来年に繋がる戦い

2009年10月25日

 残念ながら、らち外になってしまったのだが、この時期になると昇格を巡る争いが必死さを増してくる。

 前節、岐阜との戦いの陰で、湘南と甲府の熾烈な三位争いが気になっていた。湘南は札幌に負けて始めて昇格圏から脱落。甲府と入れ替わった。ここで気を落としてガタガタと崩れるかと思いきや、それまでの得点不足が嘘のように、快調に勝点を積み上げる。一方、逃げる甲府も負けない。

 そんな中、前節、甲府は最下位の横浜と、そして湘南は直ぐ下にいる鳥栖との一騎打ちだ。これをひょっとすると「甲府が負けるんじゃないか」と実は見ていた。

 と言うのも、甲府の立場に立てば、ライバルの湘南の相手は難敵の鳥栖。負けたり、引き分けたりする可能性が高い。一方、自分の相手は最下位のチーム。ここで勝てば相手との勝ち点差を広げることができる。またきわめて勝つ可能性が高い相手だ。

 ところが、こうなると「勝たなければならない」というプレッシャーが選手を縛る。そして案の定、甲府は最下位のチームに負けた。同じようなことがJ1でも起きた。首位まであと一歩という位置まで上った清水は、最下位の大分との一戦を迎えた。ところが負けたのは清水だった。

 さて、まぁJ1はいいとして、前節、湘南が勝ち、甲府が敗れたことで、この土壇場に来て3位と4位が入れ替わった。こうなると今度は湘南が追われるものの立場になってしまう。今節、湘南は甲府に先んじて土曜日に試合があり、相手は14位の熊本だ。ここは確実に叩いておけば、次の日の甲府の相手は鳥栖。突き放すチャンスだ。ところが、甲府が横浜に負けたように、湘南が熊本に負けてしまうのだ。

 前のエントリーでは、札幌の選手の気持ちの弱さを嘆いたが、選手のメンタルはこうしたギリギリの戦いをくぐり抜ける中で養われるのだろう。そういう意味では、たとえ昇格ができなかったとしても、もっと長くこのギリギリの戦いの中にいたかった。

 さて、明日(というか、今日)は仙台戦だ。こちらは大阪との首位争いを演じている。仙台のメンタルが、湘南や甲府のような追い詰められたものならば、札幌にも一泡吹かせられるチャンスはある。3年前、2006年のJ2・51節、昇格を目前にした柏を札幌は敵地で3-2で葬った。この戦いが翌年の昇格に繋がったと思いたい。

 昇格を逃したことで、前々節、そして前節の前半15分までにあった「負け犬」のメンタリティに陥ってしまえば、明日の勝ちも、そして来年の躍進もないだろう。しかし、そうでないならば、明日、敵地で勝つ可能性は高いし、その戦いは来年に必ず繋がるはずだ。
 


post by hibari

00:34

コメント(0)

若さの裏側

2009年10月23日

20091023-00.jpg

 実は前々節の徳島戦を見ていない。ビデオ(というかDVD)の録画をセットしたのだが、何かの手違いで失敗。これを見るために、すべての情報をシャットアウトしてテレビの前に座ったのだが、エラーメッセージを見て、がっかり。ネットで結果を見ると 0対3で負けている。しかもシュートがたった1本。スカパーだから再放送があるのだが、見る気が失せてしまった。ということで、徳島戦は今期唯一“見ない”試合になってしまった。

 さて、前節の栃木戦。平日の厚別、肌寒いナイター。昇格がダメになったというのに、5000人「も」集まったと言いたい。しかし、選手の入場が始まってもゴール裏は沈黙のまま。前節のあまりに不甲斐ない試合を受けて、ゴール裏も無条件の応援を考え直したという。「見ていない」が、つまり、それほど醜い試合だったと言うことだろう。

 さて、試合だ。札幌はあたかも前節を引きずったまま下を向いて試合に入ってしまった。そこを何とか札幌から勝点を奪いたいと燃える栃木が襲いかかる。15分ぐらいまで防戦一方だ。

 相手はJ2の16位だ。今期わずか8勝しかしていない。そんな相手にタジタジとなる札幌に、「岐阜相手に何やっているんだ」という声がスタンドから起こり始めたとき、おそらく選手自身が“俺たちは何やってるんだ”と思ったのだろう。突然、反撃し始めたのだ。

 そうして17分、キリノの強引なゴール。「コンチクショー」という声が聞こえてきそうだった。その後も、相変わらず稚拙ではあるが、最後まで札幌が攻め立てた。

 こういう試合を見ると、札幌は本当に若いチームなんだと思う。徳島戦のような試合では「選手に戦う気持ちが見られない」という声が飛ぶ。実際、彼らもプロである以上、戦う気持ちに無くして試合に臨むことはないはずだ。

 でもそう見えてしまうのは、ふてぶてしさが足りないというか、心が細い、気持ちが弱いということのだろう。そして、こういう心の弱さが、「若さ」の弱みだ。もっとも年を取れば心が強くなるというのではなく、弱い心の選手が、淘汰されていくだけの話なのだが。



post by hm1644

23:16

コメント(2)

厚別の静かな夜

2009年10月22日

20091022-02.jpg


今日の厚別は、静かでしたね。(理由は下の写真)
まぁ、こんなこともあってもいいんじゃないですか。

感想は後日ということで・・・


20091022-01.jpg




post by hibari

00:05

写真館 コメント(0)

今日は代表戦があったらしい。

2009年10月15日

 今日は代表戦があったらしい。日本はトーゴに5-0で勝ったという。

 職場で、おまえはサッカー好きなのに代表戦を見ないのはいかなる所存か、と詰問された。私のモットーは「テレビの代表より、生のJ2なんです」と口に出すと、また遠い目で見られそうなので、へらへらしていた。

もちろんサッカー好きとして代表は気になる。そもそもサッカーにのめり込むきっかけがワールドカップだ。それでも、というか、それだからこそ、日本国内で開催される親善試合には、なんの期待も持たない。

 宮城スタジアムの親善試合で、日本がトーゴに5-0で完勝したとしても、これが来年の南アフリカの試合とは、まったく結びつかないことを嫌と言うほど教えられてきたからだ。だから代表戦は外国で行われるアウェイ戦しか真剣に見る気がしない。

 それでも日本のレベルが着実に上がっているのは事実だと思う。ドーハの悲劇の時、日本のプロリーグの参加チームはわずか10。それが現在では36にもなっている。プロサッカー選手の数も三倍以上になっているだろう。そこから選りすぐられて選ばれる選手の質は上がって当然だ。

 しかしながら、代表の強化と言いながら(その実、サッカー協会の懐を暖めるために)、国内のぬるま湯のような中で代表戦を行う今の姿を何とかしないと、本当の意味で代表は強くなれないと思う。


post by ひばり

00:10

日々雑感 コメント(0)

収穫の乏しい試合

2009年10月11日

20091011-00.jpg

 天皇杯の2回戦。厚別公園で行われたガイナーレ鳥取戦を、アウェイゴール裏で見ていた。
 
 特にどうといことはない。負けなくて良かったという感想もない。
 
 台風の影響か、前半は非常に風が強く、時より降る秋の冷たい雨が身にしみた。
そんなか、前節、セレッソ戦での悔しい負けを受けて、すかっと胸の晴れるような大勝を期待した。

 ところが、開始早々、相手に攻め込まれて後手後手に。風が強く、風上に立った相手が有利だったというのもあるのだろうが、札幌の選手から気持ちが感じられなかった。「さて、今日はどうしたものか」と腕組みをしている間に責め立てられ、タジタジに。

 一方、鳥取はシンプルなパス回しが印象的だった。ラグビーの展開のように横へ横へとパスをつないでいく。そのパス回しにまったくついて行けない札幌。相手の先制点は、ラッキーな偶然ではなく、はっきりと崩され、かき回されての失点だった。それでも、前半の終了間際に、コーナーからのこぼれを西島がズドン。ゲームを振り出しにした。

 後半、風上に立った札幌が優位に攻める。しかし、思い切り引いた相手の前で無用にパスを回すばかりで、シュートにいたらない。それどころか、パスをかっさわられてあわやといカウンターを何度も受ける。(後半の、鳥取の選手としてジョホールバルの岡野が入ってきた!)

 こうして一見、札幌が攻めているように見えても、その実、相手のゲームという展開のまま残り10分を過ぎると、相手は引き分けを狙ってきた。このまま追加点を奪えないまでも、引き分けてPKにまで持ち込めば、どう転ぶかわからない、そんなゲームプランだったのだろう。まして相手のキーパーはシュナイダー潤之介(おまえ、こんなところにいたのか)だ。

 そうしてよりいっそう自陣に引きこもってしまった結果、札幌の波状攻撃を受ける。札幌の攻撃は得点の臭いのしないものだったが、それでもこれだけ責め立てると何かが起こる。ペナの中に侵入した札幌の選手を引き倒してPKを献上。かろうじて、延長にならなくて済んだ。延長だったら雨でずぶ濡れだったろう。

 いつものことだが、今回は特にミスパスが多かった。パス回しにかけては、確実に相手の方が上だった。横パスは弱くて相手にさらわれ、前に出す強いパスは、きれいに相手に渡ってしまう。そのくせ、パスサッカーにこだわるのだから、始末に負えない。

 勝った、ということ以外に、収穫の乏しい試合だった。



post by hibari

20:00

コメント(0)

すべて負け惜しみです

2009年10月07日

 このブログを見る人は、もう結果は知っているだろう。
 ご承知の通り0-1での敗戦だった。それもロスタイムギリギリでの失点というもの。しかし、それでも、この試合を見た人は幸せだったのではないだろうか。

 この夜、聖地厚別から10キロと離れていない札幌ドームでは、日本ハムが満員の観客を集めて試合を行っていた。10月の厚別は肌寒く、この試合のために厚別に足を運んだ人は、よっぽどのサッカー好きだったろう。それでも、この日の試合は、サッカーが好きな人ほど、面白くみれたのではないだろうか。

 これで、札幌が勝てば最高であったが、負けたと言うことも含めて、サッカーというスポーツの深淵に触れたように思う。(まぁ、半分は負け惜しみなのだが)

 さて試合は最後の最後で決まった。セレッソの攻撃をゴール前で受け止めた札幌の誰か(ビデオを見直していないので申し訳ない)が、足下に入ったボールを、どうしようかと迷ったところに、相手が突っ込みボールを奪われ、決勝点をいれられてしまった。

 こう見ると、最終ラインの凡ミスだが、単に格上のセレッソの猛攻を防ぐだけならば、足下に来たボールを単純に跳ね返して終わりだったろう。そうであれば、負けることもなかった。

 しかし、この選手は、単純に跳ね返すと、どこか見方に有利な場所にフィードしてカウンターのチャンスを作りだそう、という二者択一で迷ってしまったのに違いない。つまり、勝利をあきらめていないことの故に、喫してしまった敗北なのだ。

 これは非常にサッカーというスポーツを象徴する失点である。キーパーのすぐ前というバイタルな場所にあっても、サッカーという競技は、フィード一つでカウンターのチャンスを演出できるのだ。そして札幌の選手は最後にこれに賭けた。

 こうした賭けに出たこと。そしてそれが失敗したこと。この失敗を見逃さずにゴールを陥れた相手。相手と我々との実力差。そうしたすべてが象徴されていた一瞬だった。
 
 この決勝点の場面に限らず、90分間にわたって、両チームの心理戦を含む、高度な応酬が楽しめた。点が入った、勝った、負けた、というだけでない、サッカーの面白み、深み、それを堪能するにはいい試合だった。

 ・・・・もちろんすべて負け惜しみです。


得失点の波

2009年10月05日

 今期の勝敗表を見ると、札幌は得点と失点が共に増える時期と、両方とも減る時期を繰り返していると言うことだ。

 おおよそだが第1節から第7節までは、得失点とも少なかった。そして、第8節から岐阜に勝った第15節までは、3-2というような試合が多い。16節で水戸に0-0で引き分けると、再び得点欠乏症に陥り、岡山に4-2で勝った第30節まで続く。

 この後、セレッソに0-3という試合はあったものの、第36節では草津に5点を挙げている。ところが甲府に1-2で負けた第39節から再び得点が少なくなってきている。あげくに前節は0-0だ。

 熊本に対しては苦手意識があったのだろう。高原のセーブが無ければ、(今回は前節と違って高原よりも相手のミスキックだったような)確実に負け試合になっていた。甲府に負けたあたりから、実は再び得点欠乏症のターンに入ったのではないか。

 前のエントリーでは、「三浦サッカー」の復活などと、脳天気なことを書いていたが、こういう波を見るにつけ、このチームには構造的な問題があるように思う。

 いくら得点が多くても失点が多ければ結果は僅差。また失点を少なくしても得点が少なければ、やはり僅差。10の力しかないチームが、攻撃に7を割くと守備は3、反対に守備に7を割くと攻撃は7。つまりこういうことなのだろう。

 いずれにしろ、水曜日の試合は、コンサドーレ札幌というチームの本当の実力が試される試合であることは間違いない。