決戦 西京極(VS 京都サンガFC戦 展望)

2016年08月21日

 1勝1分け10敗。鬼門。春先に日本平で使ったこの言葉をまた使うことになるとは…思っていた。京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場。なぜか夏場に日程が組まれることが多く、文字通り熱い戦いが繰り広げられている。なにかとキーポイントになることの多い夏場のアウェイではあるが、京都戦は特に印象深い試合が多いように思われる。個人的に印象深いのは前回昇格した2011年の西京極。前半押せ押せムードで若手主体の京都を翻弄し、勝ち点3は間違いないだろうとテレビの前で油断しきっていた。そこから後半のみで0-4.そしてここから連敗し、迎えたのが昇格を争うライバルの徳島ヴォルティス。天国と地獄を味わう夏となった。
 そんな熱戦の幕が今、切って落とされようとしている。19時キックオフだ。現地に赴かれる方のご多幸を祈念したい。といったところで、近5戦の京都サンガFCの試合を振り返ってみたいと思う。

後半戦のみの順位
01位 札幌 △△○○○○●○ 勝点17 +9 
07位 京都 △●○△△○△○ 勝点13 +3 

上位陣星取表
 札幌松本桜大京都岡山町田清水山口 
札//○●○△○ー○△ー●○○○○26(残2)
麿ー●●ー▲○//ー△○△○ー○△16(残4) 

 まずは参考までに、後半戦のみの順位と星取表をご覧いただきたい。後半戦のみの順位で行くと京都は7位。3勝1敗4分けとなっており、近5戦では2勝3分けと無敗で来ている。総得点は7、失点は4、ここ3試合は無失点と守備も固まってきている。25節のレノファ山口戦は先制されたものの、すぐに同点に追いつきシュート数も20体14と圧倒し、アウェイの地で貴重な勝ち点1をもぎ取った。だが、関西ダービーとなった26節のセレッソ大阪戦では悪夢に見舞われる。0-0で迎えた後半18分の菅沼駿哉のゴールから5分間で3ゴールを決め、1万人を超える観衆を飲み込んだホーム西京極を歓声で揺らす。が、悪夢は後半アディショナルタイムに待っていた。30分31分と立て続けにゴールを割られ、左サイドで奮闘していたMF山瀬功治をDF内田恭兵に交代するなど逃げ切りにシフトしていたにも関わらず、最後の最後にセレッソ大阪FW杉本健勇にこの日2ゴール目となるヘッドをぶち込まれジ・エンド。ライバルから奪い取れるはずの勝ち点3は露と消えた。
 勝ちきれなかった2試合を糧にしたのか、その後3試合で無失点の2勝1分け。だが、後半戦未勝利のモンテディオ山形に0-0の引き分けはアウェイの地とはいえ、「取りこぼし」と捉えざるをない。勝ち星を積み重ねてはいるものの、エスクデロ競飛王や堀米勇輝などの個人技による中央突破から「なんとなく」ゴールが生まれている印象だ。以前の様な「右SBの石櫃洋祐からのクロス」というほど明確な武器は今の京都には見られない。目につくのがアンドレイ、エスクデロ、堀米という中盤3名のパス交換だ。特にアンドレイは攻撃のスイッチを入れる選手のようで、彼がボールを預けるエスクデロは4ゴール9アシスト、堀米はチーム得点王の6ゴール8アシストを記録している。アンドレイ自体も186㎝の堂々たる体格を活かし、空中戦でも無類の強さを誇っている。コンビを組む佐藤健太郎も177㎝と長身であり、32歳と円熟味を増したプレーで攻め上がりがちな山瀬・堀米の両ワイドとのバランスを取っている。
 とはいえ、京都は守備からリズムを作るチームではないように思われる。なぜそう思うかといえば、無失点で「切り抜けた」ここ3試合を見ていても守備の粗さが見えるのだ。基本的に相手ボールになったらリトリートしてラインを整えるのが約束事なのだろう。27節の東京ヴェルディ戦後の石丸清隆監督へのインタビューの中で、「しっかり守備をしてからゲームに入ろうというところで、コンパクトな陣形を取りながら我慢強くゲームを運べた。」「基本的には、今日は相手に持たせていた感じ。(中略)スリーラインもきれいに保てていた。」とボール狩りよりもラインコントロールを重視して守備を組み立てていることがうかがえる。先制点を奪うことができればいいが、試合の入り方を間違え相手に主導権を渡してしまうと途端に苦しくなる。石丸監督もそれを認めているようで、0-0に終わった28節モンテディオ山形戦後のインタビューで、「ゲームの方は、前半はちょっと相手のボール回しというより、自分たちが引き込んだイメージがありますし、若干主導権を取られた中でゲームを運んでしまったので、かなり苦しい時間が続いてしまったのは少し残念です。」「前半からもう少し自分たちからアクションを起こしてボールを取りに行くようにやっていかないと、体力も奪われますし、自分たちで首を絞めたなというようなゲーム展開になってしまったのは少し残念でした。」と受け身になった時の弱さを吐露している。ラインを整えコンパクトな陣形を整えるのはもちろん大事だ。だが、京都守備陣のスライドやプレスのかけ方を見ていると前回対戦した時と大差がないように思われるのだ。無失点で終えられたのも、相手のゴール前での精度の低さに助けられたのではないかと。
 決して貶めているわけではないのだが、3連勝以上がなく9試合負けなしで勝ち点23を荒稼ぎし上位戦線に殴り込みをかけた後に2連敗を喫するなど波に乗り切れていない今季の京都を見ていると苦言を呈したくなるのも事実だ。おそらく2011年のコンサドーレが傍から見ればこのような状況だったのだろう。
 京都の攻略としては、ゲームの主導権を握ること。例年のように日が落ちても残暑が残り過酷な試合環境になることは間違いない。だからこそ、前半のうちに出足の早いコンサドーレのサッカーで京都守備陣の粗さを突き、先制点を挙げたい。ビハインドになれば京都はバランスを崩して攻めに出ざるを得ず、さらに綻びが生まれてくるだろう。そこをこじ開けていけば春先の対戦と同じく複数得点での勝利が見えてくるはずだ。詰まる所、いつも通りに試合を運ぶことだ。
 そのうえであえてこの試合の見どころを述べるならば、前半15分までと後半30分過ぎからだろう。前半はどちらがゲームの主導権握るか、後半30分からはどちらの「精神力」「集中力」「監督力」が上回るかベンチワークも含めて目が離せなくなりそうだ。…改めて書き出すとどの試合もそうじゃないか。…まぁいいか。なんにせよ!手に汗握り、心臓に悪いシーンが展開されるものと覚悟している。足が止まりそうになる選手たちに知らず知らずテレビの前で声が出てしまうだろう。背番号12番は彼らを支えることしかできないのだ。さぁ、行こうぜ!道は険しくても、突き進め!世界を切り拓け!! We’re Sapporo!!


post by kitajin26

08:10

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