2015年11月27日
11月26日。道新スポーツ2面にこのような見出しが躍った。『堀米 欧州移籍も視野 オランダなど模索中』。札幌残留も選択肢に含めつつ、代理人に移籍可能な練習参加を受け入れてくれる欧州クラブを探してもらっているとのこと。人生の選択肢に早いも遅いもないと個人的には考えている。若いうちであれば多少失敗したところで残りの長い人生でリカバリーも利くだろう。要はタイミングだろう。彼にとっては契約が切れるという今が、そのタイミングと感じたのだろう。
だが引っかかる。「欧州なら2部のクラブでも、活躍すればマーケットにつながっているので」。記事中における堀米本人のコメントだ。「欧州なら2部のクラブでも」?「2部のクラブでも」?向上心が高いことはいいことだ。現状に満足することなく、己を高め理想に自分に近づくために努力は怠らない。間違いなく堀米悠斗という選手はこれが出来る選手だと僕は感じている。だから問いたい。「何を吹き込まれた?」と。かつて代表でプレーした南野拓実の活躍に刺激を受け、置いていかれていると感じ焦っているのか。それともレギュラーに、しかも「日本の2部のクラブ」のレギュラーになりきれていない自分と理想のギャップにうろたえているのか。こんなはずではなかったと。
野々村社長はレギュラーのラジオ番組に出演し、堀米移籍報道について質問され「初耳です。」と前置きした上で、このように答えた。「練習参加を受け入れるクラブはあるだろうが、ぜひ買いたいというレベルには達していないのではないか」。この質問を受ける前に社長は新戦力獲得について自身の考えを述べていた。ロナウジーニョのようなビックネームとも接触をしており、社長就任直後から「対話の窓は常にオープン」のようだ。とはいえビッグネーム獲得による戦力&営業力強化よりも、有力無名選手を安く手に入れるほうが結果的には戦力強化にはつながるだろうと結んでいた。要するに小野や稲本クラスが今年も移籍市場にいるなら獲得したいなぁと。これが2部クラブだ。乏しい資金力で少しでも上位をうかがい、あわよくば昇格を目指す。その2部クラブが極東のフットボーラーを獲得する理由は限られている。スカパーでスイスリーグの中継が組まれ、ベトナムのテレビがコンサドーレの試合を取り上げるのと同じ理由だ。言い方は悪いが「どれだけ金をひっぱれるか」だ。そこまで踏まえたうえで、一クラブ社長として「買うレベルにない」と答えたのだろう。選手としての伸び白もあり、北海道出身というバックボーンもある。クラブとしては堀米をもっとスケールの大きい選手に育て上げるビジョンを持っているのだろう。だからこそ三上GMも「もっと札幌で活躍してからなら協力して送り出せるけど、まだ早いと思う」と慰留しているのだ。
僕自身も転職を経験しており、ぞくぞくと転職していく同期の姿を見送りながら、言いようのない焦燥感を感じることもあった。焦るなとは言わない。ただ言わせて欲しい。自分を安く売らないでくれ。「欧州なら2部のクラブでも、活躍すればマーケットにつながっているので」。自分で口にした言葉の意味を改めて考え、最良の結論を出してくれることを祈っている。
【追記】 勝手に野々村社長の発言を引用してしまったので、確認したところそこまでニュアンスは変わってないと思いますが、念のため貼っておきます。 http://www.hbc.co.jp/radio/asadoki/nonomura/index.html#m 【更に追記】 12月16日の道新スポーツに『堀米が契約延長』との記事が載っていた。 練習参加を受け入れてくれるクラブがなかったとのこと。 これが今の自分の評価と捉え、より一層精進してくれることを信じている。
2015年11月25日
終わり良ければ全て良し。この言葉通りの試合だったのではないだろうか。後半戦から存在感を増してきた両翼の石井謙伍と堀米悠斗の躍動。監督交代後から調子を取り戻した小野伸二がMVPの活躍。今年初のコーナーキックからの得点は宮澤裕樹。こぼれ球にしっかり詰めていたのは福森晃斗。そして極めつけは金子 翔太。完璧にDFラインの裏を取った廣瀬浩二からのクロスをゴールにねじ込んだボレー。札幌の多彩な攻撃パターンを再確認でき、来年につながる実りの多い試合だった。
・・・またなのか。また繰り返すのか。眼の色変えて向かってくる相手にビビッて浮き足立って後手踏んで、サイドもゴール前もガバガバになるのか。得点の形はいい。完璧だ。相手がJ3に片足を突っ込んでいる栃木SCが相手であろうとも文句のつけようのない形で決めたものだ。間違いなく監督交代したことで成長した部分であると言い切れる。何より小野伸二が添え物ではなく主役のサッカーになっており、「来年も小野が万全なら」楽しみなサッカーをしている。それよりも気になるのが守備。イソンユンのコーチングの問題なのか、そもそも守備戦術そのものに欠陥があるのか。ピッチでサッカーをしたことがない上、守備練習などもどのようにしているか皆目見当がつかないので不満を述べるにとどめておく。
結局ケチがついたことにブツクサ文句を並べているだけなのだ。終わり良ければ全て良し。冒頭に書いたにも関わらずだ。昨年と同じ10位とはいえシーズンは終わったんだ。来年に希望を持とうじゃないか。新聞報道に一喜一憂。選手のブログやらツイッターだのを追い掛け回し、意味深な発言に踊り狂うオフシーズンの始まりだ。野々村社長の手腕に期待するとしよう。
社長も大変である。サプライズを期待されたので発表したら、「根回しぐらいすれ」やら「断れるわけないじゃん」だの至極全うな反感を買っている。とはいえ、四方田監督に続投要請すると発表した際に湧き上がった拍手は、監督にとって大変勇気付けられるものだったろうと愚考する。ドームに詰め掛けた20234人からの信任だ。続けてもいいんだと前向きに来年を考えることが出来るのではないかと思う。そこまで考えた上でのサプライズ発表だったのだろう。・・・だったんだよ。・・・・だったんだって。まさか人の上に立つ社長が、「これぐらいなら言ってもいいや」みたいな軽い気持ちで、ねぇ?
来年は昇格だ。その覚悟は言ってもいいやなどと半端な思いで言わないでもらいたいものだ。
【追記】11月27日。野々村社長がレギュラー出演しているラジオ番組で四方田監督とはすでに来季に向けて話し合いの場を持っていたと発言。ユース育成にも未練を残していた四方田監督だったが、来季以降のトップチームについて指揮を継続していきたいとの意向を示しており、内諾は得られていたとのこと。パワハラでもオワハラでもなかったことに安堵した。「決まった」と社長として明言できないということは契約に関して詰める所が残っているのだろう。えらい気を揉ませる山椒の木であった。
2015年11月21日
株式会社北海道フットボールクラブ改め株式会社コンサドーレ社長の野々村芳和氏曰く、アクチュアルプレーングタイムが前年と比較して伸びており、チームの目指している方向性としては一定の成果が出ているとのことだ。
アクチュアルプレーングタイムとは、アウトオブプレーになっていないインプレー中のみの時間のこと。ファウルを取られてからゲームを再開するまでの時間や、タッチラインを割ってスローインでボールが投げ入れられるまでの時間などを含まない、「実際のプレー時間」を示すものである(参照http://www.goal.com/jp?ICID=AR 2012/06/14 コラム:新たな見方を与えてくれる「アクチュアルプレーングタイム」)。参照にした記事には更にこのように書かれている。一般的にはAPTが長くなればなるほど、魅力的なゲームになる可能性が高いとされている。(中略)ここで言う「魅力的なゲーム」とは、誰が見てもおもしろいと感じられるゲームということだ。この「誰が見ても」というものが非常に難しいが、少なくとも「サッカーに興味を持ち観戦に訪れた観客にとって」と考えれば、札幌はコンテンツとして強化されてきたと考えられるだろう。
単純に比較することは難しいが野球観戦を例に挙げる。1-0の痺れる様な投手戦とルーズヴェルトゲームと称される8-7の打撃戦。どちらが「一見さん」もしくは「ライト層」にとって魅力的であろう。まして首位争いをしているわけでもない中堅チームの試合で。痺れるなどと主観的な文言をつい入れてしまったが、個人的には追い詰められて手に汗握りようやくありつけた勝利の果実に美学を感じる。おおよそ一般的な意見ではなく、全ての野球ファンに同意が得られるものではないだろう。まして野球を愛した第32代アメリカ合衆国大統領には。
少なくとも簡単に大きくラインへ蹴り出し、当座のピンチを凌いで行くサッカーに魅力を感じられないことはご同意いただけると思う。繋ぎを意識した結果、中途半端なカウンターになり痛いしっぺ返しをくらうサッカーに陥ってしまったというわけだ。これを野々村社長は「プレーのクオリティーの低さ」と断じた。高く保ったディフェンスラインからボールを奪取し手数少なくゴールに迫る鋭いカウンターは、洗練された美しさを感じる。ただし、ただしだ。カウンターとはある意味骨を切らせてミクをいや肉を断つところがある。この美しさは「ライト層」には伝わるだろうか。現にウチの嫁はカウンターの起点になるプレーを見るどころか、騒々しいドームの中で高鼾をかいている。極端な例を出したが、テレビ観戦時に僕も眠気を覚えたこともあるので、あながち間違いではないだろう。詰まるところ、かつてのバルセロナのように、相手に何もさせず、いつゴールを揺らすのだろうという点のみに観客の興味が集まるのが「魅力的な」サッカーなのかもしれない。
過程を大事にするべきか結果を重視するべきか。勝つことがファンサービスと嘯いた名将は、今GMとして観客動員数の減少に向き合っている。昇格が至上命題であることは首脳陣もサポーターと共有していると感じてはいる。チームの評価基準として「アクチュアルプレーイングタイム」という指標を用いていることは一貫した強化方針であると評価することができる。「プレーのクオリティーの低さ」という課題に対して向き合い、特効薬の存在も理解していることはラジオ越しではあるが伝わってきた。結局、選手次第なのだ。試合会場を用意し、指揮官を選び、年棒を払い試合をしてもらう。これ以上のことは社長も監督もサポーターもすることができない。だからこそ、もどかしいしイライラするし何より悔しい。頑張れ。頑張っていることは充分過ぎるほど知っている。その上で頑張って欲しいのだ。その気持ちはサポーターに必ず伝わるし、それこそ「ライト層」にも伝わるはずだ。千葉戦を思い出して欲しい。不可抗力とはいえドームがひとつになった、あの瞬間を。
赤黒のユウシャたちが変わらない限り、社長の言う「今年こそJ1昇格」という言葉は顔芸一発で笑いを取れる希代のコメディアンと同じような絵空事に聞こえてしまうのだから。
プロフィール
98年J1参入決定戦に敗れ涙に暮れる札幌サポを見たことで、コンサ愛に目覚めた非道民。 何の因果か札幌に居を構え、試合結果に1週間のテンションを左右される日々。 いい年こいてまだ中二病が完治していない。 思い出とコンサの試合と日常をミキサーに投げ入れて、味の素で整えた文章を提供していく。 ご笑覧いただければ幸いだ。
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