横浜FC 函館決戦!

2016年07月02日

 横浜FCに触れる前に、簡単に前節ザスパクサツ群馬戦を振り返っておこうと思う。1-0。いつものように先行逃げ切り。美しいウノゼロでの勝利で、コンサドーレは勝ち点を42に伸ばし首位をキープした。この試合で取り上げるべきはここ5試合で3ゴールと調子を上げているヘイスなのかもしれない。だが、私は右サイドハーフで先発出場した石井謙伍を取り上げたい。なぜか。それは私が考える群馬のキーマンを潰し切り、終わってみれば前半シュート3本と群馬に攻撃の形を作らせなかった功労者だからだ。
 私の考える群馬のキーマンは左サイドの2名、SBの高瀬優孝とMF高橋駿太だった。高瀬はJ2最多クロス数を誇り、高橋は今季6ゴール6アシストを記録している。彼らをゲームから消してしまえば、群馬の攻撃は機能不全に陥る。そのためには右サイドでプレーする選手の奮起が期待されると、このように前回の記事で触れた。前回の記事で注目選手に上げたのは進藤亮佑であったが、石井のスピードに乗った再三のドリブル突破が彼ら2人を自陣に押し込んでいたと感じた。そしてキーマンの1人高橋を途中交代に追い込んでいる。攻撃の手を封じられた群馬は苦し紛れに中央にボールを戻すも、そこに網を張っていた深井一希、前寛之のダブルボランチがカットしカウンターに繫げ、最終的には後半25分福森晃斗のクロスからヘイスのヘッドがゴールネットを揺らした。下位相手ではあるが3連勝で勝ち点9を積み上げており、「強きを挫き、弱きを助く」と揶揄されたコンサドーレの面影はない。5年ぶりの函館開催で更なる弾みをつけ、後半戦セレッソ大阪から始まる上位3連戦に挑みたい。
 そこで今節対戦する横浜FCについて分析してみよう。現在6勝8敗5分、勝ち点23でコンサドーレと同じく1試合少ないながらも12位に位置している。得点失点ともに20で得失点差0である。シーズン途中にミロシュ・ルス監督から昨年同様、強化育成テクニカルダイレクターを務めていた中田仁司が監督に就任。新監督となってからの2試合は1勝1敗となっている。基本的には前監督のサッカーを引き継ぎ、4-4-2のフォーメーションを軸としている。しているが、大きく変わったことがある。そう、キングカズこと三浦和良のスタメン起用である。御歳49歳と馬鹿にしてはいけない。昨年は3ゴールを挙げ、今年もスタメン起用に応え先発6試合で1ゴールを挙げている。彼とコンビを組むのが津田知宏。徳島ヴォルティス時代14ゴールを挙げ、四国勢初のJ1昇格の立役者となったストライカーだ。ただ近年不調が続き、ゴールを量産とはならないものの今シーズン3ゴールを決めており侮ることは出来ない。侮ることは出来ないが、小粒であることは否めないだろう。
 そんな彼らを操るのがダブルボランチ。寺田紳一と佐藤謙介だ。チーム内のパス交換ランキングにはどちらかの名前が載り、彼らを介して横浜の攻撃が構成されているのが分かる。その攻撃に厚みを出すのがサイドハーフ。左の野村直輝、右の小野瀬康介だ。どちらも縦への突破から鋭いクロスを入れるクロッサーではあるが、その一方で貪欲にゴールを狙うアタッカーでもある。その証拠に、野村は2ゴール、小野瀬は3ゴール3アシストを今季記録している。実に4-4-2のサイドアタッカーらしい数字であると惚れ惚れしてしまう。
 それだけではなく、横浜には切り札が2枚残っている。ツインタワー大久保哲哉&イバがベンチに控えているのだ。大久保、イバともに190cm。スタミナや守備の面に不安を感じるためベンチスタートとなっているが、後半の疲れた時間帯にパワープレーで出られるとどこのチームでも辛いものがあるだろう。しぶとく、粘り強く勝ち点を拾ってきている横浜FC。ホームよりアウェイで勝ち数が多いというところからも、なかなか侮れないチームであるといえよう。
 そんな彼らにも泣き所がある。それは左SB不動のレギュラー田所諒の出場停止である。前節の町田ゼルビア戦でイエローカード2枚を受け退場となってしまい、今節は出場停止処分。先ほど取り上げたチーム内パス交換ランキングでも上位に位置し、また攻撃につながるラストパスもチームで上位に位置している。クロスもJ2で11位と攻撃のスイッチを入れてきたチームの中心選手である。その彼が欠場。代役として永田拓也が予想されるが、今季先発出場はなく途中出場も3試合と穴を埋めるまでは至らないだろう。
 無論コンサドーレもチーム得点王の都倉賢を累積警告による出場停止処分で、ボランチの宮澤裕樹は肉離れで全治1ヶ月と主力を欠いている。ベストメンバーを組むことは出来ないが、その中で遜色ない試合を群馬相手とはいえ展開することが出来た。都倉のところに素直にジュリーニョを入れるか、それともヘイスをトップ下に置いたまま2トップの一角にジュリーニョを入れるか、はたまたジュリーニョはあえてジョーカーとしてベンチに置き荒野を先発で起用するか。四方田監督の悩みは尽きることがないだろう。私としてはヘイス・内村の2トップにトップ下ジュリーニョで試合に臨んで欲しい。というのは無論理由がある。連携が上手くいっていなかったシーズン序盤。途中出場で起用されていたヘイスはよくポジション取りで都倉と被っていた。現在は都倉がサイドに逃げ、空いたスペースをヘイスが使うことでバランスが取れている。都倉とポジションが被るということは、考えやプレースタイルが似通っていると考えることができる。そのうえで身体も絞れ、ゴールを決めて精神的にも安定している今の時期。ポストプレーヤーとしてどの程度通用するのか、改めてチェックするべきではないだろうか。ヘイスとジュリーニョという守備に不安を抱える2人を同時に起用することで、中盤にギャップが生まれカウンターのリスクは当然高まるだろう。だが、3-5-2対4-4-2であり中盤の人数はコンサドーレのほうが多い。生じたギャップを深井たちダブルボランチが勇気を持った飛び出しで埋めることができれば、ゲームの主導権は次第にコンサドーレに傾いていくだろう。
 今節のキーマンとしては左サイドの福森晃斗をあげたい。小野瀬のサイドアタックをいなし、いかに攻撃を組み立てるか。正確なフィードが武器の福森であるが、自陣深くからでは魅力が半減してしまう。中盤に宮澤を欠く今、コンサドーレの攻撃を一手に担っているともいえる。シンプルにボールを捌き、前線で待ち構えるヘイス・内村・ジュリーニョに預けて彼らの攻撃センスに任せるのもまた一興だ。
 どちらがサイドを制圧するかがゲームのポイントとなる。快勝になるか、泥仕合になるか。それは彼らの肩もとい脚にかかっている。幸いにも日曜日の雨は朝早くに上がり、日中に降雨の心配はないそうだ。1万人を超えるであろう函館のサポーターを飽きさせないような素晴らしい試合を期待したい。
 とここまで書いていたのは昨日の話。どうやら荒野拓馬をトップ下に置き、ジュリーニョ、ヘイスの2トップになる模様。サイドも左に堀米悠斗、右に前節同様石井謙伍という布陣になりそうとの予想が出た。福森の前に攻守万能の堀米を置き、小野瀬のケアを彼に担当させるものと思われる。身体が強く、懐の深いプレーを垣間見せるゴメスのプレーが福森の正確なロングフィードを引き出せるか注目したい。その福森も結婚が発表され気持ちも新たに試合に臨む。「守る家族ができた。生活が自分にかかっていることを強く自覚していきたい」と頼もしいコメントも聞かれる。守備が課題であることも自覚し、「1対1の間合いが遠いところがあるが、最後は体を張れている」と粘り強く対応する意識を見せていた。横浜FCのウィークポイントはセットプレーとクロスである。総失点の75%を失っており、福森に掛かる攻撃の比重は大きなものになるだろう。だからこそ「一皮剥けた」New福森晃斗を僕らに見せ付けてもらいたい。
 泣いても笑ってもこれが前半戦ラストゲーム-1試合少ないが-になる。気分良く後半戦、地獄の上位3番勝負を迎えるためにも笑顔溢れる試合結果になることを祈っている。


post by kitajin26

07:39

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