銀メダル

2010年02月27日

サッカーでもらったメダルが2つある。

私のふるさとの小さな街には
いまから30年以上も昔から少年団のリーグ戦があった。
6年生のときにAリーグで優勝し、念願の金メダルをもらえると思っていたら、
(Aリーグ優勝チームのみメダルがもらえた)
なぜかその年からメダル授与が廃止になってしまった。

メダルをもらえる大会は1つだけになった。

5年生のときにはじめてもらったメダルは
準優勝の銀メダル。

補欠選手として、1秒も出場しなかった私にも
銀メダルが掛けられた。
ずっしりと重いメダルの感触に全員が虜になった。
記念写真にも、見せびらかすように
リボンの部分を持っているメンバーの姿が写っていた。

「来年はみんなで金メダルをもらおう。」

そう思ってリーグ戦で優勝したのだった。

この悔しさをバネに、唯一メダルのかかった大会で順調に勝ち進んでいった。
だが決勝戦、またしても敗れた。

2つ目の銀メダルが首にかけられた。
うれしくなかった。



あれから20数年。
結婚してこどもが生まれ、そのこどもがサッカーをやりたいと言い始めた。

「お父さんは昔、サッカーの大会でメダルをもらったことがあるんだぞ。」
「えーっ、本当。」
「本当だとも。じゃあ、おばあちゃんのうちにあるから行ったら見せてやる。」
「やったー。」

お正月に里帰りしたときに探したのだが、
結局見つからなかった。
お盆に帰ったとき、もう一度よく探してみよう。

「ほら、これだ。」
「なんだ、銀メダルじゃん。」
「でもこのメダルはな、みんなで力を合わせて取った、価値あるメダルなんだ。」
「金メダルよりはうれしくなかったしょ。」
「そうだなー。でも、いまお父さんはとてもうれしい気持ちでいっぱいだ。」
「なんで。」
「…。」





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05:59

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