前を向いて進もう(2008-J1-#10 vs京都サンガ@西京極/現地観戦)

2008年05月03日

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キックオフ直前に買ってきた氷入りジュースを座席の下(日陰)に置いておき、10分後に飲もうとしたらもう氷がすっかりなくなってぬるくなっていた、というぐらいに、暑かった。気温だけみればこのところの道内より少し高い程度だが、日差しのきつさは、この時期の札幌ではあり得ない。ただし、本州以南の夏につきものの湿気はなく、風が吹けば気持ちがいいぐらい。体感的には、真夏の厚別のデーゲームといったところか。

連戦、しかもこの条件だから、メンバーが固定されているのはきつい。前節とまったく同じメンバーの札幌に対し、京都は、アタリバをトップ下のようなポジションに置き、シジクレイを最終ラインに入れた3-5-2で試合に臨んできた。両チームのメンバーが発表されたとき、僕は「あれっ?4バックじゃないの?」と思い、試合が始まってからしばらくの間も、本当は中谷が左サイドバックなんじゃないか、あ、でもそれじゃ増嶋が右サイドバックになっちゃうな、とか、そんなことばかり考えていた。果たして、三浦監督は、どう考えていたのか。京都が3-5-2で来るのがわかっていたら、先発は池内でなくヨンデだったのか?

開始1分30秒で京都は柳沢が裏に抜け出し、高木が飛び出してくるのを見てループ気味にシュート。そして両者が激突し、担架で運び出された柳沢は頭をテーピングで止血してから、4分過ぎにピッチに戻った。その後も、柳沢は、林とともに、札幌の4バックの裏をねらい続けた。オフサイドになることも多かったし、京都はこの2トップの近くに味方が集まりすぎていたから、攻められている割には怖さは感じなかったのだが、高木の落ち着きのなさ(ポジショニングというより「佇まい」)は気になった。

対する札幌は、試合開始当初からクライトンの体が重そうで、相手が厳しくマークしてくることを割り引いて考えても、厳しい戦いになりそうだった。だから、13分にすばやいリスタートから右サイドの砂川にボールが渡り、中央への折り返しに西がつぶれてその先の芳賀の足元に入ったチャンスは、決めておきたかった(いや、でも、この場面は、シュート打つのは、難しかったかもしれないけど…遠くだったので、正直、よくわかんなかったのではあるが)。

そうした中で、20分にアタリバのドリブルから先制されてしまったのは、試合全体を通じてみれば、ものすごく痛かった。FC東京戦もそうだったが、守備にベースのあるチームが、前半の早いうちに失点しまうのは、厳しい。アタリバのフェイントがそれほど鋭いものだったとは思わないのだが、ここまで京都にドリブルで攻め込まれる場面がなかったから、札幌守備陣はうまく対応しきれなかったのか(そういう意味では、ダヴィがいないのが…でも西谷なんかはもっとドリブルで仕掛けてもいいと思うんだがなあ)。

22分に左に開いた西がワンタッチで前にボールを出し、追い越した西谷がゴール前に入っていったあたりから5分ぐらいが、前半、ほんの少しだけあった札幌の時間帯で、26分過ぎにはクライトン、西、西谷、芳賀がワンタッチ、ツータッチのパス交換で京都ゴールに迫った。

しかし、この場面を除けば、札幌の各選手は、ボールをもらってから次のプレーを考えていた。それ以前に、ボールが足元で止まらず、流れてしまう。そこで京都の選手にプレッシャーをかけられると、あっさり相手ボールになってしまう。暑さとか連戦の疲れとか単なる技術の問題とか、いろいろあるにせよ、そんなことはやる前からわかっているのだから、もう少し柔軟なメンバーで試合に臨むことはできなかったのか…

などとぶつぶつ言っていると、30分、柳沢が裏に抜け出し、高木が飛び出して、今度は(開始直後の場面とは違い)明白なPK。これが決まっていればもう試合はおしまいだったと思うが(そのぐらい札幌には攻め手がなかった)、シジクレイのキックは枠をはずれてくれた。

それでも裏をねらい続ける柳沢。32分にも、斜めに走りこんで裏のスペースでパスを受けると左足でシュート、枠をはずれる。柳沢って、以前のイメージだと、もっと相手のディフェンダーと駆け引きしてくる選手だったような印象があるんだけど、今日はまるでインザーギかと思うような、オフサイドになってもいい、いつかオフサイドにならないときが来るはずだと、前に張り続けるフォワードになっていた。

33分の池内→ヨンデの交代は謎。池内のサイドがやられていたのは確かだが、1点ビハインドの場面でまず守備を固めるって、どういうこと?まさかシーズン終了時点の得失点差を考えてこのまま終わらせることを最優先に考えたとか…そんなことを言いたくなるぐらいに、この交代は不可解だった。交代させられた池内は、怒りオーラを発したままメインスタンド下に消えていった(まあ、そりゃ、この交代で納得するような選手では、困りますわな)。

34分には林が裏でフリーになったがシュートは高木の正面で、高木の弾いたボールを再び林がシュートしたがこれは高木がキャッチした。37分は柴田が足元で止めそこねたボールを林が奪い取ったところで柴田が林の足を引っ掛け、あ、イエローだ、と思ったのだが、レフェリーはずっと後ろ、副審は反対側のタッチラインにいたからか、ファウルにすらならなかった。

こんなことをしているうちに最終ラインはずるずると下がり、中盤はボールを拾えない。百歩譲って相手にボールを持たれるのはやむを得ないにしても、マイボールになってからはロングボールしかないのだから、話にならない。

前半だけでも0-3ぐらいにはなっていておかしくなかったのだから、これでもまだツキは残っている、とは思っていたが、後半に入っても、札幌の戦い方は変わらなかった。マーカス→石井の交代でクライトンが中盤に下がったが、今日のクライトンは、京都のマーカーを大きくて強い体で跳ね飛ばすことができず、ボールを持っても前を向けない。石井はマイボールになるや迷いなく前に向かって走り続け(石井だけなら今季最高の出来)、ゴール前で京都のディフェンダーともつれたり、オフサイドになったりはしたが、それって、つまりは、取ったら縦ポンだ、だからケンゴとにかく走れ、ってことで、あえてへんな表現を使いますけど、とても頭が悪いサッカーになっちゃってる。

京都は徹底してカウンターをねらってくるが、フィニッシュの精度が悪くて、札幌的には助けられ続けた。柳沢にあの仕事をさせるのは、正直、ミスマッチだと思うのだが、愚直なほどにカウンターの尖兵役を演じ続けた柳沢は偉かった(などと相手をほめてどうする)。

70分に西谷がアウト、宮沢登場。西谷は、前半から、オフザボールの動きがほとんどなく、何度「西谷、そこ走ってやれよ」と思ったことか。それをここまで引っ張らざるを得なかったのは、前半途中にしてサイドバックで交代枠を使ってしまったからで、スタンドから見ている分には故障などは見られなかった池内をあそこで下げたのは、どうしても解せない(とか、終わったことを言ってもどうしようもないんだけど、今日は、後半になっても、ときどき「なんでかなあ」と思い出しちゃってた)。

宮沢が入ってからは、ターゲットができたから、というよりは、おそらく京都も足が重くなってきて、どうにか形は作れるようになってきたが、相変わらず、誰もシュートしない。遠めからでもいいから、シュートしなきゃ点は取れないのに、きれいに崩してからでないとシュートしちゃいけないかのように、シュートがない。

終盤には柴田を前線に上げて、ロスタイム4分のうち3分が過ぎたところで柴田がヘッドで落としたボールを西がシュートしたがヒットせず。柴田を前に上げるのがよくないとは言わないが、今日は先発メンバーがまったく変わっていないことから始まって池内の交代で完全に監督の選手起用不信に陥ってしまったので(僕が)、なんで柴田上げるとかそんなみっともないことやってんの、と思ってしまった。暑い中、一生懸命やってた選手たちには、申し訳ないんだけど。

でも、今日は、ブーイングものだったな。試合後のゴール裏も、コンサドーレコールも、チャントも、何もなかった。

厳しい中、西は、前線で相手の前に体をねじ込み、自分の足元にボールが入ったときには、安易に後ろへ戻すのではなく、なんとか前へ送ろうと、粘っていた。この気持ちですよ。前にボールを運ばなければチャンスは来ないのだ。きれいに崩すことが目的ではなく、なんでもいいから点を取らなくちゃいけない。

前へ向かって。僕らは、声援を送り続けるしかないんだから。



post by issey11

21:27

2008遠征 コメント(2)

この記事に対するコメント一覧

naka

Re:前を向いて進もう(2008-J1-#10 vs京都サンガ@西京極/現地観戦)

2008-05-03 23:45

いつも興味深く拝読させていただいています。 池内の交代は、まあ当然だと思って見ていました。 この試合の池内は、パスのほとんどがカットされ、また、判断に迷い、マイボールをカットされ、ピンチを招いていたシーンがありました。まあ、ミスが多く見られましたので、そのあたりを判断されたのかと思います。 まあ、懲罰的な意味合いが強く感じられたので、プロの監督としてはどうかなとは思いますが。

issey

Re:前を向いて進もう(2008-J1-#10 vs京都サンガ@西京極/現地観戦)

2008-05-04 20:08

nakaさん、コメントありがとうございます。 確かに、池内の交代は、当然といえば当然なのでしょうね。ひと晩経ってみると、少しは冷静に考えられるようになってきました。

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