2024年01月28日
集英社スポーツ総合情報サイトSportivaをご存じだろうか?
サッカーに関心があり、お手持ちのスマホまたはiPhoneで情報収集をされている方々にはおすすめ記事でピックアップされる機会も多いことだろう。
1月23日に吉崎エイジーニョ氏によるインタビュー記事が公開された。インタビュー相手は小林伸二氏。ギラヴァンツ北九州にて5年間スポーツダイレクターと監督を務め、昨年限りで退団したばかりである。
前後編に分かれた記事のタイトルがなかなか刺激的である。
「Jリーグ昇格請負人が悲痛な叫び「移籍の速さについていけない」 J2・J3「沼」の正体をギラヴァンツ北九州・小林伸二前監督が明かす」
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/jleague_other/2024/01/23/j2j3/index.php
「Jリーグで進む残酷なヒエラルキー ギラヴァンツ北九州・小林伸二前監督「国内では1~2チーム、超ビッククラブを作る流れにある」」
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/jleague_other/2024/01/23/post_10/
お時間がある時に是非一読頂きたい。そして震えて頂きたい。ギラヴァンツ北九州の現在はコンサドーレ札幌が辿り着くかもしれなかった袋小路であったことに。
ギラヴァンツ北九州はJ1にこそ上がっていないが、J2上位とJ3最下位を行き来する「ジェットコースタークラブ」である。J2参戦初年度となる2010年はシーズンを通じて1勝しか挙げることができなかった。ただ翌年三浦泰年氏に率いられたチームは躍進し、最終順位は8位となったが一時は5位まで順位を上げた。その後紆余曲折あり、昨年はJ3最下位に沈んだが辛くもJFL降格を回避している。J3最下位に沈み小林氏がシーズンホームゲーム最終戦で語った言葉が胸に刺ささる。
「本当に難しく、5年前に来た選手が我々にはひとりしかいません。(中略)しかしまだ選手を引き留めることができないんです」
実際ギラヴァンツ北九州は4年連続でチーム得点王が退団している。得点王の流出だけにとどまらず、情報収集で閲覧しているWikipediaでは年度ごとに「退団者の総得点は前年の●割超に相当する」という一文が挿入されるなど編集されているサポーターの悲しみを思うと胸が張り裂けそうになる。
その中でも小林氏は「昇格請負人」と呼ばれるだけあってチーム構築を進めていく。
「この北九州という地域がアグレッシブで、積極的なことを臨む地だと聞いて、やっぱりよく走る攻撃的なサッカーが喜ばれる。そう思ったんです。」
そうやって「地域に合うサッカー」を構築していった。ただそれでもサポーターを掴むまでには至らなかったようだ。
J3に再度降格した2021年、「胸スポンサーとなってくれるような大きな企業」の関係者から伝えられたエピソードがある。
「2年前に会社の人がギラヴァンツの選手のことを好きになった。でもどんどん選手が変わっていなくなるんだったら、誰を応援していいかわからないと言うんです」
選手の入れ替えが多く「個サポ」になりにくいうえに、勝利の美酒に酔いにくいチーム。大正義ソフトバンクホークスをはじめ、同県内にはアビスパ福岡がいる。主力を引き抜かれてもアカデミーからの昇格で埋めることができれば「生え抜き」選手への声援も得られて一石二鳥だ。
ただ現状はそうではない。アカデミーは22年に福岡県リーグ1部に昇格したばかりであり、高校生年代最高峰である高円宮杯プレミアムリーグウエストは12チーム中4チームが九州のチームが占めている現状では有力選手の獲得はおぼつかないようだ。
書けば書くほど背筋が寒くなる。
故石水勲氏が野々村芳和氏をコンサドーレの社長就任を勧めなかったら?
北海道というブランドを生かして海外に活路を見いださなかったら?
J1残留を果たした際に四方田監督からペトロヴィッチ監督に禅譲しなかったら?
そしてなにより博報堂DYMPと契約を結ばなかったら?
メディア露出ではファイターズと競い合い、雪の閉ざされる環境面から育成年代では選手のレベルにおいてまだまだ本州との間に高い壁がある。それより何より、チーム間移籍において物理的な壁があった。チームの勝利が前提にあったとはいえ、コンサドーレが変革に向かうスイッチを押した野々村芳和氏をはじめとした関係者の存在あったからこそ現在につながっているのではないだろうか。
記事のタイトルにある「Jリーグで進む残酷なヒエラルキー」は進んでいくだろう。その中でコンサドーレがどのような立ち位置を築くことができるか。
いちサポーター、いちファンクラブ会員として協力していきたい。
プロフィール
98年J1参入決定戦に敗れ涙に暮れる札幌サポを見たことで、コンサ愛に目覚めた非道民。 何の因果か札幌に居を構え、試合結果に1週間のテンションを左右される日々。 いい年こいてまだ中二病が完治していない。 思い出とコンサの試合と日常をミキサーに投げ入れて、味の素で整えた文章を提供していく。 ご笑覧いただければ幸いだ。
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