2019年11月03日
あの日頬を伝った涙の理由を探している。 後半アディショナルタイム。ラストプレーで深井のヘディングシュートがゴール右隅に突き刺さった瞬間に溢れた涙は歓喜の涙だとはっきりと分かる。 PK戦にもつれ込み、進藤のシュートが川崎GK新井にキャッチされ沸き立つアウェイゴール裏を呆然と眺めながら零れた涙。 翌日札幌の自宅に帰る山手線で、快速エアポートの中でコンサドーレの健闘を讃える記事を読みながら零れた涙。 悔しくないと言ったら嘘になる。だが断じて悔し涙ではなかった。 達成感?準優勝というクラブ史上に残る偉業達成。だが負けは負けだし、札幌はまだ道半ばだ。 あの日から1週間以上たち、だんだん冷静になるにつれ感情の整理がついてきた。 そこでようやく納得する答えに辿り着いた。 そうだ、嬉しかったんだ。 エレベータークラブと揶揄され、満足な人件費を用意できずに有望選手の引き留めもままならない。 その中で先制ゴールを決めた菅、同点ゴールを叩き込んだ深井、縦横無尽にピッチを駆け回った荒野、残念ながら最後のキッカーとなってしまった進藤。 北海道に生まれ、コンサドーレのユースで育ち、そして決勝の舞台を踏んだ宝物達。 それだけじゃない。決めれば優勝となる5番目のキッカーとなった石川直樹。 キャプテンを任せられる人材がいなかった当時のコンサドーレで、柏からのレンタルの身ながらその重責を担った直樹。 その彼が晴れて完全移籍となり赤黒のユニフォームを身に纏い、このクラブの節目にあのような役回りを担ったのだ。 ここまで来れた。「あの」コンサドーレがここまで来れたんだ。 この嬉しさが溢れ出した涙だったんだ。 涙の数だけ強くなれるよ アスファルトに咲く 花のように 岡本真夜の名曲「TOMORROW」の1節だ。 そう、やっとコンサドーレは分厚いアスファルトの裂け目を突いて蕾を付けたところだ。 もう少し、あと少しで花が咲くところまで来た。 だから「明日は来るよ 君のために」 コンサドーレに関わる「君」たち。 新しい景色を見に行く旅は終わらない。
プロフィール
98年J1参入決定戦に敗れ涙に暮れる札幌サポを見たことで、コンサ愛に目覚めた非道民。 何の因果か札幌に居を構え、試合結果に1週間のテンションを左右される日々。 いい年こいてまだ中二病が完治していない。 思い出とコンサの試合と日常をミキサーに投げ入れて、味の素で整えた文章を提供していく。 ご笑覧いただければ幸いだ。
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