「かならずもどる」から1959日

2008年03月07日

JFLにいた頃は、試合前にエールの交換が行われることが多かった。今では信じられないことだが、アウェーチームのサポーターがホーム側のゴール裏に来てホームチームの名前を叫び、逆にホームチームのサポーターはみんなで声を合わせてアウェーチームの名前を呼ぶといったことが、わりと普通に行われていた。

Jリーグに昇格することは、もちろん嬉しいことではあるのだが、ああいう美しい光景は古きよき時代になっていくのだろうなと思うと、寂しさもあった。実際には、J昇格後に、エールの交換が皆無になったわけではないが、JFL時代のような儀式的な(まるで学生のスポーツのような)交換は、なくなった。

牧歌的なJFLで戦っていた身からすると、Jリーグは怖いところだ、とのイメージがあったが、1998年の駒場は、終了間際にペトロヴィッチの見事なロングパスからベギリスタインのゴールで相手チームが勝利したこともあってか、そうでもなかった。在京サポーターの方が、いわゆる「出島」で「帰りは気をつけてください!ここは厚別じゃないんだから、コンサのユニホームはかならず脱いでから出てください!」と叫んでも「おおげさだよねえ」と苦笑いが起きるぐらいに、緊張感がなかった(だから、落ちちゃったんだろうなと、10年経った今では思うが、それはまた別の話だ)。

まあ、あまりに弱くて、相手にされてなかった、ってことかもしれないけどね。

2002年は、かすかな希望を持てたのは雨の厚別での古川伝説あたりまでで、秋になってからは、降格決定の日を待つだけだった。あるアウェーゲームでは、「ウィ、アー、サッポロ、ウィアーサッポロ!」に対する相手チームのゴール裏からの返答が「ジェイ、ツー、サッポロ、ジェイツーサッポロ!」だったこともあった。

勝っても負けてもお互いを称えあうなんてことは、J1では、ないんだろうな。ましてや、よくも悪くも熱いサポーターの多いカシマでは、降格が決まったら、さらに痛めつけられるんだろう…

勝手にそう思い込んでいたから、2002年10月27日、カシマスタジアムでJ2降格が決まった直後、ホーム側のゴール裏から「こーんさどーれっ!」コールが起きたときは、びっくりして、感激して、びっくりした。アウェー側からは、これに呼応して「かならずもどる」コール。そしてホーム側から拍手。

アントラーズのサポーター、ちゃんと、わかってるじゃん。いや、そのときは、そこまで考える余裕はなかったんだけど、チームが成績を残せるのはこのサポーターがあってこそだと、カシマスタジアムの空気(誤解を恐れずにいえば、観客のレベルの高さ)に、感心した。

あれから6シーズンもかかってしまったが、カシマスタジアムのホーム側から送られたエールに応えて、コンサドーレは戻ってきた。一般的には「J1王者とJ2王者のマッチアップ」と評されるのだろうが、ぼくらにとっては、J1帰還の挨拶だ。

あー、明日の今ごろは、ぼくはスタジアム…現地に行ったら「あそこにころころとボールが転がって、あそこで洋平が転んでたんだよねえ」なんて話をするんだろうな。。。


post by issey11

14:21

2008思い コメント(6)

この記事に対するコメント一覧

Re:「かならずもどる」から1959日

2008-03-07 16:35

僕の知らない、すごく感動的なお話をありがとうございます。  読んでいて泣きそうになりました。    ・・・ちなみにJ2札幌コールしたのはどこのチームですか?(><;)

鹿

Re:「かならずもどる」から1959日

2008-03-07 16:58

あの日、ホーム側におりました。 相手チームのこととはいえ、降格を見届けるのは切なかったです。 『しばらく待ってろ』からずいぶんお待ちしましたよ(笑) でも、こうして開幕をカシマスタジアムで迎えるのもご縁なんでしょうね。 明日は同じカテゴリーの倒すべき敵として、盛大なブーイングでお迎えします。 お互い頑張りましょう。

○た

Re:「かならずもどる」から1959日

2008-03-07 19:18

いい話を聞かせていただき,明日の応援のエネルギーをもらいました。(^^) 2002/10/27は自宅でテレビ観戦でしたが,明日は私もカシマに行きます。 何も恐れず,胸張って応援しましょ!

孔明

Re:「かならずもどる」から1959日

2008-03-07 20:49

 JFL時代のエールの交換は今では考えられないですね。私も懐かしいです。  本当にほのぼのとした時代でしたね。今もそんな余裕もほしいですね。  明日は現地での応援をよろしくお願いします。

EBT

Re:「かならずもどる」から1959日

2008-03-07 22:30

旧HP(なまらコンサドーレでしたか)やコンサ・デ・コンサの観戦記はROMしてましたが、このブログに書き込みするのは、はじめてです。 2002年の秋雨の中で「ジェイ、ツー、サッポロ、ジェイツーサッポロ!」と返されたのは関西方面の当時分裂応援していたチームの片割れでしたか。この試合”北の国から(終)”なんてダンマクも出されましたし。 >2002年10月27日、カシマスタジアムでJ2降格が決まった直後、ホーム側のゴール裏から「こーんさどーれっ!」コールが起きたときは、びっくりして、感激して、びっくりした。 私は当日その場に行っていなくて現地に行った方から電話で聞きましたが、あまり驚かなかったです。と言うのは1999年の仙台での最終戦の後2日後すでにJ2降格が決まっていたベルマーレ平塚の文字通りの最終戦を平塚競技場のメインスタンドで見ていましたが、この試合の終了後アウェイ側ゴール裏を埋め尽くしていたアントラーズサポーターから”再来年J1で待っている”というダンマクと共に「ベルマーレ」コールが起こり、それに対してベルマーレサポーターからも「カシーマ アントラーズ」と「かならずもどる」コールと返答あって互いに拍手しあう光景が見ていてからです。コンサの場合は6年ごしでアントラーズと戦えましたが、ベルマーレの場合もし来年J1でアントラーズと戦う事になると10年ぶりになりますが、この対戦は都合つけば見に行きたいと思っています。 その為にはJ2に降格する訳にはいかないので明日カシマでコンサの応援して来ます。

issey

Re:「かならずもどる」から1959日

2008-03-08 05:28

=>そ さん こちらこそ素敵なコメントをありがとうございます。 「かならずもどる」の後に「しばらく待ってろ」ってのがあったんです。 =>鹿 さん アントラーズの王者復活を待っていたら、こんなに時間がかかってしまいました(笑)。本日はよろしくお願いいたします。 =>○た さん こんな話でも力になれれば、なによりです。がんばりましょう。 =>孔明 さん エールの交換は、いい習慣だったと思うのですが。 私自身も、ずいぶん懐かしい話だと感じます。 =>EBT さん かなり前からご覧いただいているようで、どうもありがとうございます。平塚でのいい話、まったく知りませんでした。そういえば「北の国から(終)」ってダンマク、ありましたね。

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