2007年11月29日
先週末はコンサドーレ札幌がお休みだったので、24日(土)は味スタでFC東京-大宮アルディージャを、25日(日)は西京極で京都サンガF.C.-ベガルタ仙台を見てきました。 味スタではバックスタンド1階中央のややアウェー寄り、西京極ではメインスタンド上段のかなりアウェー寄りで見ていましたが、いや、もう、見事に、空気が違っていました。 味スタのバクスタは、思いきり東京のホームでありまして、選手入場前の「ゆるねば」は、バックスタンドの人たちもかなりの割合で大きな声で歌っている。レプユニ着用率は札幌ドームほどではないけれど、選手紹介のときにはゴール裏に合わせて「おぃ!」とやっている人がまったく珍しくない。 そういう中に入ってみると、どうにも落ち着かないといいますか、こんなところにいる自分は場違いなんじゃないかと思えてきて、あー、もうオレは札幌以外は愛せないんだなあと、よくわかる。 しかし!翌日の西京極には、そういう空気が、まったくない!! 観客の入りでいえば、単純な人数なら土曜日の味スタのほうが日曜日の西京極よりも多かったものの、定員比(収容率)では、西京極のほうがはるかに高かった。見た目はぎっしりで、最上段には立ち見も出ていたほど(といっても、これは席詰めをやらないからなんですが…札幌ドームにおけるCVSのみなさんがいかに貴重な存在であるか、よくわかりました)。 それなのに、心の中で仙台を応援しながら試合を見ている自分が、浮き上がらない。一人だし、アウェー(?)だし、基本は黙って見ているものの、仙台のピンチになると何度か「あーっ」だの「おぃー」だの声を上げてしまったのに、そういう行動をとってもまったく違和感がない。 どういうこと? あまりに妙なので、試合を見ながら、同じように満員のスタンドで大事なゲームを戦っていた11月18日の札幌ドームと比べてみたら、いくつかの違いがわかってきました。 まずは、屋根がない。屋根がないから、音が反響しない。札幌ドームは特別にしても、仙台スタジアム(ユアスタ)の音の激しさは、屋根あってこそ、でしょう(そう考えると、ゴール裏には屋根のない埼スタのあの歓声は、やっぱりすごい)。 じゃあ屋根があればもっと盛り上がりが出てくるのか?といえば、おそらく、そんなことはない。しばらく見ているうちに気づいたのですが、この試合、ほぼ満員の観客がいるというのに、ホームチーム(京都)がボールを奪って守から攻に転じても、スタンドが沸かないのですよ。この試合、京都はどちらかといえば引き気味でカウンターねらいだったから、自陣深くで相手ボールを奪って一気に前線へ、という、「いけー」「うおー」系の盛り上がりには事欠かなかったはずなのに、ほとんど歓声が起きない。 セットプレーにしても然りで、京都のコーナーキックになっても、拍手も歓声も、ほとんどない。ボールが蹴られてゴールキーパーの近くまで到達して初めて「おおーっ!」と声が上がってくる。 2002年ワールドカップのとき、欽ちゃんが「点が入りそうになるとみんな立ち上がるけど、自分は何もわからないからいつも座っていて、点が入るところは一度も見られなかった」といったようなことをテレビで言っていたのを思い出しました。この西京極は、その逆で、腰を浮かせてもいいような場面でも、誰も立たないんだわ。 12月1日の札幌ドームを、こんなふうにしてはいけません。 僕は、ふだんは、バックスタンドで見ています。バックスタンドで見ているのは、試合をじっくり見たいからで、だから、バックスタンドにまで「立ち上がれ」「歌え」などと強要されるのは、正直、鬱陶しいです。歌いたいならゴール裏に行けばいいでしょ、と思います(逆に、ゴール裏の中心近くにいて、いわゆる「地蔵」になるのはどうかと思うのですが…それなら中心からは離れるべきだと思うわけで)。 ↑ この部分、突っ込もうと思えば突っ込みどころ満載なのは理解していますが、 ここだけ抜き出して批判するのは勘弁してください(^^;) でも、ホームチームのサポーターである限りは、ホームチームに勝利をもたらすサポーターではありたい。 メインスタンドやバックスタンドも含めて、スタジアム全体が一体となるために、メインやバックのサポーターがすべきことは何か? 西京極での経験で、それが、あらためて見えてきました。それほど熱心なサポーターというわけでもない、サッカーに詳しいわけでもない(ふだんはFのほうしか見てないかもしれない)観客をも巻き込むためには、西京極に欠けていたものを持ち込めばいいんです。 すなわち、コンサドーレがチャンスを迎えたら-かならずしも相手ゴール前まで攻め込むということではなく、相手ボールを奪ったら-声を上げる。それは、別に、ゴール裏の歌に合わせなくてもいいんです。とにかく、感情に任せて、叫んだり騒いだりすればいいのです。 感情に任せてといっても、「何やってんだこのやろう」的なヤジは厳禁!ホームスタジアムの雰囲気を悪くして、スタジアムの一体感をあえて削いだところで、相手チームを利するだけです。文句が言いたかったら、試合が終わってから言えばいいんです。 逆に、ピンチを迎えたとき-相手のセットプレー時-は、ゴール裏に合わせて手を叩くのがいちばんいいのかな。ピンチになると、ついつい、黙って手を合わせてしまったりするんだけど、頑張って手を叩きましょう。トランス状態でパンパンパンとやれるところまで行けば、もう、負けることはないさ。 4月の東京ヴェルディ1969戦は、メインもバックも、みんなそんなふうになっていたから、ああいう結果をつかめたのでしょう。11月18日の京都戦は、あのヴェルディ戦をはるかに上回る数のお客さんが集まりながら、めったに来ない人率が上がったからなのか、あれほどの熱気(大きさではなく密度の高さ)は、生まれてこなかったように思います。それが、勝ちきれなかった一因なのではないか…というのは、サポーターの妄想に過ぎないのかもしれませんが、そんなことを考えたくなるのがサポーターでもあります。 12.1、最終決戦。ゴール裏はゴール裏で、いつものようにやればいい。メインやバックの観客は、つねにゴール裏のチャントを意識する必要はなく、そんな「形式」を気にするぐらいなら、自分の中にある熱い気持ちを、抑えることなく、自分の好きな形で-手拍子かもしれないし、声援かもしれないし、絶叫かもしれない-で、どんどん出していけばいい。 2003年8月、ビッグスワンでアルビレックス新潟に大敗した翌朝、新潟空港で弁当を食べていた石水さんは、僕がサポーターだとわかると、ひとりごとのように「あの雰囲気はすごいよな…うちが昇格したときみたいだったよなあ…あれならJ1に行っちゃうだろ」と、愚痴とも感想ともつかぬ話を聞かせてくれました。あのときの寂しさ、悔しさを晴らすときが、いま、ようやく、やってきました。ドーム見たさ、あるいは岡ちゃん人気で観客が集まった2001年よりも、こんどの土曜日のほうが、潜在的な熱は高いはずです。それを顕在化させて、相手チームを黙らせるほどのホームスタジアムを作り出すのは、いつも会場に足を運んでいるサポーターの役目であるはずです。 ※最後はなんだか暑苦しい文章になってしまった<ちょっと反省(^^;)
2007年11月24日
明日、京都サンガがベガルタ仙台に勝てなければ、その時点でコンサドーレ札幌のJ1復帰が確定するわけですが、さて、その瞬間をどこで迎えるべきか? チームと一緒に喜べればいちばんよいのだが、試合がないのでは、どうしようもない。 札幌のどこかでサポーターのみなさんとともに、も、楽しいが、大勢でテレビを見ようとすると、じつは意外にテレビの画面が見えなかったりする。それはそれで、つまらない。 じゃじゃじゃ、素直に、自宅でスカパー見るか…と思ってたんですが、昇格確定(実質的には決定)の瞬間をもっとも早く迎えられる場所は、やっぱり、現場なのだということに気づいた。 なぜならば、スカパーで放送される画面は、生中継といいながら事実よりも数秒遅れるのですよ。宇宙を経由してくる分、数秒のタイムラグが出るのは、ふだんスカパーをご覧になっているみなさまならおわかりでしょう。同じ試合を地上波とスカパーの両方で中継しているときに比べると、けっこうずれている。 だから、昇格確定の瞬間をいち早く迎えるために、明日は西京極へ行くことにしました(爆)。いや、まあ、確かにわれらの昇格は大事なんですが、京都よりは仙台に上がってほしいですから、気分は「せん・だい・れっつごー!」ですわ。 ちなみに本日は味スタにて東京-大宮を観戦してきました。いろいろ思うところはあるんですが(千歳から羽田までの機内で「J's サッカー」の最新号を読んだからか、いろんなことを考えてしまった)、それはまたいずれ、機会があれば。 何度聞いても「てっつじ…♪」のメロディーで「こーた、こーたこーた、き・め・て・くれ こーた♪」には違和感があるが、コータ君が赤黒だったのはもう8年も前なんですねえ。
2007年11月21日
私は会計の専門家でもなんでもないので、1つ前のエントリーを書いた際は、かなり、おっかなびっくりでありました。コメントお知らせメールが届くたび「あー、間違いを指摘されてるんじゃなかろうか…」と、不安になっておりましたが、コメント欄で補足説明までいただいて、ありがたかったです。 # コメントいただいたみなさま、ありがとうございました。 せっかくなので、1つ前のエントリーのコメントで触れていただいた昨日(11月20日(火))の日本経済新聞(北海道経済面)の記事についても、またまた話を単純化させて説明してみます。《コンサドーレ 債権株式化の要請検討 道・札幌市に、計2-3億円》という見出しのついた記事です。 ※今回も、話をわかりやすくするために、あえて正確な説明を省略したところがあります。ご容赦ください(また、詳しい方には、コメント等で補足していただければ幸いです)。 ■債権株式化(デット・エクイティ・スワップ)って? (日経記事から引用) 道と市はHFC支援で、それぞれ約五億円を貸し付けており、今年度末に返済期限を迎える。そのうち、それぞれ約一億-一億五千万円の債権を株式に交換する「デット・エクイティ・スワップ(DES)」の要請を検討する。 (引用ここまで) 「要請」の中身を平たく言うと「借りているお金なんですけど、いつになっても返せそうにないので、貸していただいたのではなく、出資していただいたことにしてもらえませんかねえ?」ということです。 これはずいぶん厚かましい話で、貸したほうからすれば「はぁ?返してもらう日が遅れるぐらいなら仕方がないけれど、出資ってことは、こちらには返ってこないってことですよね?そりゃいくらなんでもないでしょ」と反論したくなる。そう言われたら「おっしゃる通りです…でも、お願いします」としか返しようがありません。 デット・エクイティ・スワップ(DES)が認められた場合、会計上(帳簿上)は、借入金の残高を減らして、そのときの減少額と同額だけ、資本金を増やす措置がとられます。お金を貸していた側にとっては、融資額が出資額に替わるので、貸金(債権)が資本金(株式)と交換されたことになります。 HFCの側からみた場合は、帳簿上の資本金だけが増えて、実際に使えるお金は不変、ということになります。すなわち、このときの資本金の増加分はもともと借入金であって、その借入金はすでに使ってしまって手元にない(だから返せない)のだから、実際に使えるお金が増えることにはなりません。 ■そんなことできるの? もちろんできます。よくあること、とまでは言いませんが、ものすごく珍しいことでもなく、資金繰りに窮した企業でこうした手段が使われることは少なくありません。 ■「株式化」の部分を、もう少し詳しく。 (日経記事から引用-上の引用箇所の続き) 道と市はすでに、それぞれHFCの株式約六%を保有、第四位の大株主となっている。DESに応じても筆頭株主にならないよう出資額を調整するとみられる。 (引用ここまで) 上で説明したように、DES後も実際のお金が増えることはありませんが、帳簿上は資本金が増えるので、新たな株式が発行されることになります。仮に1000万円の借入が資本金に振り替えられる(=1000万円のDESが行われる)として、1株あたりの価格が5万円だとすれば、DESが行われることによって、(1000万円÷5万円=)200株の株式が新たに発行されることになります。 もともとの大株主である道や市からの借入を資本金に振り替える場合、借入の全額を資本金にしてしまうと、道や市の保有する株式数が大きくなりすぎて、サポーターズ持ち株会の保有株式数を上回ってしまう可能性がある、だからDESの金額を調整する、というのが、日経の記事の言わんとするところだと思います。 ■いいことならば、さっさとやればいいのに。 DESが実施された場合、何が起きるのか?を考えると、実現可能性と、関係する問題点がみえてきます。 HFCにとっては、使えるお金の額は変わらないものの、借入金が減るのですから、大歓迎です。 道や市にとっては、いずれ返ってくると思っていたお金が返ってこなくなるのですから、歓迎できることではありません。道や市のお金は、最近はやりの言葉を使えば「道民、市民の血税」ですから、その一部をコンサドーレに渡してしまうことには、やはり(私にとっては残念ながら、ですが)、反対する人も出てくるでしょう。それほど大きなムーブメントにならないうちにこっそり決めてもらえちゃえばいいんですが(<そんなダメだって^^;)、そうもいかんでしょう。 他の既存株主にとっては、歓迎できる部分と、そうでない部分とがあります。 まず、この措置によってHFCの借入金が減ることは、HFCにとってはよいことですから、その点では、既存株主にとっても、よいことです。 一方で、全体の株式数が増えることは、既存株主の持つ株式の価値を低下させてしまいます。今は(経済的には)何の価値もないHFCの株式ですが、今後、大きな利益を生み出して配当を生んだり、株式公開して市場で売買されるようになったりした場合(そんなことは現状では考えにくいですが)、株式数が多ければ多いほど、一株あたりの利益(配当)は小さくなってしまいます。 通常の増資であれば、株式数が増えて既存株式の価値の低下が生じても、HFCが実際に使えるお金が増えるのだからと思えば、既存株主も納得せざるを得ません。しかし、今回のケースでは、HFCの財布が潤沢になることはまったくないので、もし借入金の返済期限が延ばせるのであれば(=その場合は借入金がHFCの財政に与える影響は不変なので)、借入金を減らすための増資(=株式数の増加)は、既存株主にとっては、損をすることはあっても得をすることはまったくない施策になってしまいます。 結局のところ、「J1昇格のため」が、これらすべての免罪符になるのでしょうか(<それがよいかどうかはおいといて、そうせざるを得ないのが現状なのだと思います~ここは私の意見です)。 ■経営責任? (さらに日経記事から引用) ただ経営責任を明確にしないままでの減増資案には、既存株主の反発も予想される。 (引用ここまで) これは、1つ前のエントリーでは、あえて触れなかった点です。 ここまで説明してきたように、減資や増資によって、既存株主の持つ株式の価値は低下します。株主に泣いてもらうのだから、経営者サイドも血を流します、というのは、世間一般では、よくある話です。 この点については、私は、自分の意見は控えます。現在の経営陣やクラブのスタッフのみなさんには、大変にお世話になっており、また、それをご存知の方もいらっしゃるでしょうから、誤解を招くことを避けるため、意見表明は一切しません。
2007年11月20日
コンサドーレ札幌の運営会社である株式会社北海道フットボールクラブ(HFC)が減資をする、との報道がなされています。自分で確認した限りでは、北海道新聞、道新スポーツ、日本経済新聞の各紙で伝えられています。 ところで減資って何?というのは、わかっているようで意外にわからないことだと思いますので、以下、私なりの解釈で、説明してみます(わかっている方には「何を偉そうに」と思われるかもしれませんが、そう思ったら、以下は読んでいただかなくて結構です)。 ☆はじめに、ややくどい注意書き ※誰か(HFCの関係者等)に頼まれてこんなことをしているのではなく、自発的行動です。 ※以下は、上記の各紙報道の情報を元にしています(どこかから秘密情報を入手したようなことは、一切ありません)。 ※以下の中には、過去の関係者を擁護するように読める箇所もあるかと思いますが、そのような意図はまったくありません。私自身の経験(このブログサービスの運営会社の立ち上げのみならず、自分が社長かつ最大出資者の会社の立ち上げや経営、その他コンサルティング経験等々)からいうと、事業を始める(≒会社を作る)ときはとにかく「勢い」で始めてしまい、気が付いてみたら「あれ?なんでこんなことになってるの?」という状態になっていることは、よくあります。あとになってから批判するのは簡単ですが、そこに至る途中で、経営(単純に日々のお金のやり繰りということだけでなく、資本構成のチェックなども含む、広い意味での経営)の間違いに気がつくことは、そう簡単なことではありません。 ※わかりやすくするために、話を単純化させているので、厳密にはおかしなところもあるかもしれませんが、ご容赦ください(blogなので、あまり詳しく書いても、長くなるだけでかえって読みにくいかと…)。 ※こういうテーマなので、一人称は「私」を使いますが、書いているのはいつもと同じ大熊です。 ■いま、何をしようとしているのか? Jリーグが求めるJ1昇格の条件の一つに「運営会社の債務超過の解消」があるため、HFCは何らかの手段で債務超過を解消しなければなりません。そこで、今般の報道によると、減資、のち、増資により、債務超過の解消をはかる、とのことです。 ■ところで債務超過って何? 教科書的にいえば「負債の額が資産の額を超過すること」です。それがなぜいけないのか?というと、 (1)もし何らかの事情で会社を解散することになったとき、負債(簡単にいえば借金)の額が資産の額よりも大きければ、資産をすべて処分しても負債が残ってしまう。 (2)つまり、お金を貸している側からみれば、貸したお金が返ってこないことになる。 (3)そんな会社に、あらためてお金を貸す人は、普通はいない。 (4)そんな会社に、あらためて投資してお金を出してくれる人も、普通はいない。 (5)したがって、万が一、一時的であってもお金が足りなくなったときには(会社経営上、そういうことはよくある)、会社そのものがつぶれてしまうリスクが高まる。 ここで、「いやコンサドーレはみんなに夢を与える存在だから、お金ではかれない価値が」などと、経済的観点以外の価値基準を持ち出されても困ります。世の中というのは、そういうものなので、「それはおかしいんじゃないか?」と思っても、とりあえず、我慢して納得してください。 ■HFCはなんで債務超過になったの? 事業を始めるときには、その母体となる組織として、会社などを作ります(かならずしも「事業を始める」=「会社を作る」ではありませんが、その辺の説明はここでは省略)。ここで「会社など」としたのは、株式会社以外に、NPO法人や公益法人といった形態もあるからです。Jリーグでも、モンテディオ山形の運営会社が「社団法人」になっています。 会社を作るときに必要なのが「資本金」です。みんなからお金を集めて運営資金にしましょう、というお金ですが、これは、サークルの会費ではありません。サークルの会費であれば、運営費に使いきってはいおしまい、でも、問題ありませんが、株式会社の場合は、一般に、資本金を元手にして、お金を増やしていくことが求められます。そして、増えたお金を、さらなる事業の拡大に使うのが、一般的な株式会社の仕組みです。 ところが、HFCの場合は(HFCに限らず、世の中全般でよくあることなのですが)、最初に集めた巨額の資本金を、すっかり使い切ってしまいました。巷間いわれているように「とにかくJリーグ(現在のJ1)へ昇格するんだ、昇格すれば儲かるようになる、使ったお金はすぐに戻ってくるだろう」「使ったお金を取り戻すにはチームを強くしなければならない、そのためにはお金を使わなければ」と、選手人件費などに、どんどんお金を使ってしまったからです。 一般の会社なら、資本金がなくなって、儲けも出ていないとなれば、その時点でお金がまわらなくなって、おしまいです。使う金(選手・スタッフの給料)は必要、しかし入ってくるお金だけでは足りない、貯金もない、となれば、あとは誰か他人から借りるしかありませんが、そんなところへお金を貸す人は、普通なら、いません。しかし、HFC(というより「コンサドーレ」)に期待するさまざまな人たちが、そんなことは何も考えずに、お金を貸したり、出資に応じたりしてきたから(サポーター的にはとてもありがたいことです)、現在に至るまで、HFCという会社は存続しています。 ちなみに私は、1997年のサポーターズ持ち株会の募集に応じています。 ■どうすれば債務超過は解消するの? 会計上、「資産」は「負債」と「資本」の合計と定義されています(などと言われると、私はすぐ「どうして?」と思ってしまうのですが、とりあえず、ここでは、そういうきまりだと認識しておいてください)。「資本」は(単純化すると)「資本金」から「累積赤字額」を差し引いた額です。 資産=負債+資本 =負債+(資本金-累積赤字) 上で説明したように、債務超過というのは、負債が資産を上回っている状態です。債務超過を解消するにあたり、負債(借金)の額が変わらないのであれば、資本を大きくすることによって資産を大きくするしかありません。 上の式の通り、資本は「資本金-累積赤字」です。HFCの昨年度決算では、資本金2,556百万円に対し、累積赤字は2,754百万円なので、資本は(2,556-2,754=)マイナス198百万円になります。したがって、この場合、資本を大きくすることは、まずはこのマイナス幅を小さくすることから始めなければなりません。 そのためにすぐ思いつく手段は、資本金を大きくすること=新たな出資者を募ることです。しかし、巨額の累積赤字を抱えている会社に出資する=株式を持つということは、キズがついていることをわかっていながら商品を買うようなものです。よほど奇特な大金持ちでもない限り、出資してくれる人はいないでしょう。そして、そんな大金持ちは、コンサドーレの周辺には、いません。 そこで、次善の策として用いられるのが「減資」です。資本金を減らして、それを累積赤字の穴埋めにまわすのです。ここでいう資本金なるものも、実際に資本金相当額の現金があるのではなく、あくまで帳簿上の数字に過ぎません。 これらを建築物にたとえるならば、「資本金」は元の構造物、長年の使用で磨耗した部分が「累積赤字額」になります。債務超過というのは、もはや立っているのが不思議なほどに磨耗してしまった状態です。通常の磨耗(債務超過ではない状態)であれば、磨耗した部分を補修すればよいのですが(増資)、立っているのが不思議なほどの磨耗(債務超過)であれば、元の構造物そのものを細くすること(減資)で倒れないように処置を施すしかない、ということです。 ■それなら早く減資すればよかったのに。 帳簿上の資本金は「1株あたりの価格×株数」の金額です。減資にあたっては、株数はそのままで、1株あたりの価格を下げることになります(その結果、資本金は小さくなる)。私の出した5万円が1万円の価値になってもどうってことないですが、多額の資金を出している企業等の場合は、そんな簡単なことではないでしょう。 これまた話を単純化すれば、5000万円の出資をしている企業の場合、5000万円の長期貯金をしていたつもりが、自分は何も悪いことをしていないのに、いきなり1000万円に減らされるようなものです。当初の出資を決めたときの経営陣の責任が問われかねないような話ですから、「減資するので応じてください」と言われたところで、「ああそうですか、わかりました」と、すぐに了解できるような事柄ではないでしょう。 いまやろうとしているのは、そういう、とても大変なことなのです。 ■昇格のために減資するの? 端的にはそうなのでしょうが、減資によって、累積赤字を減らすこともできます。今回の報道によれば、HFCは資本金を80%減らすということですから、現在の資本金2,556百万円が、減資後には511百万円になり、減った分の2,045百万円を累積赤字の解消にまわせます。 昨年度決算での累積赤字は2,754百万円(27.5億円)ですから、この減資により、累積赤字は、709百万円(7億円強)にまで減らせることになります。 ■でも、まだ、債務超過なんですが? そうです。これでも、まだ、198百万円の債務超過です(今年度に黒字が出れば、さらにその黒字分だけ、債務超過額は減ることになります)。 減資しても債務超過が残る以上は、資本金を増やす(増資)しかありません。累積赤字があることには変わりありませんが、減資前に27億円以上もあった累積赤字を7億円強に減らしました、ここまで努力したので許してくださいと頭を下げて、新たな出資を募るのです。 各紙の記事によれば3億円程度の増資を目指すとのことですから、これにより、残る2億円弱の債務超過は解消されます。3億円を集めるのは簡単なことではありませんが、日経の記事では、石水勲氏が2億円までは出すと報じられています。 ■累積赤字ゼロになるまで増資すればいいのに。 お金が集まりません(笑)。また、資本金を大きくしすぎると、税金が高くなるという問題があります。以前のように「これだけお金があるからまだ使える」という感覚になっても困ります(いまさらそんなことは起きないとは思いますが)。累積赤字の解消は、今後、考えなければならない課題として残りますが、まずは、資本金を取り崩すことなく、年度内の収入と支出が釣り合う形を確立していく(資本金はいざというときのために取っておくようにする)ことが重要です。 というか、今野の移籍金で大幅黒字になった2004年度はともかく、シーズン終盤まで昇格の可能性を残して戦えた2005年度(甲府に大逆転食らった年です)にも5500万円の黒字を出せているのだから、毎年の収支に関しては、それほど心配することではないでしょう(楽観もできませんが)。 ■累積赤字があっても大丈夫なの? 累積赤字というのは帳簿上の数字に過ぎないので、HFCが内部にあるお金でまわっている限りは(銀行等からお金を借りようとしない限りは)、大きな問題にはなりません。 それより大きな問題は、減資→増資によって債務超過が解消しようが累積赤字が圧縮されようが、負債は減らないことです。すなわち、債務超過だの累積赤字だのといった事柄は、いわば概念であるのに対し、負債は、実際に借りたお金そのものです。借りた金は返さなければならないので、返済時期を先延ばししてもらうことはできたとしても、いずれ出ていくコストとしてつねに意識しておかなければなりません。 現状11億円余の負債をゼロにするためには、支出を削るよりも、収入を増やすことを考えたいです(<これは私の意見)。 HFCの昨年度決算での営業収入は11億円余、営業費用は15億円余です。支出を5億円減らしたら、選手・スタッフに対しては現状よりもかなり安い給料しか払えないことになり、戦力的にはものすごく厳しくなることが予想されます。 一方で、収入を5億円増やすことは、さほど非現実的だとは思えません。浦和レッズはスタジアムが大きいので参考になりませんが、札幌ドーム並みの収容能力のホームスタジアムを持つアルビレックス新潟の2005年度の入場料収入は、同年のコンサドーレよりも8億円も多いのです(コンサドーレの場合は厚別や函館、室蘭での開催もあるので、単純比較はできませんが)。 ■で、結局、サポーターはどうすればいいの? 北海道経済が拡大するように、一生懸命、働きましょう。知恵を使い、体を使い、北海道全体の収益力を上げていくことが、コンサドーレの強化にもつながるのです。たくさん働いて札幌市や北海道にたくさん税金を納めれば、それがまわりまわってコンサドーレにも使われることになるでしょう。個人の所得が増えて消費が増えれば、スポンサーの数も、スポンサーが出す金額も、増えるでしょう(と、自分に向けて言い聞かせている今日このごろであります)。 もちろん、口コミでの新規客獲得や、チケット、グッズ等をせっせと買う行動を否定するつもりはありません。私自身も、それはそれで、地道に続けていくつもりでございます。 ※わかりやすく書こうとしたら、かえってくどくなったかも。 ※間違いがあれば、ご指摘くださいませ。
2007年11月17日
わたくしとしたことが、まったく、お恥ずかしいことに、落ち着かなくて寝付けないや。 J2に降格した最初の試合、ゴールを決めたのは砂川だったなあ、両手をあげてガッツポーズしてたんだよなあ…と思い出モードに浸りつつ、苦しかったJ2での5年間、ずっとチームに所属していた選手は誰だろう?と、あらためて調べてみました。 西澤淳二 曽田雄志 砂川誠 岡田佑樹 以上、4選手(もうちょっと幅を広げると、短い期間ながらレンタルに出ていた和波、現在レンタル中の相川、スタッフとしては残っている佐藤尽、まで含まれるんだが)。 曽田はもちろんそれより前からコンサドーレの選手でしたが、西澤と砂川は、降格の年に加わった選手。 今にして思えば、砂川なんて、よくこんなチームに5年間もいてくれたよなあと思います。 西澤は、逆に、よく5年間もいたよなあと、あの最初の頃のドームの水戸戦でスライディングタックルをはずされたときのことなんか思い出しちゃうと、5年後の大事な試合で先発することが不思議なぐらいですが(<失礼!)、でも、この苦しかった5年間を一緒に戦ってきてくれたことを思うと、最後までピッチに立っていてほしい、そして拍手を送ってやりたいと、妙に感傷的な気分になってしまいます。 …まだ眠れないので、この5年間に自分が見に行ったリーグ戦の試合数を数えてみる。 163試合、みたい。記憶が判然としないアウェーの試合があったりなんかして、正確な数字だという自信はないんですが、たぶん、そのぐらいなんでしょう。 一昨年、あの逆伝説を作られてしまった甲府戦のときには、2万人に届くことすら遠かった観客数が、今回は、3万人にもなろうとしている、ということは、潜在的には、まだまだ、それだけの観客予備軍がいるってことなんですよね。そう考えただけでも、もう、泣けてきちゃう(泣かないですけどね)。 これだけの人が集まれば、へんなヤジも出るだろうし、ため息も出るだろうし、メガホンもたくさん出てくるでしょう。でも、みんな、許容しましょう。そんなことで観客どうしがいがみ合ってる場合じゃない。そういう人たちにも手を叩かせ、ポジティブな声を上げさせるような勢いを、自分が作っていけばいい。 …いやはや、実は、今日というか昨日というか(要するに金曜日の夜)、仕事帰りの自宅近くで、プライベートの某選手をお見かけしまして(コンビニのレジで一緒になってしまった^^;)、なんか、へんなふうに、自分で勝手に気持ちが盛りあがっちゃってるもので… その某選手、真っ赤なダウンジャケット着てました。正直、似合ってるとは言い難い服でしたが(^^;)、赤を着てくれてるんだーと思ったら、また、じーんと来ちゃって…(笑) もう、キリがないから、やめます。日曜日に備えて、風邪ひかないように、そろそろ、寝ます。 とりとめない話、失礼しました。。。
2007年11月10日
ビジネス系のイベント@定山渓で一泊、から、帰宅いたしました。 たまたま、今朝のNHK総合テレビに、しまふく寮村野明子さんが登場していたこともあり、朝食の席での話題はコンサドーレになりまして、そうなるとワタクシは一応ビジネス上もコンサドーレに関わっているので、自然と話の中心になったりするわけです。 来週はドームで京都戦があって、たくさんお客さん入ってほしいとコンサドーレは言っているんですがどうなるかわからないと思うんですよね、などと感想を述べても何も変わらないので、ここぞとばかり、来週の試合はこういう試合だから一度来てみてくださいよと、未体験者を勧誘するわけです。 やっぱりね、残念ながら、日ハムは行くけど…という人のほうが、圧倒的に多い中、濃い人々(含む自分)からするとびっくりするような声も出てくるもので「コンサドーレはもう昇格したんですか?」ならまだいいほう、人によっては「コンサドーレっていま上のほうの順位なんですか?」と(嫌味ではなく素直な思いで)聞いてくる。 まだまだプロモーションが足りない…な~んて批判をしても始まらないので、ここはやっぱりこういう場で口コミを増やしていくしかない。地味だけど、コストをかけずにできるベストな方法はやっぱり口コミなんですよね。 明日の結果がどうなろうとも、次の週末に向けて、地道な声かけ運動をさらに強化していこうと、あらためて、決意を新たにしたことでありました。 その前に、これからヴェルディと仙台の試合を見て、その後に九州へ向けての旅立ち、が、待っているのではありますが。
2007年11月09日
われわれはJ2最下位に甘んじていた(その事実を受け入れざるを得なかった)3年前の11月20日、等々力では川崎フロンターレ-コンサドーレ札幌戦が行われていたはずなのですが、ワタクシは大宮サッカー場に出向き、大宮アルディージャ-水戸ホーリーホック戦を見ておりました。 試合前に突然登場した当時大宮の監督↓ 試合後に胴上げされる当時大宮の監督↓ そして3年後のワタクシは、明日、テレビで東京ヴェルディ1969-ベガルタ仙台戦の結果を見届けてから(ホントはそんなことしてないで現地に行きたいのだが、お昼過ぎまで仕事なので味スタどころか千歳-福岡直行便にすら間に合わないのだ)、西へと飛びます。明日のうちには九州上陸できないのでありますが、天候の問題はなさそうだし、キックオフに間に合わないなんてことにはならないでしょう。
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