『暑い』について考えてみる

2010年09月02日

もう9月だというのに相変わらず暑いっすね。
今年は全国的に暑いようで、テレビやネット上では毎日のように「暑い、暑い」と報じられていて、栃木の実家でも母親が畳の上で干からびてるんじゃねえかと(嘘)
そんな暑さも、巷では「地球温暖化の影響じゃないか」などと言われているようですが。。。
サッカー関係なし、結構長いっすよ。お暇ならどうぞ。


皆さんは『貝塚』ってわかりますよね?人間が食べた貝の殻がいっぱい積み重なってマウンド状になっているから『塚』。いわゆる、昔のゴミ捨て場ですね。北海道伊達市には北黄金貝塚公園ってのがありますよね。国道から少し山側に入った小高い丘にそれはあります。関東平野にも貝塚はたくさんあります。『大盛 大森 健作 貝塚』なんてのが教科書に載ってましたね。そんな貝塚が、海からは遠い埼玉県などの内陸部にも多数見られるんですよね。
上に書いたように、貝塚はゴミ捨て場です。徒歩以外による人間の移動手段や大量の貝の運搬方法などが確立されていない時代に、海で採れた貝殻をわざわざ内陸に持っていくことはありませんやね。保冷技術もありませんので、海で採れたものは海の近くで消費し、山で採れたものは山の近くで消費する時代です。では、なぜ貝塚が海から離れた内陸部にも見られるのでしょうか?
『縄文海進』って聞いたことありますか?縄文時代の今から約1万年前~5500年前にかけて起きた上↑方向への海水準変動のことです。当時の海水面は今より3~6mほども高い場所にあり、東京湾の最奥部は栃木県南部近辺にまで達していたとされています。
そう、埼玉や栃木県南部は昔は海の近くだったんですね。で、浅海性の貝が棲んでいた。だから貝塚が残されているのです。

この縄文海進の前には『最終氷期』ってのがありまして、最終氷期は今から約7万年前に始まって1万年前に終了したとされる、現時点での地球上では最後の氷期のことであります。氷期というのは地球上が寒冷な状態にありますので、極地方(北極・南極)や高標高地域には雪氷が蓄積されます。すなわち、地表の(液体としての)水は減少することになるので、海水面は低下します。これが『海退』です。最終氷期である『ウルム氷期』には海退によって地球上の海水面が100~120mも低下したことが知られています。
氷期において海水面が低下すると、海水面下にあった部分は陸地となって強い浸蝕作用を受けることになりますので、谷ができます。氷期が終わって温暖な時期が来ると、この谷は海水面下に沈んでいきます。海水面下では浸蝕作用より堆積作用が強く働きますので、谷はだんだん埋められてゆき、地形面上からは谷の存在が見られなくなってしまいます。これが『埋没谷』です。埋没谷は地殻変動でも生じることがありますけどね。
東京湾に北から注ぐ河川には、荒川、中川、江戸川などがあります。また、現在の利根川は群馬・埼玉の県境から千葉・茨城の県境を東流し、銚子付近の太平洋に注いでいますが、これは江戸時代に行われた流路変更の工事(利根川東遷事業)によって鬼怒川などの流路に合流させたものでして、それ以前の利根川は、群馬・埼玉の県境から埼玉県を横断し東京湾に注ぐ河川(今の古利根川のことね)だったのです。ある程度大きな川が集まっていたために、東京湾から北の地下(他んトコにもあるけど)には昔の深い谷の跡である『埋没谷』が明瞭に残っているんですよ。

いま、私たちが心配している地球温暖化は海水面を上昇させるようなことを引き起こすかもしれません。しかし、温暖化の後には寒冷化が訪れる可能性を否定することはできません。その間には、天変地異とも言われるような地球上の諸現象が起こることもあるかもしれません。破壊的な火山活動とか、巨大地震と大津波、とかね。
『ギュンツ・ミンデル・リス・ウルム』って理科の時間にやったでしょ?これが氷期で、地球上が寒冷な時期のことです。これに対して氷期と氷期の間には『間氷期』と呼ばれる温暖な時期があります。このように地球は、呼吸をするように温暖な時期と寒冷な時期を繰り返してきたわけです。
1万年前に終わった氷期が『最終氷期』であるならば、今の地球は『後氷期』とも呼ばれる温暖な時期に当たります。しかし、『後氷期』は、今後地球上に氷期が訪れるとしたら『間氷期』になるわけで、今私たちが『最終氷期』と呼んでいる氷期は『最終氷期』ではなくなるわけです。
つまり、地球温暖化(と、寒冷化)は、人間が関与しなくても、環境破壊活動を行わなくても、起こりうる(これまで何度も起きてきた)現象なのです。

地球という星は、星としての一生を全うするまでは、本来あるべき姿を保つために呼吸をし続けるのではないかと思っています。
だからといってむやみやたらに自然を破壊していいわけではないですけどね。やりすぎたら必ずしっぺ返しが来ます。私たちは驕りを捨てて、地球の一部として共に生きてゆくことを選択できれば、地球も私たちを守ってくれるのではないでしょうか。


post by arroz

15:28

雑記 コメント(2)

この記事に対するコメント一覧

owls

Re:『暑い』について考えてみる

2010-09-02 19:08

海のない埼玉に、海と関係ある地名があるのはそのためなんですね。 海水の上の方が高温になってるため、上の水が沈まないことで対流が起きないことが、天候異変の原因と聞いたことがあります。 人の身体も、暑い季節は基礎代謝が低下するそうですが、いずれは正常化するのでしょうか。 しかし今は、人も地球も人為的な要因で健康を害してるように思えてしまいます。

arroz

Re:『暑い』について考えてみる

2010-09-02 20:28

>owlsさん、いらっしゃいませ。 バランスが崩れてしまっているのは確かでしょうね。 増えすぎたネズミは集団で海に飛び込み、大きくなりすぎたために恐竜は絶滅したと言われています。強欲になりすぎた人間たちも淘汰されてしまうのでしょうか。 謙虚に生きてゆきたい、と言いたいところですが、勝ち点に対してはもっと貪欲に!

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