パフォーマンスが落ちていた芳賀を下げたこと、中山のサイドを諦め、砂川を入れて、藤田と二人で再度攻撃を徹底させたことが好パフォーマンスを呼んだのでしょう。前節に、足を引っ張ったアンデルソンもそこそこ気持ちが見られました。

 また、前節、まったくプレスに行けなかった中盤も、積極的でかなりセカンドが奪えていました。個人的にファンである上里の元気な姿が見れたのも嬉しかったです。
 
 しかし、今札幌が置かれている状況からすると、勝ち点を2失ったことには変わりなく、この中断期にモチベーションをさらに高めて、次節には勝ち点3を奪ってほしいものです。


今、テレビで見た試合。

2008年08月24日

 今期最悪、というかこの数年見てきたなかでも、きわめて悪い試合。

 前半10分こそ、期待させる動きだったけれど、その後、相手に徐々にペースを握られ、前半の半ばから一方的に攻められる試合展開。前半の展開はあえて我慢を重ねる作戦かと、後半に期待を寄せたけれど、まったく変化無し。

 全般的に、中盤にプレスがかからずに、相手がいいようにパスを回す。奪ってもミスや相手のプレスで奪われて簡単に相手ボールになる。たまたま前線にけり込んでも、アンデルソンがまったく頼りなく、ボールが収まらない。

 プレスに行くと、簡単にかわされて回されるので、プレスに行くか、行かないか迷い、中途半端な位置取りに。そしてよけいにパスを回される。シュートも打てず、頼みのセットプレイに持ち込めず。相手にいいようにされる時間が続く。

 前の京都戦の終了間際の失点から気持ちが、切れてしまったのか。そうであっても、この1週間でモチベーションの回復を果たせなかった指揮官に、はじめて疑問符を抱きました。

 この流れがズルズルと続くと間違いなく最下位での降格だし、こうなったら万が一の可能性にかける意味で、指揮官交代もやむなしか、と始めて思いました。

 次節、強敵のガンバ戦。ホームで覇気のない試合となったら、真剣にこのことを考えましょう。


【第21節京都サンガ戦】超ダイレクトサッカー

2008年08月17日

 サッカーのダイレクトプレイというのは、ワンタッチでのボールコントロールのことではなく、ゴールにダイレクトに直結するプレイのことだといいます。ボールを持ったら、相手を引き出す、揺さぶる、焦らせる・・・というような回り道を極力排除して、ゴールに一番近づくプレイを選択するのです。となると、三浦札幌のサッカーの特徴は、超ダイレクトサッカーなんだと今更ながらに思いました。

 おそくら三浦監督としても、ダイレクトサッカーに磨きをかけることで、J1残留はかろうとしたのだと思います。中断明けに長身のアンデルソンが入ったことと、中山が左サイドに起用されたことによって、前線でのポストが増え、一層、ダイレクトサッカーが明確になりました。

 中断開けから、故障や累積警告でなかなかベストメンバーがそろわなかったんですが、今日の京都戦に久しぶりにベストメンバーがそろい、前半は、監督が思い描いたように、平均身長が180センチを大きく超える札幌のダイレクトサッカーが猛威をふるい、相手を圧倒しました。

 さて札幌のダイレクトサッカーは、いわゆるカウンターサッカーとは異なるものです。カウンターサッカーは、あえてラインを下げ、相手を引き出してゴールとの間に巨大なスペースを作って、それを攻撃に利用するものですが、札幌のダイレクトサッカーはラインを高くするために、相手の背後にスペースが生まれません。札幌のダヴィの1点目は、きれいなカウンターの形になりましたが、これはたまたまです。

 札幌は先制した時点で、ラインを下げてゴール前に選手を並べて、高さで跳ね返し続ける、という正真正銘のどん引きカウンターサッカーも出来たはずですし、結果を求めるならばそうすべきだったと思いますが、監督はやはり美学があるんでしょう、カウンターサッカーを選ばず、ラインを上げるダイレクトサッカーを続けたのでした。

 ダイレクトサッカーの欠点の一つは、ラインを高くするために、デフェンスラインの裏を取られやすいということです。後半開始早々、この欠点を突かれて、同点とされてしまいました。今の札幌の問題は、ダイレクトサッカーに特化したため、これ以外の選択肢がないという硬直性でしょう。

 さて、ダイレクトサッカーのもう一つの欠点は、攻撃がゴールへの最短経路ということですから、相手に読まれやすい、と言うことがあります。これを回避するために、札幌は、高さという読んでも防ぎきれないファクターに磨きをかけたんでしょうが、クロスの質に難があるために、高さでゴールを確実に陥れるところまでいたっていません。

 前半から札幌の高さに圧されていた京都は、同点になったことで、あからさまに引き分けねらい入りました。相手が守りに入られると、札幌の攻撃は単調ですから、攻めあぐねます。

 どうしても勝ちたい札幌は時間とともに焦りが高まり、変化を付けようと、高さのあるアンデルソン、中山を下げ、石井、砂川を入れることで、自らダイレクトサッカーを崩していきました。
 
 アンデルソン、ダヴィ、中山の平均身長185センチのポストトリオが崩れたことによって京都は元気づき、終盤は撃ち合いの様相を呈しました。そして、京都の「勝ちたい」という気持ちと、パス、トラップ、ランの基本技術のクオリティが札幌を上回ってしまったのです。

 今の札幌のサッカーは、J1J2を通じて他にない独自のサッカーで、それはそれで完成に近づきつつあると思います。しかしながら、これをそのまま伸ばすのか、それとも欠点を補うサブシステムを持たせるのか、という微妙なところの隙を突かれた一戦だったと思います。

 いずれにしろ、昨日書いたように最後の結果はどうあれ、今必要なことは、自分たちのサッカーを強く信じることではないでしょうか。
 


【第19節・アウェイ新潟戦】サッカーの表現

2008年07月27日

 J1というステージの中では、勝ち負けは別にして、やりたいサッカーをまがりなりにも表現できているチームは残り、やりたいサッカーを見失ったチームが落とされるように思います。そうした意味では、勝てなかったものの、札幌のサッカーは表現できていました。
 
 中断初戦のガンバ戦を除き、無様な試合が無くなったのは、90分を通して、自分たちのサッカーを表現できるようになったからだと思います。もっとも、表現しているサッカーの善し悪しは、また別な問題ですが。


 札幌が自分たちのサッカーを表現する一方、相手も、自分たちのサッカーを90分通して表現していました。おそらく、新潟のゲームプランは、先取点を取っての逃げ切りというものだったはず。そしてその目論見どうり、ホイッスルと同時に攻め込み1点を奪う。結果的に見ると、これが新潟の勝利を産みました。

 これに対して、札幌のプランとしては、高さを活かしつつ、前半はゼロで抑えて後半の勝負どころで加点し、勝ち点ゲットいうものだったはず。そしてこちらも目論見どうり、セットプレイからのダヴィの押し込みで同点。

 しかし、そのあとにすぐに相手のセットプレイからの跳ね返りを押し込まれて突き放される。この時の跳ね返りが、絶好の位置に跳ね返るところに、相手のホーム力があるのでしょう。厚別に聖地厚別の“厚別力”があるように、新潟にもホーム力があり、そのホーム力に負けたという試合でした。

 自分たちのサッカー、つまりは三浦さんのサッカーですが、これを90分通して表現できればみっともない負けはないでしょう。5試合やって、1試合勝ち、3試合引き分け、2試合負け、というようなレベルでしょう。

 しかし、これでは降格してしまいます。残留するには、自分たちのサッカーを表現すだけではなく、その上でさらに、相手の“表現を奪う”ことが求められると思います。単にボールを奪うとか、ポゼッションするとか、というのではなく、うまく言えないんですけど、相手の表現を奪う・・・。

 とにかく、そのためには、まずはアンデルソンが機能すること、中山が今のポジションになれること(それを期待して、今日も中山とダヴィの2トップという選択肢があったのに、我慢して監督はサイドに使い続けています。)、そして藤田、西の覚醒ではないでしょうか。そんな気がしました。

 一方、新潟。鈴木監督であることもそうだけど、やはりベースは、シンプルダイレクトなJ2サッカー。今のJは、Jオリジナル組のパス&ポゼッションサッカーと、J2昇格組のシンプル&ダイレクトサッカーが、拮抗して覇を争っているという感じがします。


J2な試合

2008年07月13日

 今見たばかりの試合について。

 うーん、これは千葉にかなり問題があるというような。
 シーズン初めから低迷した千葉は、前監督が更迭され、リバプールのミラー監督が来た時点から、いきなり連勝だったでしょう。

 これはミラー監督の指導力と言うよりも、前監督がいなくなったことから、選手がのびのびしてプレイできたということで、中断期に本格的にミラー監督が指導し、監督の戦術が浸透すると、逆に調子崩していったというところじゃないかな。

 今日、テレビでしかないけれど、オシム時代にあった勢いというか、躍動感がすっかり消えてしまっていた。なかでも中盤のプレッシャーが少なく、札幌でも結構ボールを持てたし、攻撃もサイドに散らして10番に合わせるというものだけ。あれならば、高さで跳ね返せます。

 J1というとやっぱりパスがポンポンとつながる連動的な動きが、強いチームにはあるけれど、今日は後半にサイドをえぐった1本を除いて、千葉には連動的な動きがほとんどなかった。あれはイングランドのサッカーなんでしょうか。監督はJ1のことをあんまり勉強していないんじゃないかな。

 一方、札幌ですけど、確かに3点取ったし、失点0で終わって良かったんだけど、せっかく奪ったセカンドボールの返しを、相手にパスしてしまうような場面が目に付いた。上位陣だったらかんたんに失点してしまうよ。

 それでも、J2時代からさんざんやられてきた新居にだけは、得点を許さないという気迫は感じた。悪いけれど相手がJ2なサッカーだったんで、J2の覇者である札幌のサッカーがはまったという試合じゃないでしょうか。