視力という贈り物

2006年07月26日

 コンサドーレのチームスポンサーであり、選手の検眼、メガネつくりにご協力いただいている富士メガネ会長の金井昭雄さんが国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)から日本人で初めてナンセン難民賞を受賞しました。

 7月18日夜、今年行なったアゼルバイジャンでのメガネ寄贈活動と
ナンセン賞受賞の報告会が札幌市内のホテルでロバート・ロビンソンUNHCR日本代表も参加して行われました。私もお祝いをしてきました。

 ロビンソン日本代表によれば「世界のキング、クイーンの仲間いり」と
いうことだそうです。「緒方貞子さんも日本人の模範ですと言っていた」と
付け加えていました。そして金井さんに、ナンセンを扱った1897年の
新聞を表装して手渡しました。


ナンセン賞は難民のために多大な貢献をした団体、個人に送られる世界的な賞です。これまでにエレノア・ルーズベルト元米大統領夫人、タンザニアのニエレレ大統領、国境なき医師団などが受賞、1954年以来続いています。

 賞は北極の探検家で、ノルウエーの国際連盟代表、初代難民高等弁務官となったフリチョフ・ナンセンを記念して出来たものです。ナンセンは第一次世界大戦の捕虜、ロシア革命で発生した難民などに手を差し伸べました。

 ナンセン賞決定に当たってグレーテス国連難民高騰弁務官は「金井氏のおかげで非常に難しい状況にある難民が人生に新しい展望を抱くことが出来た。視覚という贈り物は貴重」と述べ業績を称えています(UNHCR HP/7月4日)。

 金井さんは1983年から、社員とともにタイのインドシナ難民キャンプをはじめ、ネパールのブータン難民、アルメニアの難民キャンプ、アゼルバイジャンなどで難民対象に視力検査の上、視力にあったメガネを寄贈し続けてきました。

 その数は11万個にのぼります。参加社員はボランティア、費用は会社負担です。それを23年間も続けているわけですから、素晴らしいですね。報告会では視力をもらったアゼルバイジャン難民の喜びの表情が映像で映し出されていました。

 金井さんの兄の重博さん(前会長)はオーストリア名誉領事として、国際交流に尽くしています。金井さんの息子の邦容さん(米国カリフォルニア大バークレイ校オプトメトリー・スクール)もアゼルバイジャン・プロジェクトに参加しています。

 社会貢献への思いが金井家に、富士メガネ社内の広がっているように思えます。困っているひとに手を差し伸べる。個人として、そして事業を通じて~。
10月2日にはジュネーブで授賞式が行われます。道民として待ち遠しいですね。

 そうそう、それとこの日の報告会で感じたことがもう一つありました。
会は今年の支援活動の報告が前面に出ていて、受賞については控えめだった
ことです。

また、会場はホテルでしたが、受付に飲み物のペットボトルと簡単なサンドイッチが用意してあり、必要な人は手に取って会場に入るやり方でした。簡素で実質的なもてなしにスマートな社風を感じました。