勝てばよかろうなのだァ!(VS ギラヴァンツ北九州 感想)

2016年06月21日

 逃れようと、もがけばもがくほど纏わりついて来る蜘蛛の巣のようだった。なんのことはない。ギラヴァンツ北九州の「ドン引き」ディフェンスのことだ。首位のチームに対抗するには正しい対処法と言えよう。まず守備を固め、ホームということで攻勢をかけてくるなら隙を突いてカウンター。池元友樹、原一樹という強力2トップは数少ないチャンスをモノに出来る優れたスコアラーだ。この彼らの術中に嵌ってしまい、コンサドーレは難しい試合を強いられることになる。
 個人的に試合中、注意している点がある。この展開が増えると「嫌な展開」「攻めあぐねている」というチェックポイントがあるのだ。それはCBを起点とした攻撃構成。いわゆるロングフィードだ。この試合で言えば増川隆洋が攻撃の起点となる展開が多かった。ギラヴァンツの素早い帰陣の結果、コンパクトな陣形を保つため最終ラインがセンターラインまで上がってしまったコンサドーレ。DFライン裏のスペースも埋められているうえ、狭い陣内に総勢20名の選手が押し合いへし合いしている所に効果的な楔を打ち込むのは試練の技だ。その大役を担う破目になった増川には同情を禁じえないが、どうしてもコンサドーレが攻めあぐねる展開は河合竜二や増川の「どっせい」フィードが目に付く。あくまで個人的に呼んでいるだけで意味はない。ただ、河合の某Dダックのような大きな足で蹴り上げると「どっせい!」って声が聞こえそうじゃないですか?気のせいですか?そうですか…。
 引かれた場面における展開力については四方田修平監督も懸案事項として捉えている様で、試合後の会見で「相手が守りを固める中で、どう自滅せずに戦うかというところをテーマにしていました。うまくいったところもありましたが、ピンチを作ったところもありましたし、引かれた場面の崩しの質をもっと高めていく必要があると思います。」と反省の弁を口にしている。
 ただ、この試合について実際にピッチに立つ選手たちは「無失点」というところにこだわりを持っていたようだ。今季初ゴールが決勝点となった宮澤裕樹は「決勝点となった得点については、素直にうれしい。今季初得点だったが、取るのであればチームが苦しい時に取りたいと思っていた。」と得点について喜びつつも「無失点で勝てたことも大きい。」と語った。その上でチームが好調の理由を「やはり今のうちのチームは、良い守備から良い攻撃に移るというところがベースになっていて、チーム全体で良い守備ができていたことも勝利の大きな要因だと思う。」と分析して見せた。その守備を預かるDFリーダー増川隆洋も「ここ最近は失点も増えていて、それも先に取られることが続いていた。やはり先制を許してしまうと、そこから逆転をするのは簡単ではないので、やはりまずはしっかりとした守備をするというところから試合に入った。」と守備的に試合に入ったことを認めている。最近の試合と比べてパススピードの遅さが目に付いた北九州戦だったが、安全策を取ったがうえに招いてしまった結果だったのかもしれない。
 気になる点をあげればキリがない。都倉賢、内村圭宏の2トップのシュートが0本であるとか、ヘイスが我を押し過ぎてトップ下としては物足りない出来だったとか、守備に軸足を置き過ぎて櫛引一紀とマセードの連携が合わなかったとか。反省材料が得られることは良いことだ。だが久しぶりに「なんとなく」勝ったからこそ、勝って兜の緒を締めよ、だ。
 次週は長崎、北九州に続き、またしても下位に沈むザスパクサツ群馬が相手。今年のコンサドーレは「強きを挫き、弱きを助く」と揶揄された下位への取りこぼしは鳴りを潜めている。とはいえやはり油断は禁物。梅雨時の関東地方は不快指数がうなぎのぼりだ。ねっとりと纏わり付くぬるい湿気が選手たちの体力を奪っていくことは想像に難くない。いかに先制点を奪い、アウェイの地で逃げ切ることが出来るか。群馬戦はそこがキーポイントになりそうだ。


post by kitajin26

07:06

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